【親子問題】弁護士とカウンセラーはどう介入するのか|4つの事例で見るサービスの実際

若井亮

若井亮

テーマ:親子問題

「息子が暴れるたびに、次は何をされるのかと身構えてしまう」「娘にお金を渡さないと家の中が荒れる。でも、渡し続けても何も変わらない」。親子の問題でご相談にいらっしゃる親御さんからは、こうした声をよく伺います。警察や行政にも相談したけれど状況は変わらず、誰に何を頼めばよいのか分からないまま、何年も過ごしてきたという方も少なくありません。

 弁護士法人若井綜合法律事務所では、弁護士が親御さんの代理人として子と向き合い、提携する民間の自立支援カウンセラーが子の生活を支える、という二本立ての体制で親子の問題に取り組んでいます。ただ、「弁護士が家庭の問題に入る」と聞いても、実際にどのようなことをするのか、なかなか想像しにくいのではないでしょうか。

 そこでこの記事では、これまでに取り組んできた4つの事例をご紹介しながら、介入がどのように始まり、どのように進んでいくのかをお伝えします。サービスの全体像や考え方については、【親子問題】弁護士が「親の代理人」として親子問題に介入するサービス|家庭内暴力・ひきこもりに悩むご家庭へ、自立支援カウンセラーとチームで対応で詳しくご説明しています。

ご紹介する事例は、ご相談者やご家族が特定されないよう、内容の一部を変更しています。また、人と人が関わる問題であるため、同じ対応をすれば同じ結果になるとお約束できるものではありません。


事例をお読みいただく前に|弁護士とカウンセラーの役割分担

 4つの事例に共通しているのは、弁護士とカウンセラーがそれぞれ別の立場から関わっているという点です。役割を整理すると、次のようになります。

担当立場主な役割
弁護士親御さんの代理人子からの暴力や金銭の要求を受け止める窓口となり、親御さんを守る。必要に応じて警察と連携し、金銭トラブルの整理も行う。
自立支援カウンセラー子の生活の伴走者住まい探し、仕事探し、生活保護の申請サポート、日々の金銭管理、悩みの相談、親御さんへの報告などを通じて、子の自立を支える。


 親御さんを守ることだけを考えれば、子を遠ざければ済むように思えるかもしれません。しかし、子を孤立させたままでは自立は実現しません。親を守る役割と、子を支える役割を分けて担うことが、この体制の中心にある考え方です。

事例1 受験の失敗をきっかけに暴れ、お金を求めるようになった息子


項目内容
ご家庭母親と息子の二人暮らし(シングルマザーのご家庭)
ご相談の内容大学受験に失敗した後から、息子が家の中で暴れるようになり、お金の無心も続いていた。
主な対応カウンセラーとともに自宅を訪問して本人と面談。親御さんへの攻撃を弁護士が受け止めつつ、カウンセラーが自立を支援。


ご相談の状況

 お母様は、一人で息子さんと向き合い続けてきました。受験の結果が出てから息子さんの様子が変わり、物に当たる、声を荒らげるといったことが増え、やがてお金を求められるようになったといいます。家の中に相談できる相手がいないため、要求に応じることで何とかその場を収めてきた、というのがご相談時の状況でした。

介入の経過

 弁護士はカウンセラーとともにご自宅を訪問し、息子さんご本人と直接話をしました。責めるのではなく、今の生活をこの先も続けられるのか、本人がどうしたいのかを一緒に考える場として話を重ねたところ、息子さんは家を出て自立することを決意しました。

 その後は、お母様への連絡や金銭の要求を弁護士が窓口となって受け止め、お母様が直接の攻撃にさらされない形を整えました。並行して、カウンセラーが住まいや生活の立て直しを支えました。

その後

 母と子が物理的に距離を取ったことで、それぞれが落ち着いて自分の生活に目を向けられるようになり、親子の関係も少しずつ改善に向かいました。家を出ることは親子の縁を切ることではなく、関係を立て直すための一歩になり得ます。

