【親子問題】子が万引きで捕まったと連絡が来た、親は何をすればいい?
成人した子の家庭内暴力やひきこもり、お金の無心に悩む親御さんから、「弁護士に頼んだら、どのくらいの期間で終わるのか」というご質問をいただくことがあります。先の見えない状態が長く続いてきたからこそ、終わりの目安を知りたいと考えるのは自然なことです。
ただ、親子問題にかかる期間は、何をもって「解決」とするか、子がどこまで話し合いに応じるか、病気や借金といった別の課題が重なっていないかによって大きく変わります。この記事では、当事務所が弁護士と自立支援カウンセラーのチームで介入する場合の流れに沿って、段階ごとの期間の考え方、期間が長くなりやすい事情、見通しを立てやすくするために親ができることを解説します。
この記事で紹介する期間は、当事務所の取り組みや一般的な手続の流れをもとにした目安です。実際の期間はご家庭ごとの事情によって異なり、特定の期間内での解決をお約束するものではありません。
期間が一概に言えないのは、目指す「ゴール」が家庭ごとに違うから
離婚や債務整理であれば、「調停が成立した」「免責が決まった」といった手続上の区切りがあります。これに対して親子問題では、そのような区切りがはっきりしないことが少なくありません。同じ「解決」という言葉でも、ご家庭によって目指すところが異なるためです。
| 目指すところ | 期間を左右する主な事情 |
|---|---|
| 暴力や暴言、お金の要求が止まる | 子が弁護士からの連絡にどう反応するか、警察との連携が必要か |
| 子が家を出て、別々に暮らし始める | 子が話し合いに応じるか、住まいや当面の生活費をどう確保するか |
| 子が自分で生活を維持できるようになる | 仕事や生活保護など収入を得る手段を確保できるか、金銭管理の習慣が身につくか |
| 親が子への援助や干渉から距離を置ける | 親自身が方針を保てるか、家族の間で考えが一致しているか |
表の上の2つは、介入の早い段階で変化が見えてくることがあります。一方、下の2つは、生活を少しずつ積み上げていく過程そのものであり、相応の時間がかかります。ご相談の際は、まず「何が実現できれば、ひとまず区切りと考えるか」を一緒に整理するところから始めます。支援のゴールの置き方については、【親子問題】「自立」と「自律」|支援のゴールをどこに置くかでも解説しています。
弁護士とカウンセラーが介入する場合の流れと期間の目安
当事務所の親子問題への対応は、弁護士が親の代理人として子と向き合い、民間の自立支援カウンセラーが子の生活の立て直しを担う形で進めます。おおまかな流れは次のとおりです。
- ご相談と、ご家庭の事情の聞き取り。
- 方針の決定とご依頼。
- 子への最初の連絡と、自宅への訪問による話し合い。
- 子が家を出て、親と別々に暮らし始める段階。
- 家を出た後のサポート期間。
- サポートの終了と、その後の距離の保ち方の確認。
ご相談から方針を決めるまで
最初の段階では、これまでの経緯、暴力やお金の要求の内容、子の生活の状況、ほかのご家族の考えなどを伺います。親子問題は家庭ごとに事情が異なるため、支援の内容はその都度組み立てます。聞き取りが1回で済むこともあれば、ご家族の考えを整理するために面談を重ねることもあります。ここで事情を丁寧に共有していただくほうが、その後の進み方が安定しやすくなります。
子への最初の連絡と、訪問による話し合い
ご依頼を受けた後は、弁護士から子へ連絡を入れ、親へのお金の要求や連絡について、今後は弁護士が窓口になることを伝えます。そのうえで、カウンセラーとともに自宅を訪問し、子と直接話をする機会を設けることが多くあります。
これまでの取り組みでは、子が家を出て自活することを受け入れるまでに、数回の訪問を重ねたケースがあります。最初の訪問で話が進むこともあれば、本人が会うことを拒み、時間を置いて働きかけを続けることもあります。暴力の傾向がある場合や薬物の使用歴がある場合などは、警察と連携を取りながら、安全に配慮して進めます。
家を出た後の「最低でも半年程度」のサポート期間
子が家を出ることに同意しても、すぐに一人で生活できるとは限りません。当事務所では、家を出てから最低でも半年程度をサポート期間として設けることを基本としています。
この期間、カウンセラーは住まい探し、仕事探し、必要に応じた生活保護の申請のサポート、日々の金銭管理、日常の悩みへの対応などを担います。弁護士は、親へのお金の要求や攻撃を引き続き受け止め、親が子に直接振り回されない状態を保ちます。親には必要最小限の経済的な援助をお願いすることがありますが、その範囲や期間もあらかじめ話し合って決めておきます。
サポート期間の後
半年程度が経過した時点で、収入を得る手段が確保できているか、支出を管理できているかなどを確認し、サポートを終えるか、期間を延ばすかを検討します。仕事が続かない、体調を崩すなど、生活の立て直しに時間がかかる場合は、半年を超えて関わることもあります。サポートを終えた後の連絡の取り方を決めておくことも、親子の距離を保つうえで大切です。
法的な手続を併用する場合にかかる時間
介入の過程で、警察や裁判所の手続を併用することがあります。手続ごとに法律や実務上の流れがあるため、期間の見通しもそれぞれ異なります。
| 手続 | 期間の考え方 |
|---|---|
| 刑事手続(暴行・傷害などで子が逮捕された場合) | 逮捕から起訴するかどうかの判断までの身柄拘束は、勾留の延長を含めて最大23日間が原則です。起訴された場合は、その後に裁判の期間が加わります。 |
| 家庭裁判所の調停(親族間の紛争調整調停など) | 期日はおおむね1か月程度の間隔で開かれることが多く、複数回の期日を経るため、数か月以上かかることがあります。 |
