【親子問題】子が親の不動産の家賃収入を自分の口座で受け取っていたら?
子の暴力やお金の無心、ひきこもりについて相談しようと考えたとき、「今の困りごとだけ伝えればよいのか、昔の出来事まで話すべきなのか」と迷う親御さんは少なくありません。過去の補導や逮捕、薬物やお酒の問題、精神科への通院、さらには親自身が子に強く当たってしまった時期のことなど、口にしにくい事情を抱えている方も多いはずです。この記事では、親子問題の相談で子の過去の問題をどこまで話すべきか、話した内容がどう扱われるのか、話す前にどう整理しておけばよいのかを解説します。
過去の問題も、分かる範囲でお話しいただくのが基本です
結論から申し上げると、子の過去の問題は、ご記憶の範囲でお話しいただくことをおすすめしています。すべてを正確に覚えている必要はありませんし、一度の相談ですべて話しきる必要もありません。ただ、「これは関係ないだろう」「言うと印象が悪くなりそうだ」とご自身で判断して伏せてしまうと、弁護士の見立てが実際の状況とずれてしまうおそれがあります。
親子問題は、ある日突然始まるものではなく、何年、ときには何十年という時間の積み重ねの上にあることがほとんどです。今起きている暴力や金銭の要求も、過去の出来事とつながっていることが多く、その経緯を知ることで初めて見えてくる対応の選択肢があります。
過去の出来事が、今の方針を左右する理由
過去の話をお伺いするのは、事情を詮索するためではありません。主に次の3つの点で、対応の方針に関わってくるためです。
危険の見積もりが変わる
以前にも物を壊した、刃物を持ち出した、警察が来たことがある、といった経緯があるかどうかで、安全確保をどの程度優先すべきかの判断は大きく変わります。弁護士が子と連絡を取ったり、ご自宅を訪問したりする場面では、子がどのような状況で感情を高ぶらせやすいのかを事前に把握しておくことが、ご家族と関係者の安全につながります。
取れる手段と、つなぐ先が変わる
過去に薬物の使用歴がある、精神科で診断を受けたことがある、借金を親が肩代わりしたことがある、といった事情は、それぞれ検討すべき手続や相談先を変えます。たとえば医療や依存症の支援につなぐ必要があるのか、金銭の問題として整理するのか、警察との連携を視野に入れるのかは、過去の経緯を踏まえて判断することになります。
子との最初の接し方が変わる
子がこれまで何に傷つき、何に反発してきたのかを知っておくと、最初の連絡でどのような言葉を選ぶべきか、どの話題に触れるのを後に回すべきかを考えやすくなります。過去に支援機関とのやり取りがこじれた経験がある子であれば、同じ進め方を避けるといった工夫も可能です。
話しにくい「過去」として多いもの
ご相談の場で、親御さんが話すのをためらいがちな事情には、たとえば次のようなものがあります。
- 学生時代の補導や、警察沙汰になった出来事。
- 逮捕歴や前科・前歴、保護観察を受けていた時期のこと。
- 薬物やお酒、ギャンブルへの依存の問題。
- 精神科や心療内科への通院歴、診断名、服薬の状況。
- 借金や浪費と、それを親が肩代わりしてきた経緯。
- 過去にも家を出て、うまくいかずに戻ってきた経緯。
- 親自身が手を上げた、強い言葉を浴びせた、家から追い出したといった時期のこと。
いずれも、ご家族にとっては思い出したくない出来事かもしれません。それでも、こうした事情があるかどうかで、先にお伝えした危険の見積もりや手段の選び方が変わることがあります。逮捕歴などが今後の生活にどう影響するかは、【親子問題】前科・前歴が残ると何が変わるのか|親が知っておくことで解説しています。また、通院歴や診断の有無の扱いについては、【親子問題】ひきこもりと精神疾患の切り分け|医療につなぐ判断もあわせてご覧ください。
話した内容はどのように扱われるのか
過去の問題を話すことをためらう理由として、「話したことが外に漏れないか」「子に伝わらないか」という不安もあると思います。
弁護士には守秘義務がある
弁護士は、職務上知り得た秘密を守る義務を負っています(弁護士法23条)。この義務は、正式に依頼した後だけでなく、依頼に至らなかった法律相談で話した内容にも及ぶと考えられています。相談している事実そのものも、守られるべき情報に含まれます。
ご相談の内容が、ご本人の了解なく子や親族、勤務先などに伝わることは原則としてありません。具体的な連絡の取り方については、【親子問題】相談内容は子に伝わるのか|守秘義務と連絡の取り方で詳しく説明しています。
話した内容をどう使うかは、一緒に決めていく
弁護士がお伺いした過去の事情は、方針を立てるための材料として使うもので、そのすべてを子との交渉の場に持ち出すわけではありません。どの事情に触れ、どの事情には触れないかは、ご相談者と話し合いながら決めていきます。
一方で、弁護士は事実と異なる主張を知りながら行うことはできません(弁護士職務基本規程5条)。いったん伺った事情について「聞かなかったことにしてほしい」とお願いされても、その事情を前提にしない進め方をとることは難しくなります。だからこそ、早い段階で一通りの事情をお伝えいただいたほうが、後になって方針を組み直す負担が少なくて済みます。
親自身の過去の関わり方も、伝えておいたほうがよい理由
特に話しにくいのが、親自身の過去の振る舞いです。子が小さかった頃に厳しくしつけすぎた、感情的に手を上げてしまったことがある、といった事情を抱えている方もいらっしゃいます。
