配偶者に発覚した場合の民事責任|風俗利用は不貞になるのか
料金の説明を受けて呼んだはずなのに、終わってから示された金額がまるで違っていた。その場で言われるまま払ってしまい、帰り道になって「あれは何の料金だったのか」と考え始める。デリヘルの料金トラブルは、この順番で相談に至ることが少なくありません。
「ぼったくり」という言葉は幅広く使われますが、中身は一つではありません。説明のなかった費目が足されたのか、単価そのものが違ったのか、割引の条件が後から出てきたのか。どれに当たるかで、言えることも、示すべき材料も変わってきます。
この記事では、料金の説明と実際の請求が食い違った場面を取り上げ、支払ってしまったお金について返金を求めるとき、何を整理し、どの順番で交渉を進めるのかを説明します。支払いを踏み倒すための解説ではありません。
この記事が想定している場面
次のような前提で書いています。
- 成人同士のやり取りであること。
- 利用した客の側からの相談であること。
- すでに支払いを終えているか、その場で支払ってしまったこと。
- 店やキャストの側から別に金銭を求められている場合は、そちらの整理も並行して必要になること。
サービスの内容そのものへの不満や、キャンセル料・延長料金の当否は、料金の説明のずれとは別の論点になります。それぞれ別の記事で扱っています。
「ぼったくり」と呼ばれるものの中身は一つではない
まず、自分のケースがどの型かを決めます。型が決まると、相手に何を尋ねればよいのかがはっきりします。
| ずれの型 | 店側が言いがちなこと | 確かめる点 |
|---|---|---|
| 説明になかった費目が加わった | 前からこの料金体系だと言う | 予約のときにその費目の説明があったか |
| 単価そのものが違った | それは別のコースの料金だと言う | どのコースを何分で頼むと伝えたか |
| 割引や無料延長の条件が後出しされた | 条件を満たしていないと言う | 条件がいつどこに書かれていたか |
| 頼んでいない追加が計上された | その場で了承したはずだと言う | 単価が示され、断る機会があったか |
| 時間が短かったのに満額だった | 時間は消化していると言う | 到着と終了の時刻、待っていた時間 |
| 表示額とは別に手数料が上乗せされた | 表示は総額ではないと言う | 表示が総額と読める書き方だったか |
複数の型が重なっていることもあります。その場合は、金額の大きいものから順に並べておくと、後の交渉で焦点がぼやけません。
料金はいつ決まったのか
料金の話は、「いつの説明が契約の中身になったのか」という問題に整理できます。契約は書面がなくても成立し、電話やメッセージのやり取りでも成立します。掲載されていた料金を見て、その条件で頼み、店がそれを受けた時点で、料金を含む内容がいったん決まります。
後から出てきた費目は、新しい取り決めがなければ根拠になりにくい
いったん決まった後で店が別の費目を持ち出した場合、それは新しい取り決めを求めていることになります。金額と内容が示され、こちらがそれでよいと答えて、初めてその費目の根拠が生まれます。「もともと決まっている」と言われたとしても、いつどこで示されていたのかは、店の側が説明できるはずの事柄です。
断らなかったことが、そのまま合意になるわけではない
強い口調で言われて黙ってしまった、その場で断れる状況ではなかった、という経過は珍しくありません。断る機会が実際にあったのか、金額を理解できる形で示されたのかは、後から評価される点です。黙っていたことが、当然に納得したものとして扱われるわけではありません。
争うのは総額ではなく「差額」
返金の相談では、全部返してもらえるのか、それとも諦めるのか、という二択で考えてしまいがちです。しかし、説明どおりの金額は、もともと払うつもりだった額です。争いの中心にあるのは、説明されていた額と、実際に払った額の差です。
先に差額を出しておくと話が動きやすい
差額を金額で特定しておくと、三つの点で違いが出ます。相手に何を求めているのかが伝わること。話がサービスの良し悪しの言い合いに逸れにくくなること。相手から一部返金の提案が出たときに、受けるかどうかを自分で判断できること。全額を求める場合でも、内訳として差額を示せる状態にしておくと、やり取りが具体的になります。
説明の食い違いは、何で示すのか
「言った・言わない」になりやすい場面です。次のものは、気づいた時点で残しておきます。
- 予約に使ったサイトやアプリの料金ページ。
- 予約時のやり取り(電話なら着信の時刻、メッセージなら画面)。
- 当日に渡された料金表、明細、領収の控え。
- 支払いの記録(振込の控え、カードの利用明細、現金を引き出した記録)。
- 到着と終了の時刻、待っていた時間。
- やり取りした相手が名乗った名前と連絡先。
掲載内容は後から書き換えられる
料金ページは、店の側でいつでも変更できます。金額の部分だけを写すのではなく、ページ全体と、見ていた日時が分かる形で残しておくと、後から説明しやすくなります。自分が加わっている会話の録音は、経過の裏づけとして使われることがあります。一方で、相手を無断で撮影することは別の問題を生むため、避けてください。
条例や行政の規制はどこまで助けになるか
いわゆる「ぼったくり防止条例」があることは知られていますが、どの営業が対象になっているのかは、あまり知られていません。
料金表示や取立ての規制には対象の範囲がある
