【風俗トラブル】女性から「性病検査の結果を見せて」と求められたら?
本記事は2026年11月時点の法令をもとに作成しています。2023年の刑法改正による罪名の変更(強制性交等罪から不同意性交等罪へ)と、2025年6月に導入された拘禁刑を反映しています。
風俗店を利用した後に、警察から「お話を伺いたい」と電話が来たというご相談は少なくありません。電話の時点では、店が摘発されたのか、キャストから申告があったのか、事情が分からないまま通話が終わってしまうことが多いようです。
相談サイトにも、「担当者の名前を聞きそびれた」「何を答えたか思い出せない」といった声が見られます。電話の内容は時間が経つほどあいまいになり、後から弁護士に相談しようとしても、どの立場で何を聞かれたのかを再現できないことがあります。
この記事では、警察から連絡が来た段階で記録しておきたい事柄を、電話の内容・店とのやり取り・手元の証拠の3つの整理シートにまとめました。何を相談すべきかの確認項目は【風俗トラブル】警察から連絡が来た風俗トラブル|弁護士に相談する前のチェックリスト10項目で解説していますので、本記事では「記録の付け方」に絞ってご説明します。
警察からの連絡を記録しておく理由
警察からの電話は、相手が誰で、どの件について、どのような立場で話を聞きたいのかによって、その後の対応が大きく変わります。電話を受けた直後に記録を残しておくと、自分が参考人として呼ばれているのか、被疑者として扱われる可能性があるのかを見極める手がかりになります。
連絡の背景によって、聞かれることが変わる
利用した店が摘発された場合には、店の営業実態を確かめるために、客として参考人の立場で話を聞かれることが多いとされています(刑事訴訟法223条1項)。他方で、キャストや店から被害の申告があった場合には、当日の行為の内容や同意の有無が中心になり、被疑者として扱われる可能性があります。参考人として呼ばれた後に立場が切り替わる場面については、【風俗トラブル】参考人として呼ばれた|客が被疑者に切り替わる分岐点もあわせてご覧ください。
警察を名乗る電話が本物かを確かめる
警察官を名乗る人物から連絡があり、金銭の支払いを求められたという相談も見られます。警察が電話で示談金や罰金の振込みを求めることは通常考えにくいため、名乗られた警察署の代表番号を公式サイトなどで調べ、こちらからかけ直して担当者につないでもらうと確かめられます。かけ直した結果も、記録に残しておくとよいでしょう。
整理シートその1 警察からの連絡の記録
電話を受けたら、記憶が新しいうちに次の項目を書き出しておきます。分からなかった項目は空欄のままにしておき、推測で埋めないことが大切です。
| 記録する項目 | 書き方の例・注意点 |
|---|---|
| 連絡を受けた日時 | 着信の日付と時刻、通話の長さ。着信履歴の画面も保存しておく |
| 着信番号 | 表示された電話番号。非通知だった場合はその旨を書く |
| 名乗った所属と担当者 | 警察署名、課や係の名前、担当者の氏名 |
| 用件として告げられたこと | 「〇月頃に利用した店の件」など、相手が実際に口にした言葉 |
| 求められたこと | 出頭の日時・場所、持参する物、スマホなどの任意提出の求め |
| こちらが答えたこと | 認めたこと、否定したこと、答えを保留したこと |
| 次の連絡の約束 | 折り返しの期限、出頭日の調整など |
電話の最中に確かめておきたいこと
その場ですべてに答える必要はありません。所属と担当者名、用件、こちらから連絡するときの番号を確かめたうえで、「予定を確認して折り返します」と伝えて通話を終える方法もあります。出頭の日時は、弁護士に相談する時間を見込んで調整を申し出ることも考えられます。
相手の言葉と自分の受け止めを分けて書く
記録では、警察官が実際に言ったことと、自分がそう理解したことを分けて書くと、後で見返したときに誤解が生じにくくなります。たとえば「被害届が出ていると言われた」のか、「被害届が出ているのだろうと感じた」のかでは、意味が異なります。
整理シートその2 店・キャストとのやり取りの記録
警察からの連絡の前に、店やキャストとの間で何があったかも整理しておきます。連絡の背景を推し量るうえで欠かせない情報です。
- 店を利用した日時、店名、利用したコースと支払った料金。
- キャストの源氏名と、当日のやり取りの概要。
- 店やキャストから請求や申し入れがあった場合は、その日時・方法・金額。
- 「警察に行く」「被害届を出す」と告げられた場合は、誰がいつ言ったか。
- 示談書・念書・誓約書に署名した場合は、その日時と書面の内容。
- すでに支払った金銭がある場合は、日付・金額・支払方法。
店から「警察に行く」と告げられていた場合の記録の付け方は、【風俗トラブル】「警察に行く」と言われた風俗トラブルの記録の付け方|時系列メモに書く項目例で詳しく解説しています。示談を済ませた後に警察から連絡があった方は、【風俗トラブル】示談した後に警察から連絡が来ることはある?も参考になります。
整理シートその3 手元に残しておく証拠
記録とあわせて、次のような資料を手元に保存しておきます。原本を動かさず、スクリーンショットや写しを別に保存しておくと安心です。
| 資料 | 保存のしかた |
|---|---|
| 着信履歴・SMS | 日時と番号が分かる画面をスクリーンショットで保存する |