| 接近禁止などの仮処分 | 配偶者などを対象とするDV防止法の保護命令は親子間には使えないため、民事保全の仮処分を検討します。裁判所での審尋や担保の準備が必要で、期間は事案によって異なります。 |
| 保佐・補助の開始の申立て(浪費が止まらない場合など) | 医師の診断書や本人の意見の確認などが必要になり、申立てから審判までに一定の期間を要します。 |
刑事手続は、身柄拘束の期間が法律で区切られている一方、手続が終わった後に子がどこで暮らすのかという問題が残ります。逮捕は子にとって大きな出来事であり、前歴として記録が残ることもあるため、警察への相談は必要に応じてためらわずに行いつつ、暴力の原因や本人の状態に応じた関係機関とも相談して方針を決めることが大切だと指摘されています。警察に相談した後の流れは、【親子問題】家族が警察に相談した場合の流れ|相談から捜査・逮捕・処分までの見通しもご参照ください。
期間が長くなりやすい事情
次のような事情があると、全体の期間は長くなる傾向があります。
- 子が弁護士やカウンセラーとの話し合いを長く拒んでいること。
- 精神疾患や依存症の治療を並行して進める必要があること。
- 借金や売掛金など、お金の問題を別に整理する必要があること。
- 夫婦や家族の間で方針が割れ、途中で方針が変わること。
- 親が子の求めに応じて、取り決めの外で援助を再開してしまうこと。
- ひきこもりの期間が長く、生活の基盤を一からつくる必要があること。
これらは珍しいことではなく、期間が延びたからといって、取り組みがうまくいっていないとは限りません。たとえば、本人が話し合いに応じない時期があっても、弁護士が窓口となることで親への直接の要求が止まり、親の生活が先に落ち着くこともあります。反対に、親が途中で個別に援助を再開すると、子にとっては「親に直接言えばよい」という状態に戻りやすく、それまで積み上げてきたものが崩れるおそれがあります。
一度は相談したものの動けずにいた場合や、介入の後に子の反発が強まった場合の考え方は、【親子問題】一度相談したが動けなかった|時間が経ってから再開するとき、【親子問題】介入の後に子が逆上した|再度の暴力への備えで解説しています。
見通しを立てやすくするために、親ができること
経緯とお金の流れを整理しておく
いつ頃から問題が始まったのか、暴力や要求がどのくらいの頻度であるのか、これまでにいくら渡してきたのかといった情報があると、方針を立てやすくなります。メモや通帳の記録、医療機関の受診記録などは、正確でなくてもかまいませんので、手元にあるものをそのまま残しておいてください。
家族の窓口と方針を一つにする
両親の考えが異なる場合や、きょうだいが別々に子と連絡を取っている場合は、子が家族の間の違いに働きかけ、話が進みにくくなることがあります。誰が当事務所との窓口になるのか、どの範囲まで援助するのかを家族の中で決めておくと、途中で方針がぶれにくくなります。
「いつまでに」より「何ができたら次へ進むか」で考える
期限を決めること自体は大切ですが、期限だけを目標にすると、思うように進まない時期に親御さんの負担が大きくなりがちです。「暴力が止まる」「家を出る」「収入の手段が決まる」といった段階ごとの区切りを確認しながら進めるほうが、全体の見通しも立てやすくなります。今の状態が続いた場合の見通しを考えるときは、【親子問題】「あと何年この状態が続くのか」を数字で見積もるも参考になります。
よくあるご質問
途中で依頼をやめることはできますか
ご事情の変化などにより、途中で依頼を終えることは可能です。ただし、弁護士が窓口でなくなると、子からの要求が再び親に直接向かうこともあります。終える時期や、その後の連絡の取り方については、事前にご相談ください。費用の扱いについては、ご依頼の際にご説明します。
子が家を出た後も、親が関わり続けることになりますか
サポート期間中は、カウンセラーから親御さんへ子の様子を報告し、必要な範囲で経済的な援助をお願いすることがあります。親が子と直接やり取りをしなくてもよいよう、日々の対応はカウンセラーが担います。サポートの終了後も、子との連絡の取り方や援助の範囲を決めておくことで、親御さんが再び振り回されにくい状態を目指します。
子の年齢が高い場合も、同じように進みますか
これまで当事務所が取り組んできたケースには、50歳を超える子のご家庭も含まれます。基本的な流れは同じですが、年齢が高い場合は、職歴の空白や健康状態、親の介護などの事情が重なりやすく、収入を得る手段の確保に時間がかかることがあります。
遠方に住んでいても依頼できますか
当事務所は、北海道から沖縄まで全国のご家庭の親子問題に取り組んできました。訪問の日程の組み方などで、近隣の場合と期間の見通しが変わることもあるため、ご相談の際にご事情をお聞かせください。
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まとめ
親子問題の解決までにかかる期間は、目指すゴール、子の反応、重なっている課題によって大きく変わります。当事務所では、子が家を出てから最低でも半年程度のサポート期間を設けることを基本としつつ、段階ごとの区切りを確認しながら、ご家庭に合わせて進め方を調整しています。「どのくらいかかるのか」が気になる段階でのご相談でも、現在の状況から見通しを一緒に考えることができます。
同じような状況でも、経緯や残っている記録によって取れる手段は変わります。どこから手をつければよいか判断がつかない段階でも、事実を整理するところからご一緒できます。
当事務所では、電話・メール・LINEのうちご希望の方法でご相談をお受けしています。ご都合のよい手段をお選びください。
早い段階でご相談いただくほど、選べる手立ては多く残ります。迷っている段階でも、まずはお気軽にお声がけください。


