パスコードや生体認証を求められたら|協力義務の有無
風俗店や客引きに案内された店で、会計の段階になって説明と違う高額な金額を示されたという相談は少なくありません。その場で強く支払いを求められると、何に応じてよいのか、どこまで断ってよいのか判断がつきにくいものです。この記事では、高額請求・ぼったくりについて当事務所への相談で多い質問を15問取り上げ、それぞれの考え方を整理します。
本記事は2026年11月時点の法令(2025年6月施行の改正風営法を含む)をもとにしています。個別の事情によって結論は変わるため、具体的な対応は専門家にご確認ください。
料金と支払い義務についての質問
その場で言われた金額は、全額払わなければならないのですか
利用したサービスについては、合意した料金を支払う義務があります。ただし、支払義務があるのは事前に説明を受け、合意した範囲の料金が基本です。説明のなかった料金や、合意した内容とかけ離れた金額まで当然に払う義務があるわけではありません。
まずは内訳を示してもらい、どの項目が合意した料金で、どの項目が説明のなかった料金なのかを分けて考えることが出発点になります。内訳の説明を拒まれる場合は、その事実自体も記録しておくと後の交渉で役立ちます。
料金表や事前の説明と違う請求を受けたら、何を確かめればよいですか
確かめたいのは、店内に料金表が掲示されていたか、入店前や入店時に誰がどのような金額を説明したか、追加料金について説明があったか、という点です。
東京都には、いわゆるぼったくり防止条例(性風俗営業等に係る不当な勧誘、料金の取立て等及び性関連禁止営業への場所の提供の規制に関する条例)があり、指定された地域の対象店舗には料金を客に見やすく表示することなどが求められています。料金表の写真や客引きとのやり取りの記録は、後で説明との違いを示す材料になります。会計の場で料金表を見せてもらえない場合は、その旨もメモしておいてください。
頼んでいないドリンクや延長の料金も払う必要がありますか
注文していない飲食物や、同意していない延長について、当然に代金を払う義務が生じるわけではありません。2025年6月施行の改正風営法では、接待飲食営業などについて、料金の虚偽の説明や、客が注文していない飲食物を提供して代金を求めることなどが禁止事項として定められました。
一方で、キャストに「一杯いいですか」と聞かれて応じた場合など、注文があったと評価される場面もあります。どの時点で、どのような言葉でやり取りしたかを思い出して整理しておくことが大切です。
支払いを断ったら、無銭飲食や詐欺になってしまいますか
合意した料金は支払う意思があると示したうえで、根拠の分からない部分について説明を求めることは、無銭飲食とは性質が異なります。無銭飲食は、初めから代金を払うつもりがないのに注文するような場合が問題になるものです。
トラブルを避けるには、「説明を受けた料金は払う」「それ以外の部分は内訳を確認したい」と、払う意思と争う範囲を分けて伝えることが考えられます。合意した料金分だけを支払い、領収書や明細を受け取っておく方法もあります。言った言わないの争いになりやすいため、やり取りはできる範囲で録音やメモで残しておくとよいでしょう。
店から「警察を呼ぶ」と言われました。呼ばれても大丈夫ですか
警察は、料金が適正かどうかという民事の争いについては、基本的に判断に立ち入りません。それでも、その場に警察官がいることで、暴力や無理な引き止めを防ぐ効果は期待できます。
身の安全に不安があるときは、ご自身から110番通報することも選択肢です。ただし、利用の際に店の禁止事項に触れる行為があった場合などは、別の問題が生じることもあるため、心当たりがあれば早めに専門家へ相談してください。
その場での対応についての質問
ATMで現金を下ろすよう求められたり、カード決済を迫られたりしたらどうすればよいですか
店員に付き添われてATMへ向かう、カードを預けて決済させられる、といった状況は、後から争うのが難しくなりやすい場面です。可能であれば、その場では合意した料金以外の支払いを留保し、店を出る際の安全を優先してください。
出口をふさがれる、取り囲まれるなどして帰れない状況であれば、警察への通報を検討してよい場面です。脅して金銭を交付させる行為は、恐喝罪にあたる可能性があります。
身分証や財布、スマホを預けるよう言われたら応じるべきですか
代金の支払いを確保する目的であっても、身分証や所持品を預ける法的な義務は通常ありません。身分証を預けたり撮影されたりすると、後日の連絡や請求の材料として使われるおそれがあります。
すでに預けてしまった場合は、何を、いつ、誰に預けたかを記録しておき、返還を求める交渉は弁護士を通すことも検討してください。
借用書や念書に署名を求められたら、どうなりますか
