【風俗トラブル】女性をホテルに呼んだ後にキャンセルしたら、全額請求される?
本記事は、2026年11月時点の法令(2023年7月施行の性的姿態撮影等処罰法、2025年6月施行の拘禁刑への一本化を含む)に基づいて解説しています。個別の事情によって結論が変わることがあるため、具体的な対応はご相談のうえで判断してください。
風俗店やデリヘルの利用中に「盗撮しただろう」と疑われると、店のスタッフを呼ばれ、スマホの確認や身分証の提示、示談書への署名などを短い時間のうちに次々と求められることがあります。突然のことで、何に応じてよく、何を断ってよいのか判断がつかないまま、その場の流れで対応してしまう方も少なくありません。
本記事では、店内での盗撮の疑いについて当事務所に寄せられるご相談のうち、特に多い疑問を12問に絞り、場面ごとに回答します。実際に撮影してしまった場合と、撮影していないのに疑われている場合とでは考え方が異なる部分があるため、それぞれの立場に触れながら説明します。
店内で疑われたその場の対応についてのご質問
盗撮を疑われて店のスタッフを呼ばれました。その場から帰ってもよいのでしょうか
店のスタッフには、客を部屋に留め置いたり、帰らせないようにしたりする一般的な権限はありません。犯罪をその場で現認した場合には一般の人でも現行犯逮捕ができるとされていますが(刑事訴訟法213条)、その場合は直ちに警察に引き渡す必要があり(同法214条)、店が独自に長時間引き留めて交渉を続けることまで認められているわけではありません。
一方で、話し合いの途中で強引に立ち去ると、店側が「逃げた」と受け止め、警察への通報に進むきっかけになることもあります。帰るか帰らないかの二択で考えるよりも、「弁護士に相談してから改めて連絡する」と伝えて話を区切る、身の危険を感じるときは自分から110番するなど、落ち着いて場を収める方法を選ぶほうが、その後の対応につなげやすくなります。
その場で求められやすい事柄と応じる範囲については、撮影に気づかれた直後の店内対応|その場で求められることと応じる範囲で詳しく解説しています。
スマホを見せるよう求められました。見せなければならないのでしょうか
店のスタッフやキャストには、客のスマホの中身を見せるよう強制する法的な権限はありません。見せるかどうかは本人が判断できます。警察官から求められた場合も、令状がない段階では任意の提出や確認の依頼にとどまります。ただし、令状に基づく差押えが行われた場合には、拒むことはできません。
撮影していないことをはっきりさせたいという理由で、自分から画面を見せる方もいます。その場合でも、ロックを解除したスマホを相手に手渡すと、写真以外の連絡先やメッセージまで見られたり、画面を撮影されたりするおそれがあります。見せるとしても自分の手元で操作する、見せた範囲を後で説明できるようにしておくなど、範囲を区切ることが大切です。あわせて盗撮でスマホを見せろと言われた|任意提出とロック解除もご覧ください。
身分証や財布を店に預けさせられました。返してもらえますか
身分証や財布、スマホは客本人の持ち物であり、店がそれを預かり続ける正当な根拠は通常ありません。返還を求めることができます。ただ、本人が直接返還を求めても、示談金の支払いと引き換えにされるなど、交渉の材料として扱われてしまうことがあります。
身分証を撮影された場合は、氏名・住所・生年月日などの情報が店側に渡っているため、家族や勤務先への連絡を心配される方が多くいらっしゃいます。原本を預けたのか、撮影されたのか、コピーを取られたのかを早めに整理しておくと、その後の対応を考えやすくなります。詳しくは身分証の提示・撮影を求められた場合|応じる義務と拒否の帰結、【風俗トラブル】財布やスマホを店に預けさせられた|所持品を返してもらう方法で扱っています。
その場で示談書や念書に署名してしまいました。書いた金額を払わなければなりませんか
