【解決事例】常連客に対するキャンセル料と慰謝料請求|デリヘル店とのトラブルを解決した事例
入店前や予約の段階で聞いていた金額と、会計で示された金額が大きく違う。風俗店や接待を伴う飲食店で、こうした「事前説明と違う高額料金」を請求される相談は少なくありません。その場は店側のスタッフに囲まれて焦りやすく、早く終わらせたい一心で支払いや署名に応じてしまうと、後から取り戻すことが難しくなる場合があります。
この記事では、会計の場面で高額な請求を示されたときに、その場で何をどの順番で確認し、何には応じないでおくべきかを整理します。店を出た後にできることや、弁護士に相談する目安もあわせて解説します。
この記事は、2025年6月28日に施行された改正風営法と、東京都の「性風俗営業等に係る不当な勧誘、料金の取立て等及び性関連禁止営業への場所の提供の規制に関する条例」(いわゆるぼったくり防止条例)を前提にしています。業態や店の所在地によって適用される規制は異なりますので、個別の事情は専門家にご確認ください。
最初に押さえておきたい考え方
料金は、本来、店と客との間で合意した内容で決まるものです。入店前にキャッチから「1時間〇円ですべて込み」と言われていた、予約時のメッセージやサイトにコース料金が明示されていた、といった事情があれば、それを大きく超える金額について、当然に支払義務があるとはいえません。事前の説明と食い違う部分は、契約の内容になっていない、あるいは錯誤や詐欺を理由に取り消せる、と主張できる場面があります。
一方で、実際に受けたサービスや注文した飲食の分まで支払わなくてよいわけではありません。すべての支払いを拒んで立ち去ると、店側から「無銭飲食だ」「代金を踏み倒した」と言われ、話がこじれるきっかけになることもあります。その場では、認める金額と争う金額を分けて考えることが、対応の軸になります。
詳しい法的な整理は、風俗・メンエスで法外な料金を請求された|支払いを拒否できるケースで解説しています。
その場で確認する順番
会計の場面で高額な金額を示されたら、次の順番で確認していくと、慌てた中でも判断を誤りにくくなります。
- 身の安全と、店の外へ出られる状態かどうか。
- 請求の内訳と、それぞれの金額の根拠。
- 事前に聞いていた料金との食い違い。
- 認める金額と争う金額の切り分け。
- やり取りの記録。
- 警察を呼ぶかどうかの判断。
身の安全と退路を確保する
何よりも優先したいのは、ご自身の安全です。複数のスタッフに囲まれている、出口をふさがれている、大声で威圧されているといった状況では、金額の交渉よりも、まず危険から離れることを考えてください。
店側が出口をふさいで帰らせない、所持品を取り上げて立ち去れないようにする、といった行為は、状況によっては監禁や強要などの犯罪にあたる可能性があります。身の危険を感じる場合は、ためらわずに110番通報を検討してください。帰してもらえない場面の法的な整理は、その場から帰してもらえない|監禁と不退去の境界で取り上げています。
請求の内訳と根拠を確かめる
次に、合計金額だけでなく、何にいくらかかっているのかを具体的に尋ねます。基本料金、延長料金、指名料、オプション料金、キャストの飲み物代、サービス料、税といった項目ごとに、金額と回数を確認してください。
あわせて、料金表を見せてもらうよう求めます。明細やレシートを出してもらえるなら受け取り、出してもらえない場合はその事実自体を覚えておきます。キャストのドリンクや追加のオプションが、頼んだ覚えのないまま加算されていることも少なくありません。
事前の説明と照らし合わせる
内訳が分かったら、入店前や予約時に聞いていた内容と比べます。照らし合わせに使えるのは、たとえば次のようなものです。
- キャッチや受付スタッフから口頭で聞いた料金と、その説明の言い回し。
- 予約時の電話やメッセージで示されたコースや金額。
- 店のサイトや予約サイトに表示されていた料金。
- 入店時や受付で見せられた料金表やメニュー。
- 「飲み放題」「追加料金なし」などと告げられた時点と、その場にいた人。
スマホにメッセージや画面のスクリーンショットが残っていれば、その場で示すことも考えられます。ただし、スマホを店側に手渡す必要はありません。画面を見せるにとどめ、端末そのものは手元から離さないようにしてください。
認める金額と争う金額を分けて伝える
食い違いが確認できたら、「事前に説明を受けた〇円は支払います。それを超える部分は説明を受けていないので、この場では支払えません」というように、認める部分と争う部分を分けて伝えます。
