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永田誠一

脳機能と身体機能の向上へ導くリハビリのプロ

永田誠一(ながたせいいち) / 作業療法士

久留米脳梗塞リハビリサービス

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コラム

福岡の専門家探し|保険外リハビリ施術者に求められる知識技術とは?

2023年11月5日

テーマ:脳梗塞自費リハビリ

コラムカテゴリ:医療・病院



福岡の専門家サイトKBCマイベストプロに登録した理由

リハビリの専門家として悩む日々

今回は、私が考える保険外リハビリ施術者の専門家像について考えてみたいと思います。
それは、今回、福岡の専門家サイトである、KBCマイベストプロに登録した理由とも関係します。
長年リハビリの仕事に従事しながら、専門家とは何かということをいつも悩んでいました。
医療などの国家資格者は、国家試験に合格するとプロであり専門家と言われるのかもしれません。
つまり、世間的に見れば、リハビリのプロ=リハビリの専門家ということだと思います。
しかし、リハビリのプロ=患者・利用者にとっての専門家であれば理想的なのですが、そう思えないこともしばしばあるのです。
医療機関も介護機関も多くが民間経営です。
当然、赤字を出すことは許されません。
そして、収入の大部分は診療報酬や介護報酬です。
昨今では、国や厚生労働省の方針が変わるだけで、病院や介護施設が倒産することは珍しくありません。
そして、国の方針に大きな影響を及ぼすのが、日本の財政状況ということも間違いありません。

日本の経済的衰退とリハビリ難民問題

私が就職した1980年代の後半は、日本は未だ豊かな経済大国でした。
日本企業が世界を席巻して、日の丸ジネスマンが24時間活躍していたイメージがあります。
その頃は、医療財政においても今よりも余裕があり、我々も真に患者・利用者のためを考えやすかったように思います。
しかし、その後徐々に日本経済は衰退し、現在では世界的企業も減ってしまい、日本人の給与も海外よりも低い状況となりました。
その間に、政府の緊縮財政は進み、医療や介護の財政も年々厳しくなったように思います。
勿論、高齢化社会に対応して無駄を削減しなければならないという事情は理解できます。
しかし、その一方で、必要な部分まで削られた面もあるのではないかと考えています。

具体的には、2008年より導入されたリハビリ日数制限などが象徴的です。
様々な医療の中でも、どう考えても長い時間を要すると思われるリハビリに対して、疾患ごとの一律の日数制限が定められたのです。
脳卒中であれば、全ての患者さんに180日以内という日数制限が適用されます。
30歳にも100歳にも一律に適用です。
重度症例にも軽度症例にも一律です。
勿論、中にはこの日数で十分というケースもおられると思います。
しかし、リハビリの現場にいると不十分なケースの方がより印象的です。

一例を挙げると、重度な脳障害により意識も安定しない状態からようやく覚醒して「これからが本格的リハビリだ」というケースが気づいたら180日近いという状況も珍しくありません。
このようなケースの気持ちを想像すれば、日数制限は「もう治らない」という宣告にも等しいものと思われます。
リハビリ難民問題については、福岡県久留米周辺のリハビリ施設|脳梗塞への自費リハビリとは? というコラムでも触れています。
また、リハビリ難民の現状が現在も無視されつづける本当の理由|脳卒中 という記事も参考になりますので、よろしければお読みください。

現在では、もうリハビリ難民問題は存在しないという意見もあるのかもしれませんが、私はそうではないと思っています。
私が、保険外リハビリサービスを自分で立ち上げようと思った背景には、このようなリハビリ難民的なケースの役に立ちたいという気持ちがあります。

福岡の専門家サイトKBCマイベストプロに登録した理由

自分なりに、どのような形でリハビリが不足している方々の役に立てるのか?を試行錯誤している過程で、KBCマイベストプロから取材の申し込みがありました。
実は、私は、数年前にもKBCのアサデスという番組の取材を受けたことがありました。
当時、私が非常勤で働いていた福岡市内の保険外リハビリ施設が取材された時に、私もインタビューを受けました。
今回も、その当時のことが思い出されました。

私が、嬉しかったのは、私のインターネットサイト を見ていただき、専門家に相応しいと思っていただいたことです。
私のインターネットサイト には、患者・利用者目線での専門家としてのPRを多く記載しています。
もし、よろしければ、一度ご覧になっていただければ幸いです。

保険外リハビリの専門家として役に立ちたい

保険外リハビリを志す私のモチベーションは、患者・利用者目線での専門家として役に立ちたいという思いです。
リハビリの専門職である、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士などは国家資格です。
よって、国家資格を取得すると専門家になったようなイメージもあります。
しかし、実際には医療機関などに就職して、そこで経験したことが専門家像として蓄積されます。
最初の職場の方針やスタイルなどは、その後の個人にとって大きな影響を及ぼします。
私の場合、比較的時間をかけてじっくりとリハビリを行うタイプの職場でしたので、それが自分の基本のスタイルとなりました。
そのような環境で、自分なりに患者・利用者目線での専門家像を培ったような気がします。

