【解決事例】メンズエステでの罰金100万円請求|示談交渉で44万円に減額し刑事事件化を回避した事例
風俗店やメンズエステ、ホテルでのサービス中に「今、撮っていましたよね」と声をかけられると、多くの方は頭が真っ白になります。そのまま店の事務所に通され、スマホを見せるよう求められ、身分証や示談書、その場での支払いへと話が進んでいくこともあります。この記事では、盗撮を疑われて店に呼び止められた場面について、その場で確かめておきたいことと、すぐには応じないほうがよいことを、手順の形で整理します。
本記事は、2023年7月に施行された性的姿態撮影等処罰法(いわゆる撮影罪)と、2025年6月に施行された拘禁刑への一本化を反映しています。実際にとるべき対応は個別の事情によって変わりますので、具体的な判断は弁護士にご相談ください。
呼び止められた直後に求められやすいこと
盗撮の疑いをかけられた場面では、店側から次のような求めが立て続けに出てくることがあります。
- スマホやカバンの中身を見せること。
- 画像や動画をその場で削除すること。
- 運転免許証などの身分証を見せる、撮影させる、預けること。
- 示談書・念書・借用書に署名すること。
- その場で現金を払うこと、ATMまで同行すること。
- 家族や勤務先に連絡させること。
どれも、その場の空気に押されて応じてしまいやすいものです。しかし、店のスタッフには警察のような捜査の権限はなく、これらの求めに応じる法的な義務があるとは限りません。一方で、感情的に拒んで立ち去ろうとすると、かえって話がこじれることもあります。大切なのは、一つひとつの求めに即答せず、「何を疑われているのか」「誰と話しているのか」を確かめながら、考える時間を確保することです。
その場での初動手順
手順1 何を疑われているのかを具体的に確かめる
最初に確かめたいのは、相手が「いつ、どの機器で、何を撮ったと言っているのか」です。スマホを向けていたと言うのか、カバンの中の物をカメラだと言っているのか、録音を問題にしているのかによって、その後の話の進み方は変わります。
撮っていないのであれば、そのことを落ち着いて短く伝えます。注意したいのは、場を収めようとして「すみません」「申し訳ない」と口にすることです。盗撮を疑われた人が、警察署で強く責められて思わず謝ってしまい、その一言が撮影を認めたものとして扱われたという弁護士の紹介例もあります。迷惑をかけたことへのおわびと、撮影したことを認める発言とは、分けて考えておくことが大切です。
手順2 やり取りを記録する
トラブルが起きたら、スマホなどで録音を始めてやり取りを残しておくことが、身を守るうえで重要だと指摘する弁護士もいます。誰がどのような言葉で何を求めたのかは、後で請求の妥当性や、恐喝などにあたる言動があったかを検討する際の材料になります。自分が参加している会話を録音すること自体は、ただちに違法となるものではないと考えられています。
ただし、盗撮を疑われている場面でスマホを操作すると、「データを隠そうとしている」と受け取られることがあります。録音する場合は、操作を隠さず「やり取りを録音します」と伝えてもよいでしょう。録音が難しいときは、店を出た直後にメモを残すことで代えられます。録音の扱いは【風俗トラブル】店内での録音は証拠になるのか|秘密録音と盗聴の境界(風俗の場面)で詳しく解説しています。
手順3 相手と場所の情報を控える
店名、話をしている人の名前や立場、その場にいる人数、部屋や事務所の場所、時刻を把握しておきます。キャストの名前(源氏名)や、店の電話番号の着信履歴も、後で弁護士が店と連絡をとる際の手がかりになります。名前を名乗らない相手には、「後で連絡をとるために、お名前を伺えますか」と尋ねてかまいません。
手順4 スマホは渡さず、データも消さない
「スマホを見せろ」と言われても、店のスタッフに端末を渡したり、ロックを解除したりする義務があるわけではありません。端末を渡すと、問題とされている場面とは関係のない写真や連絡先、勤務先の情報まで見られてしまうおそれがあります。警察が関与した場合でも、端末を提出するかどうかは、任意提出に応じるか、裁判所の令状に基づく手続によるかという形で進みます。この点は盗撮でスマホを見せろと言われた|任意提出とロック解除で整理しています。
反対に、慌てて画像や動画を削除することは避けてください。削除したデータは復元できることがあり、消したという事実そのものが、証拠を隠そうとしたと受け取られるおそれがあります。店から「消せば終わりにする」と言われた場合も同様です。詳しくは撮影データを消してしまった|証拠隠滅と復元の実際をご覧ください。
手順5 身分証・書面・支払いはその場で決めない
身分証を撮影されたり預けたりすると、住所や勤務先を知られ、後日の連絡や請求につながりやすくなります。示談書や念書に署名すると、金額や条件が書面として残り、後からその効力を争うには手間がかかります。その場での支払いも、支払った事実が既成事実のように扱われがちです。
盗撮の被害を受けたのは撮影されたキャスト本人であり、店に対して当然に金銭を払う義務があるわけではありません。店が求めた迷惑料について、利用者に支払う義務はないと判断した裁判例(東京地方裁判所平成29年2月28日判決)も紹介されています。「書面と金額は持ち帰り、弁護士と相談してから返事をします」と伝え、その場では決めない姿勢をとることが一つの方法です。身分証については身分証の提示・撮影を求められた場合|応じる義務と拒否の帰結で解説しています。
手順6 帰してもらえないときは警察への連絡も選択肢にする
店のスタッフが客を引き留められるのは、現行犯として私人が逮捕する場面などに限られ、その場合も速やかに警察へ引き渡すことが前提です。長時間にわたって部屋から出さない、出口をふさぐ、大声で威圧するといった対応は、監禁や恐喝などの問題になることがあります。