支払う意思がある金額をはっきり示しておくことで、店側の「代金を払わずに帰ろうとしている」という言い分を弱めることができます。争う部分について、その場で結論を出す必要はありません。「後日、改めて話をします」「弁護士を通じて連絡します」と伝えて、持ち帰るという選択も取れます。
やり取りを記録する
後から事実関係を説明するために、やり取りの記録が重要になります。録音ができる状況であれば、会計の場面からの会話を録音しておくことが考えられます。録音が難しい場合でも、店を出た直後に、店名、所在地、入店と退店の時刻、対応したスタッフの特徴、示された金額と内訳、言われた言葉を、できるだけ早くメモに残してください。
キャッチに案内された場合は、声をかけられた場所や時刻、キャッチの外見や言葉も記録しておくと、後の相談や申告の際に役立ちます。
警察を呼ぶ判断
料金が適正かどうかは民事の問題とされ、警察官が金額の当否を判断することは通常ありません。それでも、店側が威圧的な態度をとる、帰らせない、所持品を返さない、手を出してくるといった場合には、身の安全を確保し、その場の状況を記録に残してもらう意味で、110番通報が選択肢になります。
店側から「警察を呼ぶ」と言われた場合も、慌てる必要はありません。認める金額を支払う意思があることを警察官の前で示せば、少なくとも代金を払わずに逃げようとしたわけではないことを伝えられます。
その場で応じないでおきたいこと
高額な請求の場面では、支払いを急がせるために、さまざまな要求が重ねられることがあります。次のような求めには、その場で応じないでおくことをおすすめします。
| 店側から求められること | 応じない理由 | 代わりの対応 |
|---|---|---|
| コンビニのATMへの同行や、カードの切り直し | 移動先でさらに威圧される場面が生じやすく、引き出した現金は取り戻しにくくなります | 認める金額だけを示し、それ以上はその場で払わないと伝える |
| 身分証・スマホ・財布を預けること | 返還を条件に支払いを迫られる材料になり、個人情報が控えられるおそれもあります | 手元から離さず、店側に渡さない |
| 借用書・念書・誓約書への署名 | 争うつもりの金額を、自分で認めた形の書面が残ってしまいます | 内容が分からない書面には署名せず、持ち帰って検討すると伝える |
| 家族や勤務先の連絡先を伝えること | 後日の連絡や取立ての手がかりにされることがあります | 連絡は自分か弁護士が受けると伝える |
| 「今払えばこの場で終わる」という即時の全額払い | 支払った後に追加の請求が続く例もあり、終わる保証はありません | その場で結論を出さず、持ち帰る |
| 個人名義の口座への振込 | 店の正式な口座かどうか確かめにくく、振り込んだ後の回収が難しくなります | 振込には応じず、正式な請求書面を求める |
ATMに連れて行かれる場面についてはATMで金を下ろさせられる・カードを切らされる|悪質な恐喝からの離脱法、所持品を預けさせられた場面については【風俗トラブル】財布やスマホを店に預けさせられた|所持品を返してもらう方法、即時払いを迫られた場面については【風俗トラブル】「今すぐ払えばこの場で終わる」と言われた|即時払いを求められたときの判断で、それぞれ詳しく解説しています。
東京都の条例と改正風営法で確認できること
事前説明と違う料金をめぐっては、店側の行為を規制するルールもあります。その場で条文を示して交渉する必要はありませんが、後の申告や交渉の前提として知っておくと役立ちます。
いわゆるぼったくり防止条例
東京都の条例は、公安委員会が指定した区域で営まれる店舗型の性風俗店や、酒類を提供して接待をする店などを対象に、料金や違約金などを店内の見やすい場所に表示することを義務づけています(条例3条)。また、勧誘や広告の際に料金を実際より著しく安いと誤認させるような説明をすることや、乱暴な言動を交えたり、預かった所持品を隠したりする方法で料金を取り立てることも禁じています(条例4条)。
指定区域には、新宿・歌舞伎町、池袋、新橋などの繁華街が含まれています。一方で、派遣型の店舗やソープランドは、この規制の対象から外れるなど、業態によって適用の有無が分かれます。対象になるかどうかは、店の業態と所在地で確認することになります。
2025年6月施行の改正風営法