署名した書面は、原則として合意の証拠として扱われます。そのため、書いたものがすべて無効になるとは言えません。一方で、複数のスタッフに囲まれ、帰してもらえない状況で書かされた場合など、署名の経緯によっては強迫による意思表示として取り消せる可能性があります(民法96条)。また、金額が事情に照らして著しく過大な場合には、公序良俗に反するとして効力を争える可能性もあります(民法90条)。風俗店での盗撮をめぐって約束させられた迷惑料について、支払義務を否定した裁判例もあります。
支払い前であれば、すぐに払わずに書面の写しを手元に確保し、署名に至った経緯(相手の人数、経過した時間、言われた言葉)を記録しておくことが、後で見直しを求めるうえで役に立ちます。盗撮で「その場で100万円」の示談書にサインした|支払い義務はあるか、脅されて署名した念書・示談書は有効か|「無効」と「取消し」の違いもあわせてご覧ください。
撮影の有無やデータについてのご質問
撮影していないのに、盗撮したと疑われています。どう説明すればよいでしょうか
スマホを置いていた向きやカメラアプリの誤作動、画面の光などがきっかけとなり、撮影していないのに疑われるケースもあります。この場合は、事実と違う点ははっきりと否定し、あいまいな謝罪は避けることが大切です。その場を収めたい一心で「すみません」と口にすると、後で撮影を認めた発言として受け止められるおそれがあります。
同時に、撮影していないことを裏付ける材料を残しておくことも重要です。スマホのデータを消したり初期化したりすると、かえって撮影がなかったことを示しにくくなります。スマホはそのままの状態で保管し、どの場面で何を疑われたのかをできるだけ早くメモにしておきましょう。誤作動による疑いを解いた例として、【解決事例】性風俗店での誤作動による盗撮トラブル|弁護士の付き添い交渉で誤解を解き事件化を阻止した事例があります。
撮影に失敗した場合や、データが残っていない場合でも罪になるのでしょうか
性的姿態撮影等処罰法の撮影罪(3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金)は、未遂も処罰の対象とされています(同法2条2項)。そのため、カメラを向けたものの撮影できなかった場合でも、罪に問われる可能性があります。また、撮影目的で店舗の個室やホテルの客室に立ち入ったと評価される場合には、建造物侵入罪などが問題になることもあります。
実際に刑事手続に進むかどうかや処分の重さは、撮影の態様、データの有無、キャスト本人の意向など、個別の事情によって変わります。データが残っていないことは事実関係を判断する材料の一つにはなりますが、それだけで問題にならないとは言い切れません。撮影できていなくても逮捕?盗撮の未遂・建造物侵入罪のリスク、撮影罪は何を禁じているのか|条文の構造を風俗の場面で読むもご参照ください。
撮影したデータを消せば問題にならないのでしょうか
証拠隠滅罪(刑法104条)は「他人の刑事事件」の証拠を対象としているため、自分の事件のデータを自分で消しても、それだけで同罪に問われることは通常ありません。しかし、データを消したことが後に分かると、反省していないと受け止められ、示談交渉や処分の判断で不利に働くおそれがあります。消したデータが解析によって復元されることもあります。
撮影してしまった場合は、データを消すかどうかを自分だけで決めず、示談の中で削除の方法と確認の手順を取り決めるのが一般的な進め方です。詳しくは撮影データを消してしまった|証拠隠滅と復元の実際で解説しています。
警察や刑事手続についてのご質問
店から「警察に行く」と言われました。被害届は出されるのでしょうか
被害届を出すかどうかを判断するのは、基本的に撮影の対象とされたキャスト本人です。店が「警察に行く」と告げても実際に届け出るとは限りませんし、反対に「警察には言わない」と言われても、その約束で刑事手続が止まるわけではありません。
被害届が出される前の段階で、弁護士を通じてキャスト側と話し合い、示談が成立すれば、届出に進まずに解決できることもあります。言われた日時や言葉を記録し、早めに動き出すことが大切です。【風俗トラブル】店から「警察に行く」と言われた翌日にすること|被害届が出る前の時間もあわせてご覧ください。