身の危険を感じるときや、帰してもらえない状態が続くときは、自分から110番通報することも選択肢です。警察を呼ぶことに抵抗を感じる方は多いのですが、公的な手続の中で事実を確かめてもらうことで、密室での一方的な要求から離れられる面もあります。ただし、力ずくで振り切って逃げることは、別のトラブルや不利益につながりやすいため避けたいところです。この場面はその場から帰してもらえない|監禁と不退去の境界でも扱っています。
手順7 弁護士に連絡し、話し合いの窓口を代える
その場にいる間でも、弁護士に電話をして状況を伝えることはできます。弁護士がその場で店の担当者と電話で話し、以後の連絡は弁護士を通すと伝えることで、要求が一方的に進むのを止められることがあります。風俗トラブルをめぐっては、弁護士ではない店の関係者が客との示談交渉や示談金の受け取りをしたとして、弁護士法違反の疑いで逮捕されたという報道もあり、店が交渉の前面に出ること自体が問題とされる場合もあります。自分で対応するか弁護士に任せるかの目安は、【風俗トラブル】店との交渉を自分でするか弁護士に任せるか|分かれ目になる5つの事情にまとめています。
その場で応じないことと、代わりにできること
| 求められること | すぐに応じないほうがよい理由 | 代わりにできること |
|---|---|---|
| スマホを渡す・ロックを解除する | 無関係なデータまで見られ、材料にされるおそれがある | 端末は手元に置き、警察が関与する場合は手続の説明を受けてから判断する |
| 画像や動画を削除する | 証拠を隠したと受け取られ、後で不利に扱われることがある | 消さずにそのまま保存しておく |
| 身分証を預ける・撮影させる | 住所や勤務先を知られ、後日の連絡や請求につながりやすい | 連絡先は弁護士を通して伝えると申し出る |
| 示談書・念書・借用書に署名する | 金額や条件が固まり、後から争う手間が増える | 書面は持ち帰って確認すると伝える |
| その場で現金を払う・ATMへ行く | 支払った事実が既成事実として扱われやすい | 金額の話は弁護士を通すと伝える |
| 家族や勤務先に電話する | 話が広がり、交渉の主導権を失いやすい | 連絡が必要なら自分または弁護士から行う |
撮っていない場合と、撮影してしまった場合の違い
撮っていないのに疑われている場合
テーブルに置いていたスマホやカバンの中の機器が、カメラを向けていたように見えたというのはよくある誤解の形です。この場合は、事実を短く説明し、細かな言い訳は重ねないほうが話は整理されます。疑いを晴らすために自分で写真フォルダを開いて見せるかどうかは、見せる範囲や相手の態度によって判断が分かれるため、迷うときは弁護士に相談してから決めても遅くはありません。誤解をめぐる事例として【解決事例】性風俗店での誤作動による盗撮トラブル|弁護士の付き添い交渉で誤解を解き事件化を阻止した事例もご参照ください。
撮影してしまった場合
実際に撮影していた場合でも、逃げる、データを消す、相手の言うままに高額の書面に署名するといった対応は、状況を悪くすることがあります。撮影罪の法定刑は3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金とされ、未遂も処罰の対象です。一方で、被害を受けたキャスト本人との間で適切な示談ができるかどうかは、その後の刑事手続の見通しに影響することがあります。示談の相手方と金額は、店の言い分だけで決めず、弁護士を通して整理することが大切です。撮影に気づかれた直後の対応は撮影に気づかれた直後の店内対応|その場で求められることと応じる範囲で詳しく解説しています。
店を出た後、当日と翌日にすること
店を出たら、記憶が新しいうちに、入店から退店までの時刻、言われたこと、求められたこと、応じたことと応じなかったことを書き出しておきます。スマホのデータは削除や整理をせず、そのままにしておきます。書面に署名してしまった場合は、写真を撮ったかどうか、控えを受け取ったかどうかも確認しておきましょう。
店からの着信が続いても、その都度一人で折り返して条件の話をすることは控え、できるだけ早く弁護士に相談して窓口を代えることを検討してください。身分証や財布を預けたまま帰ってしまった場合には、【風俗トラブル】財布やスマホを店に預けさせられた|所持品を返してもらう方法も参考になります。
よくあるご質問
店から「警察を呼ぶ」と言われたら、その場で待ったほうがよいですか
一般的には、その場を離れずに警察の到着を待ち、事実を説明するほうが、逃げたと受け取られるおそれを避けられます。その場から逃げると、逃亡や証拠隠滅のおそれがあるとみられ、かえって逮捕の可能性が高まることがあると指摘されています。待っている間に弁護士へ連絡しておくと、警察への説明や、その後の取調べへの備えについて助言を受けられます。
身分証をすでに撮影されてしまいました。もう手遅れですか
撮影されたこと自体を元に戻すことは難しいものの、その後の連絡の窓口を弁護士に代え、画像の削除や、家族・勤務先へ連絡しないことを示談の条件に含めるよう求めることはできます。手遅れと考えて言われるままに支払う前に、ご相談ください。
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盗撮を疑われた場面では、スマホ・身分証・書面・支払いのどれについても、その場で決めてしまわないことが、後の選択肢を残すことにつながります。撮っていない場合も、撮影してしまった場合も、早い段階で事実関係を整理しておくことが大切です。
同じような状況でも、経緯や残っている記録によって取れる手段は変わります。どこから手をつければよいか判断がつかない段階でも、事実を整理するところからご一緒できます。
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