高さの高い窓と横に長い窓⑦~耐力壁にならない
次回まで高さの高い窓です。
このコラムで取り上げる高さの高い窓とは、いわゆる掃き出し窓のことで、幅の小さい縦長の窓のことではありません(①の図に書いたような縦長の窓は⑧に書きます)。
少し前まで掃き出し窓は、高さ2 mまででした。ところが、最近はサッシメーカーでは高さが1.8 m、2 mに加え、2.2 m、2.4mと天井高とほぼ同じ高さのサッシを出しています。
昔は欄間付きと呼ぶ、高さ約1.8 mのサッシに高さ0.4 mのサッシを一体化し約2.2mのサッシがありました。昔からある日本の建具の欄間の建具と同じようになっていました。
ところが、欄間付きのサッシは使われなくなりました。その理由は(他にもあると思いますが)和室が作られなくなったことが最大の理由だと私は思います。
2.2mのサッシは欄間付きサッシの代わりとしても天井の高さに近い2.4mのサッシはどうして作られたのでしょうか。その理由はたくさんあると思いますが、私は、阪神大震災後の耐震性の強化のために耐力壁をバランスよく配置することが計算に加わったからと思います。
耐力壁のバランスが悪くなるため、幅の広いサッシを南側に配置することは難しくなり、幅がだめなので天井に届くような高さのサッシを出してきたのではと思っています。横がだめなら縦にといった考えではないでしょうか。
ただ、高さが高くなると心配事があります。
高さの高いサッシは面積が大きいため重量が重くなります。例えば高さ1.8mの掃出し窓と2.4mの掃出し窓では、幅が同じなら面積は1.33倍となり、重さも1.33倍ぐらいになります。
住宅に限らず建築物は数年で解体しません。何十年と使うモノです。どんなに力持ちの人でも手を横に出して軽い物でも持っていれば次第に手は下がっていきます。同じ状態を続けることは不可能なのです。
鉄骨やコンクリートの建物なら構造材が重いため大丈夫と思いますが、木造の場合、木材が軽いため重いサッシを取り付けて下地の大丈夫かと思っているのです。サッシを支えている木が重みでたわんでしまうと元には戻りません。取り替えるしかないことになります。
現在ではペアガラス(二重ガラス)だけでなく、トリプルガラス(三重ガラス)も出ていますがさらに重いと思います。また、重くなると掛かる地震力は大きくなります。重い家ほど大きな地震に不利です。
次回は、『高さの高い窓と横に長い窓③~雑壁の力』です。
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