| 予約・利用の記録 | 予約メール、店のサイトのマイページ、来店記録の画面 |
| 支払いの記録 | クレジットカードの利用明細、振込の控え、領収書 |
| 店・キャストとのメッセージ | LINEやSMSのやり取りを、日付が分かる形で保存する |
| 書面 | 示談書・念書・請求書などの写真や写し |
| 録音 | 録音した場合は、録音日時と相手が分かるようにファイル名を付けておく |
利用した店が摘発された場合に、予約履歴や顧客名簿がどのように扱われるかについては、【風俗トラブル】利用した店が摘発された|顧客名簿・予約履歴はどこまで捜査に使われるのかで解説しています。
記録を付けるときに避けたいこと
記録を整える過程で、かえって不利な状況を招いてしまうことがあります。次のような行動は控えたほうがよいでしょう。
- 不安になって、店とのやり取りや写真などのデータを削除すること。
- キャストや店に連絡して、警察に何を話したかを確かめようとすること。
- 後から記録を書き換えること(追記する場合は、追記した日付を添える)。
- 記憶があいまいな点を、推測で具体的に書き込むこと。
特に、データの削除やキャストへの接触は、証拠を隠そうとしている、あるいは被害者に働きかけようとしていると受け取られるおそれがあります。在宅での捜査が続いている場合でも、こうした事情は逮捕の必要性を判断する材料になりかねません。記録は「残す」方向で整え、相手方への連絡は控えることを基本にしてください。
呼び出しの前後で記録をどう生かすか
出頭の前に弁護士と記録を共有する
3つの整理シートと証拠がそろっていれば、限られた相談時間でも、連絡の背景や今後の見通しを具体的に検討しやすくなります。警察署で何をどこまで話すかは、事実関係と証拠の状況によって判断が分かれますので、出頭前に方針を確認しておくことをおすすめします。
取調べを受けたら、終わった直後に書き残す
取調べの最中にメモを取ることは、法律上禁止されているわけではないものの、実際には認められないことが多いようです。そのため、警察署を出たらできるだけ早く、聞かれたこと、答えたこと、黙秘権の告知があったかどうか(刑事訴訟法198条2項)を書き残しておきます。黙秘権の告知があった場合は、被疑者として取調べを受けたと考えられます。
また、供述調書は読み聞かせや閲覧によって内容を確認でき、誤りがあれば訂正を申し立てることができます(同法198条4項)。署名押印を拒むこともできます(同条5項)。調書への向き合い方は、「認める調書」を作られないために|風俗トラブルの取調べ対応の注意点で解説しています。
よくあるご質問
警察からの電話に出られなかった場合、折り返したほうがよいですか
留守番電話や着信履歴から所属が分かる場合は、代表番号を調べたうえで折り返すのが一般的です。被疑者として呼ばれている場合に連絡を無視し続けると、逃亡のおそれがあると判断される材料になることがあります。折り返す前に弁護士に相談しておくと、何を伝えるかを落ち着いて決められます。
電話の内容を録音してもよいですか
自分が当事者となっている通話を、記録のために録音すること自体は、直ちに違法とされるものではないと考えられています。ただし、録音できなかった場合でも、通話直後に整理シートの項目を書き出しておけば、相談の材料としては十分に役立ちます。
スマホを任意で提出するよう求められました。記録はどうすればよいですか
提出を求められた日時、提出するよう言われた物、理由として告げられたことを記録しておきます。応じるかどうかを決める前に確かめたい点は、【刑事事件】警察に「スマホを任意で出してほしい」と言われた|応じる前に確認することで解説しています。
まとめ
- 警察からの連絡は、電話の直後に記録を残しておくことで、参考人か被疑者かといった立場を見極めやすくなります。
- 記録は、警察からの連絡・店やキャストとのやり取り・手元の証拠の3つに分けて整理すると、見落としが少なくなります。
- 警察を名乗る電話で金銭を求められた場合は、警察署の代表番号にかけ直して確かめることができます。
- データの削除やキャストへの接触は、証拠隠滅や被害者への働きかけと受け取られるおそれがあるため控えます。
- 取調べでは黙秘権の告知の有無(刑事訴訟法198条2項)を確かめ、終わった直後に聞かれたことと答えたことを書き残します。
- 供述調書は内容を確認して訂正を申し立てることができ(同条4項)、署名押印を拒むこともできます(同条5項)。
警察から連絡が来てお困りの方へ
警察から連絡が来た段階では、何が起きているのかが分からず、記録を付ける余裕もないまま出頭の日を迎えてしまう方もいらっしゃいます。整理シートがすべて埋まっていなくても、手元の着信履歴やメッセージをもとに、事実の整理から始めることができます。より早い段階で弁護士に相談する意味については、【刑事事件】警察から電話が来た段階で弁護士に相談する意味もご覧ください。
同じような状況でも、経緯や残っている記録によって取れる手段は変わります。どこから手をつければよいか判断がつかない段階でも、事実を整理するところからご一緒できます。
当事務所では、電話・メール・LINEのうちご希望の方法でご相談をお受けしています。ご都合のよい手段をお選びください。
早い段階でご相談いただくほど、選べる手立ては多く残ります。迷っている段階でも、まずはお気軽にお声がけください。