しかし、その後は前述のような国の方針転換などもあり、徐々に職場の雰囲気が変わりました。
少し端的に表現すると、それまでは「いかに患者さんを良くするか?」という方針だったものが、後には「いかに期限内に退院してもらうか?」に次第に変化します。
そして、その傾向は年々と強まり、医療だけでなく介護のリハビリの世界でも常識的となってしまいました。
繰り返しますが、経営的に赤字を出せない状況の中では、保険内としてはこれが限界なのではないかと思います。
決して、これは特定の職場の問題ではありません。
そのようなこともあり、徐々に保険外リハビリへと関心が向かい始めました。


医療や介護は専門家集団の集まり

専門家とチーム



厚生労働省 在宅医療連携拠点事業

厚生労働省在宅医療連携拠点事業

図は、医療や介護における専門家のチーム連携についてのものです。
患者・利用者と家族を各専門職が囲んでいます。
このようなイメージで専門家同士のチームワークは生まれます。
昔は、医療とは医師中心で行われるものとの認識があったかもしれません。
現在では、医療も介護もあくまで患者・利用者と家族中心に行われます。
勿論、様々な局面では医師の指示で他のチームスタッフが動く側面があることは否めません。
患者さんも、医師には中々本音を打ち明けられないというような点は依然としてあるのではないでしょうか?
しかし、少なくとも枠組みとしては、医師もチーム構成の一員であり、全てのスタッフは対等な関係であるべきという認識は忘れてはいけません。

チームワークとシームレスワーク

専門家同士がチームワークにより医療や介護を行うことは、現在では常識です。
しかし、専門家同士のチームワークには常に落とし穴もあります。
それは、チームメンバーは各自の専門性には詳しいものの、それ以外にはあまり詳しくない面があることです。
片麻痺のリハビリに当てはめて考えてみましょう。
ある患者さんの上肢の回復が良くない場合を想定してみます。
リハビリスタッフの理学療法士作業療法士は、主に機能の向上を目指してアプローチしますが、特にどちらが上肢の担当かというような役割分担は公には存在しません。
建前としては、理学療法士が身体機能を中心に、作業療法士が日常生活動作などの応用動作を中心にアプローチすることが決まっています。
しかし、上肢を身体機能と捉えるか、日常生活動作に必要な手の機能として捉えるかで微妙に役割意識が異なります。
患者さんとしては、少しでも機能が良くなるようにスタッフに依頼したとしても、どちらが責任を持つか?という事は曖昧な場合があります。
一方で、歩行について言えば、間違いなく理学療法士が自分の責任と考えることが常識です。
しかし、上肢については、悪い意味での譲り合いが生じるかもしれません。
そして、それをカンファレンスで医師に報告すると、今度は医師は実際にアプローチする立場では無い(多くの場合)にもかかわらず、「もう良くならない」などの予後説明をしてしまいがちです。

これは、分かりやすく少し誇張した表現ですが、実際にあり得ることです。
理学療法士も作業療法士も医師も、自分の専門性に忠実に仕事をしただけなのですが、それが必ずしも患者さんのメリットになるかどうかはわからないのです。
そのため、近年ではチームワークではあまり自分の専門性に固執せずに、隣接領域と上手に協調することも大事だと言われます。
例えば、先ほどの例では理学療法士も作業療法士もお互いの領域を一歩超えてみることです。
理学療法士は、運動機能として上肢の粗大な運動をしっかりと評価・訓練します。
作業療法士は、それを受け継いで手指の機能向上のために道具を使って訓練したりします。
そのように、協力して患者さんの悩みに向き合うことができれば、患者さんにもその姿勢が伝わるのです。
このようなチームワークであれば、それは患者・利用者目線と言えるのではないでしょうか?

理学療法の定義
「理学療法」とは、身体に障害のある者に対し、主としてその基本的動作能力の回復を図るため、治療体操その他の運動を行なわせ、及び電気刺激、マツサージ、温熱その他の物理的手段を加えることをいう。

作業療法の定義
「作業療法」とは、身体又は精神に障害のある者に対し、主としてその応用的動作能力又は社会的適応能力の回復を図るため、手芸、工作その他の作業を行なわせることをいう。


理学療法士及び作業療法士法

理学療法士及び作業療法士法


職場目線の専門家と利用者目線の専門家は同じか?

専門家をプロと言い換えてみる

以上のように、一言で専門家と言ってみても、立場が異なるとニュアンスも違います。
ここでは、あえて、患者・利用者目線での専門家をプロと呼んでみたいと思います。
つまり、いくら専門性に長けていても、それが主に職場や職員や自分のために使われるのであれば、本当のプロではないということです。
専門家の専門性が、患者・利用者目線で活用された時に、はじめてプロの仕事と呼ばれるのではないでしょうか?

職場目線の専門家と利用者目線のプロは同じか?