改正後の風営法(18条の3)では、キャバクラやホストクラブなどの接待飲食営業について、料金に関する虚偽の説明や、客が注文していない飲食の提供などが、営業者のしてはならない行為として定められました。注文や支払いをさせる目的で客を威迫する行為には、罰則も設けられています。
ただし、これらは接待飲食営業を対象とした規定で、性風俗店にそのまま当てはまるものではありません。キャバクラなどで事前説明と違う料金を示された場合には、こうした規定を踏まえて、警察署の生活安全課などへの申告を検討する余地があります。改正の全体像は【2025年6月施行】改正風営法で何が変わったか|色恋営業と売掛金の規制で、申告の進め方は【風俗トラブル】公安委員会への申告はどう行うのか|110番・生活安全課との使い分けで解説しています。
支払ってしまった後・店を出た後にすること
その場で支払ってしまった場合でも、早めに動くことで取れる手立てが残ることがあります。
クレジットカードで支払った場合
できるだけ早くカード会社に連絡し、事情を伝えてください。分割払いやリボ払いで一定の金額以上を支払った場合には、割賦販売法の支払停止の抗弁を主張できる可能性があります。1回払いの場合は法律上の対象にならないことが多いものの、カード会社が独自に調査や対応を行う場合もありますので、利用明細が確定する前に相談しておくことが大切です。詳しくはクレジットカードで高額決済させられた|取消・チャージバックは可能かをご覧ください。
現金や振込で支払った場合
現金での支払いは、後から返還を求めることが簡単ではありません。それでも、脅されて支払った、説明と違う金額だと分かっていながら支払わざるを得なかったといった事情があれば、返還を求める道筋を検討できる場合があります。振込の場合は、振込先の金融機関への連絡を急ぐことも考えられます。振込直後の対応は【風俗トラブル】振り込んでしまった直後|振込を止められるか・取り戻せるかで、返還の考え方は払ってしまった後に取り戻せるか|恐喝・強迫を理由とする返還で取り上げています。
相談先と記録の整理
店を出た後の主な相談先には、次のようなものがあります。
- 店の所在地を管轄する警察署(緊急でない相談は警察相談専用電話#9110)。
- 消費者ホットライン(188)につながる最寄りの消費生活センター。
- 風俗トラブルや不当要求に対応している弁護士。
どの窓口に相談する場合でも、先に挙げたメモや録音、明細、カードの利用通知、事前の料金説明が分かる画面などを、日付順にまとめておくと話がスムーズに進みます。行政への申告と返金交渉を並行させる手順は、【風俗トラブル】料金の説明が事前と違った|行政への申告と返金交渉を並行させる手順で解説しています。
弁護士に相談したほうがよい場面
請求額が数万円程度で、店側も話し合いに応じているようであれば、ご自身で交渉して解決できることもあります。一方で、次のような事情がある場合は、早めに弁護士へ相談することを検討してください。
- 借用書や念書などに署名してしまった。
- 身分証や連絡先を控えられ、家族や勤務先への連絡をほのめかされている。
- 店を出た後も電話やメッセージで支払いを求められている。
- 請求額が高額で、カードの支払いや振込がすでに済んでいる。
- 本番行為や盗撮などを理由に、料金以外の金銭も求められている。
弁護士が代理人として窓口になることで、店側との直接のやり取りを止め、請求の根拠を書面で確かめながら交渉を進めることができます。ご自身で対応するか任せるかの判断材料は、【風俗トラブル】店との交渉を自分でするか弁護士に任せるか|分かれ目になる5つの事情にまとめています。
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事前の説明と違う高額な料金を示されたときは、その場で全額を払うか払わないかの二択で考えず、安全を確保したうえで、内訳を確かめ、認める部分と争う部分を分けることが出発点になります。署名や所持品の預け入れ、ATMへの同行といった求めには応じず、記録を残して持ち帰ることで、後から取れる手立てを残しておくことができます。
同じような状況でも、経緯や残っている記録によって取れる手段は変わります。どこから手をつければよいか判断がつかない段階でも、事実を整理するところからご一緒できます。
当事務所では、電話・メール・LINEのうちご希望の方法でご相談をお受けしています。ご都合のよい手段をお選びください。
早い段階でご相談いただくほど、選べる手立ては多く残ります。迷っている段階でも、まずはお気軽にお声がけください。


