示談金の水準をどう判断するか|提示額を検証する4つの視点
性風俗店を利用した際、携帯電話の録画機能が意図せず作動していたことから盗撮を疑われ、店舗から繰り返し連絡を受けてご相談にいらしたケースをご紹介します。
ご相談の概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 依頼者 | Aさん(20代・男性・会社員) |
| 相談内容 | 性風俗店の利用中に携帯電話の録画機能が作動していたことで盗撮を疑われ、店舗から複数回連絡が入っていた |
ご依頼に至る経緯
Aさんは、関西地方のある地方都市で、性風俗店(デリバリーヘルス)を利用しました。キャストの女性がホテルに到着する前に、鞄に入れていた携帯電話の録画機能が何らかの理由で作動していましたが、Aさん自身はこれに気づかないまま、女性をホテルの部屋に迎え入れました。
女性は、鞄が不自然な位置に置かれていたことから位置を変えようとした際に、録画機能が作動していることに気づきました。Aさんは録画するつもりは一切なかったこと、自分でも気づかないうちに機能が作動していたことを説明しましたが、女性は納得せず、店舗のスタッフに連絡すると言い出しました。Aさんは戸惑い、女性をホテルの部屋に残したまま一人でホテルを後にしました。
その後、店舗の責任者を名乗る人物からAさんの携帯電話に何度も着信がありましたが、Aさんは不安から電話に出ることができませんでした。このまま対応をしないでいると警察が介入するのではないか、自宅や職場に相手方が来るのではないかと不安になり、弊所に相談されました。
盗撮を疑われた場合に問われうる罰則と、その後の対応の考え方については、風俗・メンエスで盗撮がバレた|撮影罪(性的姿態撮影等処罰法)の罰則と対応で詳しく解説しています。
弁護士の対応と解決への流れ
Aさんは、店舗からの入電の多さに強い不安を感じておられ、実際には撮影の意図がなかったにもかかわらず誤解を与えてしまったこと、女性に説明しても納得してもらえなかったことから、店舗にも同様の説明をしても理解を得られないのではないかと考えておられました。
当職からは、実際に撮影の意図がなかったのであれば、その点を誠実に説明するほかないこと、撮影がされていないのであればその旨を伝えて安心してもらうべきであることをお伝えしました。あわせて、任意の事情聴取が行われる可能性は否定できないものの、証拠が確認できない段階ですぐに警察が事件化することは考えにくいこと、職場を知られる可能性は一般的に低いこと、自宅についても、弁護士が携帯電話の契約者情報を調査するなどの対応をしない限り知られる可能性は低く、店舗の関係者が自宅を訪ねてくることも通常は考えにくいことを説明しました。
その上で、ご自身で店舗と話をしてみる方法もあるとお伝えしましたが、Aさんは穏便な解決を希望されつつも、ご自身での連絡には不安を感じておられたため、当職が対応をお引き受けすることになりました。
ご依頼後、店舗の責任者と称する人物に連絡したところ、店舗側は盗撮行為の有無を疑っており、特に動画が拡散されることをキャストの女性が不安に感じていること、動画が撮影されていないことが確認でき、携帯電話に残る動画を削除してもらえるのであればそれ以上大きな問題にするつもりはないとの意向が示されました。あわせて、動画については店舗の事務所でAさん立ち会いのもと直接確認し、その場で削除してほしいとのことでした。
携帯電話を当職が預かって操作することは適切ではないと考え、店舗事務所への同行を提案しましたが、Aさんは当初難色を示されました。そこで、遠隔で削除の様子を記録し証拠化する方法も提案しましたが、店舗側が受け入れず、警察へ被害相談をする意向を示したことから、Aさんと相談のうえ、当職も同行して店舗事務所を訪問することにしました。
その後、店舗責任者と日程を調整し、事前に取り交わす合意書案を確認していただいたうえで、Aさんとともに店舗事務所を訪問しました。店舗責任者及び当職の立ち会いのもと、Aさんに携帯電話を操作していただき、動画の内容を確認のうえ削除していただきました。あわせて、他の保存先にデータが残っていないかについても確認していただきました。
Aさんは、誤解を与えたことについて店舗責任者に謝罪するとともに、その場を離れてしまったこと、キャストの女性を不安にさせてしまったことへのお詫びとして、少額の解決金を支払う意向を示されたため、合意書を取り交わしたうえで支払いを行い、終件となりました。
解決結果と弁護士のコメント
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 請求額 | 相手方からの金銭請求はなく、動画の削除が求められた |
| 刑事処分 | 被害届の提出はなく、逮捕や前科にはつながらなかった |
| 職場・家族 | 職場や家族に知られることなく解決した |
弊所では性風俗店における盗撮に関する事案を数多く取り扱ってまいりましたが、本件は、撮影の意図がなかったにもかかわらず携帯電話の撮影機能が作動していたことでトラブルとなった、比較的珍しいケースでした。
盗撮を疑われた方が撮影の意図はなかったと説明されることは少なくありませんが、店舗やキャストの方に信用してもらえないことも多く、動画の撮影状況や内容によっては、説明が苦しいと判断される場合もあります。本件では、携帯電話が鞄に入れられており、鞄の外を撮影できる状態ではなかったこと、実際に動画にも鞄の外の様子が残っていなかったことから、Aさんの説明には一定の裏付けがあったといえます。
もっとも、店舗側の対応にも理解できる面があります。性風俗店における盗撮被害は少なくなく、撮影された動画がインターネット上で流通してしまうケースもあります。動画が一度拡散されると、完全に削除することは現実的に難しく、被害は長期間にわたって続くことがあります。そのため、性風俗店やキャストの方は盗撮行為を警戒しており、疑いが生じた場合には、刑事事件化を含めて厳しい対応をとる傾向があります。
こうした店舗側の事情を踏まえると、サービスの利用にあたっては、携帯電話などの撮影機能がある機器を鞄に入れておくだけでなく、機器が誤作動を起こしていないかをあらかじめ確認しておくことも、トラブルを防ぐ一つの方法といえるでしょう。
それでも盗撮を疑われるようなことがあった場合には、店舗側からの働きかけを受けて、事実と異なる内容を認めたり、高額な解決金の支払いに応じたりする前に、弁護士にご相談いただくことをおすすめします。
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本件と関連する内容について、次の記事で解説しています。
同種のトラブルでお悩みの方へ
性風俗店の利用中に盗撮を疑われるトラブルは、意図の有無にかかわらず生じることがあります。ご自身での対応に不安がある場合や、店舗とのやり取りをどのように進めればよいか分からない場合には、早めに弁護士へご相談ください。