その場は収まったのに、後から警察から連絡が来ることはありますか
あります。キャストが後日になって被害届を出したり、店が別の経緯から警察に相談したりして、時間が経ってから連絡が来ることがあります。予約時に伝えた電話番号やホテルの利用記録、防犯カメラの映像などから利用者が特定されることもあります。
警察から連絡が来た場合は、呼び出しに応じる前に、何をどこまで話すかを弁護士と整理しておくと、事実と異なる内容の供述調書が作られることを避けやすくなります。その場で示談が成立している場合は、示談書の写しを手元に保管しておきましょう。後日の捜査の仕組みについては痴漢・盗撮で後日逮捕されるのはなぜか|防犯カメラとICカード履歴で触れています。
示談や相談についてのご質問
示談金はどのくらいが目安になりますか
示談金に決まった基準はなく、撮影の有無や態様、データの拡散の有無、キャスト本人の受け止め方などによって大きく変わります。店側から提示される金額は、そうした事情とは関係なく高額に設定されていることも少なくありません。
提示された金額にそのまま応じるのではなく、何に対する支払いなのか(キャスト本人への慰謝料なのか、店が定めた「罰金」や「違約金」なのか)を分けて考えることが大切です。店が独自に定めた罰金については、その全額を支払う義務があるとは限りません。金額の考え方は風俗トラブルの示談金相場は?本番・盗撮・お触り別に弁護士が解説で整理しています。
家族や勤務先に知られずに解決することはできますか
弁護士が窓口となる場合、店やキャストとのやり取りは弁護士を通じて行うため、ご本人の自宅や勤務先に直接連絡が来る事態を抑えやすくなります。示談書に、家族や勤務先へ連絡しないことや口外しないことを定める条項を入れることも検討できます。
ただし、すでに店側に身分証の情報が渡っている場合や、刑事手続に進んだ場合には、知られずに済むと約束できるわけではありません。「家族に知らせる」「会社に連絡する」と言われて支払いを迫られている場合は、その状況自体を早めに弁護士に伝えてください。風俗での盗撮で会社・家族にバレたくない|身元秘匿と早期解決の方法もご参照ください。
弁護士に相談するのは、どのタイミングがよいでしょうか
疑われたその場、あるいは店から連絡が来た段階で、できるだけ早く相談いただくのが望ましいといえます。署名や支払いの前であれば選べる手段が多く残っており、すでに署名や支払いをした後でも、書面の見直しや追加の請求への対応を検討できます。
店によっては「弁護士を入れたら話は終わりだ」と告げ、本人だけで話をまとめようとすることがありますが、弁護士に依頼するかどうかはご本人が決めてよいことです。自分で交渉を続けるか弁護士に任せるかの判断材料は、【風俗トラブル】店との交渉を自分でするか弁護士に任せるか|分かれ目になる5つの事情、【風俗トラブル】店から「弁護士を入れたら話は終わりだ」と言われたで解説しています。
店内で盗撮を疑われてお困りの方へ
店内で盗撮を疑われた直後は、スマホの確認、身分証の提示、示談書への署名、その場での支払いなどを立て続けに求められがちです。どの場面でも、その場で決めきらずに、事実と言われた内容を記録し、相談してから判断するという順序を意識することが、後の選択肢を残すことにつながります。撮影してしまった場合も、撮影していないのに疑われている場合も、それぞれに取れる対応がありますので、一人で抱え込まずにご相談ください。
同じような状況でも、経緯や残っている記録によって取れる手段は変わります。どこから手をつければよいか判断がつかない段階でも、事実を整理するところからご一緒できます。
当事務所では、電話・メール・LINEのうちご希望の方法でご相談をお受けしています。ご都合のよい手段をお選びください。
早い段階でご相談いただくほど、選べる手立ては多く残ります。迷っている段階でも、まずはお気軽にお声がけください。