図は、職場目線での優れた専門家像と患者・利用者目線での優れた専門家像を列挙してみました。
実際には、こんなに単純には分けられないと思いますが、ここでは少し分かりやすく記載してみました。

左側の職場目線での優れた専門家を見てください。
仕事の量をこなす、上司や経営者の方針を遵守など、業務遂行として見た場合には、大変大切なことが書かれています。

一方で、右側の利用者目線で優れた専門家を見てみましょう。
こちらは、高い技術、豊富な知識、治療に前向きな態度など、患者・利用者にとってはありがたいと思えることが書かれています。

実際には、この両方が求められるのだと思います。
二者択一ではありません。
しかし、実際には病院などの組織に所属していると、不本意ながらも左にやや傾く時もあるかもしれません。

保険外リハの専門家は利用者目線であるべき

いろいろと書いてきましたが、結論的には、保険外リハビリの専門家としては、基本的には利用者目線を追求したいと思うのです。
個人的に、これまで保険内の仕事を沢山こなしてきました。
その過程では、どうしても、患者・利用者個人のことよりも、制度や職場のルールを優先せざるを得ないことが多くありました。
そのような、枠組みに囚われないで良いとすれば、可能な限り利用者目線の専門家でありたいと思います。


脳梗塞保険外リハビリ施術者に求められる知識技術とは?

保険内サービスの専門性と保険外リハビリの専門性




次に、実際の専門性についても、保険内サービスと保険外サービスで比べてみたいと思います。
保険内サービスでの専門性は、前述の専門家像と同じで、制度や職場のルールを遵守するものだと思います。
一方で、保険外リハビリの専門性では、あくまで利用者への治療に関することが優先します。

例えば、左側の上から4番目の「障害部位(麻痺)に固執しないアプローチ」と右側の上から4番目の「障害部位の改善を目指す」を比較してみましょう。
先ず、前提として、この20年間程度の海外の論文などを基にして、慢性期でも何らかの運動機能の改善はあり得るということを押さえておきます。
日本国内では、常識的には、発症から180日を超えると回復は厳しいということが説明されます。
しかし、一方では、世界的には慢性期でのリハビリ効果の報告は多数あります。
経験的にも、意欲がある比較的若いケースであれば、180日以降も着実に改善することはけっして珍しくありません。

しかし、保険内サービスにおいては、障害部位(麻痺)の回復はあまり強調されません。
何故なら、そこを追求すると入院期間が長引く可能性があるからです。
反対に、保険外リハビリでは、障害部位の改善は積極的に目指す対象となります。
そこには、利用者の強いニーズがあるからです。

保険外リハビリ施術は何を求められるのか?

保険外リハビリの施術には何が求められるのでしょうか?
多くの患者や利用者は、医療や介護保険でのリハビリを経験しているのです。
また、現在も継続中かもしれません。
そのような環境下にあり、それでも保険外リハビリを求めるにはそれなりの理由があるはずです。

それは、例えば、絶対的なリハビリ量を増やすことであったりするかもしれません。
それに加えて、はやり保険内サービスでは重視されない障害部位(麻痺)の改善を期待することもあるでしょう。

もし、保険外リハビリにおいても、保険内と同じように非麻痺側などの残存能力の活用を強調するようであれば、わざわざ保険外リハビリを求める患者・利用者はいないのではないでしょうか?

保険外リハビリ施術者に求められる姿勢

勿論、ケースバイケースで様々なニーズを抱えた方がおられるでしょう。
しかし、保険外リハビリ施術者にとっては、この障害部位(麻痺)の改善へのニーズに応えようとすることは避けて通ることはできないものと考えています。
仮に、改善の幅が小さいケースであったとしても、可能な限り取り組み、できるだけ客観的な成果を示す姿勢を忘れないようにしたいものです。

保険外リハビリ施術者に求められる知識技術

よって、保険外リハビリ施術者に求められる知識技術とは、脳の回復や運動機能の改善に関する様々な知識と技術です。
実は、歴史的に、日本においては運動の回復を促通する手技(ファシリテーションテクニック)が脚光を浴びた時期もありました。
しかし、様々な論争の中でその後否定的に扱われました。
近年になって、海外からの報告が増えた影響もあり、再びリハビリによる脳と運動機能の回復が正しい仮説であることが証明されつつあります。
我々には、そのような新しい知見に対して幅広くアンテナを張り巡らせることが求められるのであると思います。


福岡の専門家探し|保険外リハビリ施術者に求められる知識技術と

福岡の専門家サイトKBCマイベストプロに登録した理由のまとめ

長年リハビリの仕事に従事しながら、専門家とは何かということをいつも悩んでいました。
保険外リハビリを志す私のモチベーションは、患者・利用者目線での専門家として役に立ちたいという思いです。

医療や介護は専門家集団の集まりのまとめ

専門家同士のチームワークには、落とし穴もあります。
お互いの専門領域を超えて、シームレスに働くことも重要です。

職場目線の専門家と利用者目線の専門家は同じか?のまとめ

保険外リハビリの専門家としては、基本的には利用者目線を追求したいと思います。

脳梗塞保険外リハビリ施術者に求められる知識技術とは?のまとめ

保険外リハビリに求められることは、絶対的なリハビリ量を増やすことに加えて、入院などで不十分だった障害部位の改善に取り組むことでしょう。

この記事を書いたプロ

永田誠一

脳機能と身体機能の向上へ導くリハビリのプロ

永田誠一(久留米脳梗塞リハビリサービス)

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