その場で書かされた書面であっても、署名した事実は後の交渉で相手方の根拠として持ち出されます。可能な限り、内容を確認できない書面には署名しないことが望まれます。
ただし、脅されたり帰れない状態に置かれたりして署名した場合には、強迫による取消しや、消費者契約法による取消しを主張できることがあります。署名してしまっても、それだけで支払いが確定するわけではありません。
支払った後についての質問
払ってしまったお金は取り戻せますか
いったん支払うと、返還を受けるハードルは高くなるのが実情です。そのうえで、事実と異なる料金説明を受けた場合や、退去を妨げられて契約させられた場合には消費者契約法による取消し、だまされた場合には詐欺による取消し、著しく不当な金額であれば公序良俗違反を理由に返還を求められることがあります。
どの理屈を使えるかは、事前の説明内容や当日の状況によって変わります。料金表の写真、レシート、決済の明細などはできるだけ保管しておいてください。
クレジットカードで払った分は、止めることができますか
分割払いやリボ払いで決済した場合、一定の条件のもとで、割賦販売法に基づき店に対する主張をカード会社にも伝えて支払いを止める「支払停止の抗弁」を主張できることがあります。一回払いはこの制度の対象外とされるのが原則ですが、事情を説明してカード会社に調査を求めることは考えられます。
いずれの場合も、気づいた時点ですぐにカード会社へ連絡することが大切です。時間が経つと対応できる範囲が狭まります。
後日、自宅や職場に請求が来ることはありますか
店に名前や連絡先、身分証の情報を知られている場合、後日電話やメッセージで請求が続くことがあります。家族や職場に知らせるとほのめかされることもありますが、そのような言葉で支払いを迫る行為は、内容によっては恐喝や脅迫にあたる可能性があります。
連絡が来ても、その場で支払いを約束したり、新たな個人情報を伝えたりせず、記録を残したうえで相談先につなぐことをおすすめします。
相談先についての質問
警察、消費生活センター、弁護士はどう使い分ければよいですか
暴力を受けた、帰してもらえない、所持品を奪われたといった身の安全に関わる場面では、まず警察です。料金の妥当性や返金の交渉については、消費生活センターに相談して助言を受ける方法もあります。
店との交渉を自分でするのが不安な場合や、請求が続いている場合、家族や職場への連絡をほのめかされている場合は、代理人として窓口になれる弁護士への相談が適しています。どこに相談すべきか迷う段階でも、まずは状況を伝えて方向性を確認するだけでも構いません。
風俗店を利用したことを家族に知られずに相談できますか
弁護士には守秘義務があり、ご相談の内容をご本人の同意なく家族や勤務先に伝えることはありません。連絡方法や郵便物の送り先についても、ご希望をうかがったうえで調整します。
弁護士が代理人になると、店からの連絡を弁護士に集約するよう求めることができるため、ご自宅や職場への連絡を抑える効果も期待できます。
こちらにも落ち度がある場合でも、相談してよいのでしょうか
店の禁止事項に触れる行為があった場合でも、相談をためらう必要はありません。落ち度があることと、相手方の請求額がすべて正当であることは別の問題です。
落ち度がある場面ほど、相手方が強い態度で過大な金額を求めてくることがあります。事実関係を正確に伝えていただいたうえで、払うべき範囲と争える範囲を切り分けていくことになります。不利に思える事情を伏せたまま進めると、後から交渉の前提が崩れることがあるため、ありのままお話しいただくことが結果的にご自身を守ることにつながります。
弁護士費用のほうが請求額より高くなりませんか
請求額や事案の内容によっては、弁護士費用が請求額を上回ることもあり得ます。そのため、ご依頼前に費用の見通しをお伝えし、ご自身で対応する場合との違いも含めて判断していただくことが大切です。
費用だけでなく、請求が続くことによる負担や、家族・職場に知られるおそれといった事情も含めて、依頼するかどうかを検討してください。
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高額請求・ぼったくりでお困りの方へ
高額請求やぼったくりの問題は、合意した料金と説明のなかった料金を分けて考えること、そして支払う前に記録を残しておくことで、取れる対応が大きく変わります。その場で判断に迷った場合や、支払った後に請求が続いている場合も、早めにご相談ください。
同じような状況でも、経緯や残っている記録によって取れる手段は変わります。どこから手をつければよいか判断がつかない段階でも、事実を整理するところからご一緒できます。
当事務所では、電話・メール・LINEのうちご希望の方法でご相談をお受けしています。ご都合のよい手段をお選びください。
早い段階でご相談いただくほど、選べる手立ては多く残ります。迷っている段階でも、まずはお気軽にお声がけください。