東京都の条例のうち、料金や違約金を営業所内に表示させる義務、実際よりも著しく安いと誤認させる告知の禁止、乱暴な言動を交えた取立ての禁止といった部分は、営業所を設けて営む店(一部の業態は除かれます)と、接待をして酒類を提供する店のうち、公安委員会が指定した区域内にあるものを対象としています。
自宅やホテルに呼んだ場合は、この部分の対象に入っていない
客の依頼を受けて自宅やホテルに派遣する形の営業は、条例の中では別に位置づけられており、いま挙げた表示義務や取立ての禁止の対象には含まれていません。同じ「ぼったくり」でも、路上で声をかけられて建物の一室に案内された場合と、自分で呼んだ場合とでは、当てはまる決まりが変わります。もっとも、条例の別の部分では、違反した客引きから紹介を受けた客を受付所に立ち入らせることを禁じるなど、派遣型の営業も対象になっています。警察の職員が事務所や受付所に立ち入って質問できる仕組みも置かれています。
条例に反していても、支払義務が自動的に消えるわけではない
条例は営業を取り締まるための決まりです。違反があったからといって、支払ったお金がそれだけで戻るわけではありません。ただし、警察が動く手がかりになること、そして話し合いや裁判の場で「説明が実際と違っていた」ことを示す材料になることの二点で、意味を持ちます。なお、同じような条例は他の道府県にもあり、対象となる営業や区域は地域ごとに異なります。
「自分から呼んだのだから仕方ない」とは限らない
自宅で契約したという形になるため、訪問販売の枠組みで考えられないか、という論点もあります。客の側から求めた訪問は原則としてこの枠組みの外に置かれていますが、表示されていた額と実際の請求額に大きな開きがある場合には、「自分から求めた」とはいえないという考え方が、消費者行政の側から示されています。性風俗の場面でこの枠組みがそのまま使えるかは慎重な検討が必要ですが、自分から呼んだという一点だけで何も言えなくなる、というわけではありません。
返金交渉の進め方
進める順番があります。
- 起きたことを時系列で書き出す。日付、時刻、誰が何と言ったかを、記憶が新しいうちに残す。
- 説明されていた額と請求された額の差を、金額で特定する。
- 連絡の窓口を一つに決め、やり取りが文字で残る形にする。
- 求める内容と期限を、書面の形で伝える。
- 相手の言い分と、その根拠(料金表や規約のどの部分か)を出してもらう。
- 折り合いがついたら、返す金額・方法・時期を書面にする。
返金の取り決め自体は有効に成立する
裁判で争ったときにどこまで通るかという見通しと、話し合いで返してもらえるかどうかは、別の問題です。相手が返すと決めた場合、その取り決めは有効に成立します。だからこそ、口約束で終わらせず、何の清算として、いくらを、いつ返すのかを書面に残しておく意味があります。
交渉でかえって不利になりやすいこと
求め方を誤ると、返金を求めていた側の立場のほうが変わってしまうことがあります。
- 短い時間に感情的な連絡を繰り返す。
- 口コミに書く、家族や勤務先に知らせる、といった予告をして支払いを迫る。
- 店や事務所に出向いて居座る。
- 事実と違う説明でカード会社や警察に申し出る。
- 一部返金を受け取るときに、何の清算なのかを決めないまま受け取る。
最後の点は見落とされがちです。受け取り方によっては、これで解決したという整理をされ、残りの部分を後から求めにくくなることがあります。
支払った方法によって、残る道が違う
現金を手渡した場合、振り込んだ場合、カードで決済した場合、その場で引き出して渡した場合とで、取れる手段は変わります。振込やカードには、店との交渉とは別に進められる手続が残っていることがあり、そこには時間の制約もあります。方法ごとの具体的な進め方は、それぞれ別の記事で扱っています。共通して言えるのは、気づいた時点から早く動くほど、残っている道が多いということです。
自分の側にも落ち度がある場合
店の決まりに反する行為があった、そのことで別に金銭を求められている、という場面では、返金の話と請求の話が同じ机の上に載ります。片方だけを進めると、もう片方で不利になることがあります。
落ち度があったとしても、店の求め方まで自由になるわけではありません。一方で、自分の言い分を整理しないまま返金だけを強く求めると、経過の説明が食い違い、別の請求の場面で不利に働くことがあります。順番と範囲を決めてから動きたい場面です。
弁護士に相談すると変わること
- 窓口が代わり、直接のやり取りが止まること。
- 求める金額とその根拠を、書面の形で示せること。
- 相手の説明の裏づけとなる資料を出すよう求めやすくなること。
- 交渉で終える方向か、手続に進む方向かの見極めがつくこと。
なお、弁護士でない人が報酬を得て代理人として交渉することは制限されています。相手方の担当者が弁護士かどうかは、確認しておいてよい点です。
まとめ
- 「ぼったくり」の中身は一つではなく、ずれの型を決めるところから始まる。
- 料金は、掲載や説明を見て頼み、店がそれを受けた時点でいったん決まる。
- 後から出てきた費目は、新しい取り決めがなければ根拠になりにくい。
- 争いの中心は総額ではなく、説明額と実際に払った額の差にある。
- 料金ページや予約時のやり取りは、書き換えられる前に残しておく。
- 条例の表示義務や取立ての規制には、対象となる営業と区域の範囲がある。
- 求め方を誤ると、返金を求めていた側の立場が変わることがある。
どこまで求められるかは、経過と残っている記録によって変わります。判断に迷う段階でも相談をお受けしています。