こうした事情を伝えておいたほうがよいのは、親を責めるためではなく、子の側からその話が持ち出される場面に備えるためです。親子問題では、子が「自分がこうなったのは親のせいだ」と訴えたり、警察や行政に「親から虐待を受けた」と申し出たりすることがあります。その時になって初めて弁護士がその経緯を知るのと、あらかじめ把握したうえで対応を考えておくのとでは、落ち着いて対応できる度合いが違ってきます。子からこうした訴えが出た場合の整理については、【親子問題】子が「親に虐待された」と警察や行政に訴えた|窓口ごとの扱いと親が整理しておきたいことで解説しています。
過去の関わり方に悔いがあっても、それによって今の暴力や金銭の要求を受け入れ続けなければならないわけではありません。過去を率直に振り返ることと、今の安全を守ることは、両立させることができます。
話す前に、どう整理しておけばよいか
過去の出来事を順序立てて話すのは、当事者であるほど難しいものです。次のような手順で準備しておくと、相談の時間を有効に使いやすくなります。
時期ごとに、出来事を短く書き出す
年齢や学年、おおよその年を目安に、主な出来事を一行ずつ書き出してみてください。細部まで書く必要はありません。たとえば次のような表にしておくと、弁護士も全体像を把握しやすくなります。
| 時期 | 出来事 | 残っている記録 |
|---|---|---|
| 高校2年頃 | 不登校が始まる | 学校からの連絡文書 |
| 20歳頃 | 親の財布からお金を持ち出す | なし(家族の記憶のみ) |
| 25歳頃 | 物を壊し、警察が来る | 警察署名・担当者のメモ |
| 30歳頃〜現在 | 金銭の要求と暴言が続く | 振込記録、メッセージの画面 |
記録がある出来事と、記憶だけの出来事を分ける
診断書、警察への相談の控え、振込の記録、メッセージの画面などが残っているかどうかを、出来事ごとに分けておくと役立ちます。記録が残っていない出来事でも、話す価値がなくなるわけではありません。記録の残し方や、警察への相談記録の意味については、【親子問題】警察に相談した記録を残す意味|相談票と後の手続もご参照ください。
分からないことは、分からないと伝える
「いつ頃だったか正確には思い出せない」「本人から聞いた話なので本当かどうか分からない」といった場合は、そのままお伝えいただければ十分です。あいまいな部分を推測で埋めてしまうより、確かな部分と不確かな部分を区別していただいたほうが、見立ての精度は上がります。
一度に話しきろうとしなくてよい
相談の途中で思い出したことや、最初の相談では話す気持ちになれなかったことを、後から付け加えていただいてもかまいません。相談前の準備全体については、【親子問題】相談の前に整理しておきたい5つの情報にまとめています。
よくあるご質問
子に前科があると話したら、相談を断られることはありますか
前科や前歴があることだけを理由に、ご相談をお断りすることは通常ありません。むしろ、刑事手続の経緯や保護観察の有無などは、今後の見通しを立てるうえで大切な情報です。分かる範囲でお伝えください。
家族の間で、過去の出来事についての記憶や言い分が食い違っています
ご家族の間で受け止め方が違うことは珍しくありません。無理に一つにまとめる必要はなく、「父はこう記憶している、母はこう記憶している」と、それぞれの認識のまま伝えていただいてかまいません。食い違いがあること自体が、ご家族の状況を理解する手がかりになることもあります。
話したくない事情がある場合、伏せたまま相談してもよいですか
ご相談の時点で話す気持ちになれない事情があれば、「まだ話せないことがある」とだけお伝えいただく方法もあります。弁護士はそれを前提に見立てを控えめにしたり、話していただけるようになった段階で方針を見直したりすることができます。黙っておくより、伏せている事情があること自体を伝えていただいたほうが、行き違いを減らせます。
何年も前に一度相談したきりですが、改めて相談できますか
時間が空いていても、改めてご相談いただけます。その間に起きた出来事も含めて、もう一度経緯をお聞かせください。詳しくは【親子問題】一度相談したが動けなかった|時間が経ってから再開するときをご覧ください。
当事務所での進め方
当事務所では、弁護士が親御さんの代理人として子と向き合い、民間の自立支援カウンセラーと役割を分担しながら、子の自立と親子それぞれの生活の立て直しに取り組んでいます。介入の前には、現在の状況だけでなく、これまでの経緯をできるだけ丁寧に伺うようにしています。どの家庭にも固有の歴史があり、同じ方針がそのまま当てはまることはないためです。
サービスの全体像や、ご相談から自立までの流れについては、【親子問題】子の暴力・ひきこもり・お金の無心・犯罪行為に悩む親御さんへ|ご相談から自立までの流れと費用、よくあるご質問で詳しくご紹介しています。
子の過去の問題を話すことは、親御さんにとって大きな負担を伴うものです。それでも、これまでの経緯を共有していただくことで、ご家庭の実情に合った進め方を一緒に考えやすくなります。うまく話せるか自信がない段階でも、思い出せることから少しずつお聞かせください。
同じような状況でも、経緯や残っている記録によって取れる手段は変わります。どこから手をつければよいか判断がつかない段階でも、事実を整理するところからご一緒できます。
当事務所では、電話・メール・LINEのうちご希望の方法でご相談をお受けしています。ご都合のよい手段をお選びください。
早い段階でご相談いただくほど、選べる手立ては多く残ります。迷っている段階でも、まずはお気軽にお声がけください。


