顧客ニーズとウォンツについて―顕在化した需要と潜在的需要について考える―Ⅲ
第3段階は、まだ顕在化していないが既に一定の人が気づき始めているニーズに応えるというやり方になります。
私はこの潜在的ニーズのことを顕在化しているものと区別して「ウォンツ」と呼んでいます。
これは、
「こういうものがあればいいのになあ・・・」
という潜在的な需要をいち早く感じ取って、他者より先に形にすることを指します。
それはちょっとした発想の転換であったり、面白い組み合わせをすることで可能となるのです。
例えば飲食店いえば、数年前からブームになっている「俺の○○」という業態があります。
どんなやり方かといえば、フランス料理のような値の張る食事を、「立ち食い」という極めて庶民的な形態で安く提供する、というビジネスモデルです。
これは
「高級なフランス料理をリーズナブルな価格で食べたい」
という顧客側のニーズと
「おいしい料理を手頃な値段で提供したい」
という飲食店側の思惑が一致した結果出現した形態です。
コストダウンを、高級フランス料理と「立ち食い」という思いもかけない組み合わせで実現したモデルです。
この組み合わせ自体は、顕在化したニーズではありませんでした。
というより、顧客側は思いつきもしなかったでしょう。
組み合わせてみたらこれが意外に支持された、ということなのです。
つづく