「長期優良住宅制度」のギモン⑨~長期使用できることが大事
昔、本で読んだのですが、法隆寺の宮大工故西岡常一棟梁が奈良薬師寺の西塔を再建するときに一つ問題がありました。西岡棟梁は西塔を1300年建っている東塔の各部材、構造を丹念に調べ同じように建てる計画だったからです。
現代の建築基準法などに塔を建てる方法など書いてありません。しかも、薬師寺の塔は各階に裳階が付き6重にも見える三重の塔です。
日本中にたくさんの三重や五重の塔がありますが薬師寺のような塔は他に例はありません。五重や三重の塔が現代でも建てられていますが、薬師寺のような塔は建てられた記録はないのです。
ところが、あっさりと国は許可を出したそうです。専門家(確か有名な建築の先生と思いましたが)が東塔が1300年も倒壊していないのだからという理由でした。薬師寺の東塔が1300年間かけてこのつくり方で大丈夫と証明をしたのです。これが時間が証明するということです。
このコラムを読んだ方の中には、現代には昔はなかった新しい技術があり、新しい材料を使用しているから大丈夫という意見が出るかもしれません。でもそれは私を含めて誰もわからないはずです。どんな材料も工法も時が経たないと寿命はわかりません。人が考えた結果にならないことは多々あります。むしろ考えた結果にならないことの方が多いくらいです。
時間の証明がないのなら、軽々しくこの項目を満たせば「長期(数世代に渡って使用できる)」という言葉を使うべきではないと思います。長期という時間を表す言葉が入っている以上、長期間使用できる根拠がいると思います。
ですから⑬で未来の約束は誰が守るのかと書いたのです。根拠のない未来の約束はしないことです。
次回は、『「長期優良住宅制度」のギモン2⑮~いいところは取り入れないと』です。
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