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軒のない屋根の家⑩~構造的な話

鈴木敏広

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テーマ:軒のない家

前回まで軒のない家と雨漏りに関してだけを書いてきましたが、今回は話が変わり構造に関することです。

軒が出ていないと柱や束と母屋や桁の接合部に余裕がないのではと思っています。下の絵(左)のように普通の木造住宅では柱や束のホゾを母屋や桁の穴に差し込むように作りますが、下の絵(右)にあるように軒が出ていない場合は穴から材端までの長さがありません。

軒のない家⑩

地震などで横の力が加わった時この長さが短いと、壊れてしまうのではないかと思っています。軒があれば材料の長さが十分あるため、力が加わっても壊れることはありません。

木材の利点に加工のしやすさがありますが、加工しやすいということは、ある程度の長さや厚みがないと簡単に壊れてしまいます。集成材で作っても、金物工法を採用していても長さがないと弱くなることは同じだと思います。

今回書いたことは完成したら、もちろん見えません。私は軒のない家は造ったことはありませんし、自ら作ることも考えていませんから軒のない屋根の家をどのように作っているか知りません。もしかしたら力が加わっても壊れないように工夫しているかもしれませ。でも、そんなこと考えるのなら、初めから軒を出した方が良いと思います。

次回は、「続 聴竹居を訪ねて①~今度はゆっくりと」です。

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鈴木敏広(一級建築士)

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木造住宅からマンション、市の施設まで建築業界の最前線で培った経験を生かし、安心、安全、快適で長く暮らせる住環境を提案。大工経験から現場の声を大切にする家づくりは職人にも施主にも好評。リピート率も高い。

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