事例2 ホストクラブでの散財が止まらない娘


項目内容
ご家庭両親と娘のご家庭
ご相談の内容娘がホストクラブで散財を重ね、売掛金を抱えたうえ、親御さんにお金を無心するようになっていた。
主な対応弁護士が売掛金の整理と親御さんへの無心のブロックを担い、カウンセラーが就学のアドバイスを行った。


ご相談の状況

 娘さんはホストクラブに通うようになってから出費が膨らみ、支払いのめどが立たない売掛金を抱えていました。そのしわ寄せが親御さんへの無心という形で現れ、ご両親はお金を渡すべきかどうかで悩み続けていました。お金を渡せば一時的には収まるものの、根本的な解決にはならない。その繰り返しに疲れ切った状態でのご相談でした。

介入の経過

 弁護士は、まず売掛金の整理に取りかかりました。売掛金は、請求されたからといって全額を支払う義務があるとは限らず、内容を確認して整理する余地があります。この点については、【風俗トラブル・ホストクラブ】ホストクラブの売掛を請求された|改正後に『払う必要のある売掛』を見分けるで詳しく解説しています。

 同時に、親御さんへのお金の無心は弁護士が窓口となってブロックしました。そのうえで、カウンセラーが娘さんと話を重ね、これからの進路について就学のアドバイスを行いました。

その後

 娘さんは進学という目標を持ったことで、ホストクラブから距離を置くようになりました。浪費を止めるには、お金の流れを断つことと、代わりに向かう先を見つけることの両方が必要でした。弁護士とカウンセラーが別々の役割を担ったことで、その両方を同時に進めることができた事例です。

事例3 家庭内暴力を続けていた息子が、自活を決意するまで


項目内容
ご家庭両親と息子のご家庭
ご相談の内容息子の家庭内暴力が続き、親御さんだけでは手に負えない状態になっていた。
主な対応自宅を複数回訪問して本人を説得。自活を始めた後は、親御さんへの請求を弁護士がブロックし、カウンセラーが就職を支援。


ご相談の状況

 息子さんの暴力は長く続いており、親御さんは日常的に身の安全を気にしながら暮らしていました。暴力の後には落ち着く時期もあるため、そのたびに「今度こそ変わってくれるのでは」と期待しては裏切られる、という状態が続いていたといいます。

介入の経過

 この事例では、1回の訪問で話がまとまったわけではありません。ご自宅を訪問し、時間をかけて息子さんご本人と話を重ねました。数回の訪問を経て、息子さんは家を出て自活することを決意しました。

 家を出た後も、親御さんへの金銭の請求が続く場面がありましたが、弁護士が窓口となってブロックしました。一方、カウンセラーは就職の支援にあたりました。支援の過程では息子さんとカウンセラーが衝突することも一度ではありませんでしたが、カウンセラーは関わりを続けました。

その後

 息子さんが自分の力で生活を回すようになるにつれて、親御さんとの間にあった共依存の関係は断ち切られていきました。本人の説得にも、自立の支援にも時間がかかり、途中で衝突が起きることもあります。それでも関わりを途切れさせないことが、変化につながった事例です。

事例4 親への一方的な恨みを募らせていた息子


項目内容
ご家庭両親と息子のご家庭
ご相談の内容息子が親御さんに一方的な恨みを抱き、復讐に固執していた。親御さんは身の危険を感じることもあった。
主な対応警察と連携しながら介入。息子からの攻撃を弁護士がブロックし、カウンセラーが就職と通院をサポート。


ご相談の状況

 息子さんは、過去の出来事をめぐって親御さんに強い恨みを抱いており、その思いが親御さんへの攻撃という形で表れていました。親御さんは身の危険を感じる場面もあり、安全の確保が最優先の課題でした。

介入の経過

 身の安全に関わる事案であったため、弁護士は警察と連携を取りながら介入しました。親御さんに向けられる攻撃は弁護士が窓口となってブロックし、親御さんが息子さんと直接向き合わなくて済む形を整えました。警察への相談の考え方については、【親子問題】「家庭の問題」と言われて警察が動かないのはなぜかもあわせてご覧ください。

 そのうえで、カウンセラーが息子さんの就職と通院をサポートしました。生活の基盤を整え、必要な医療につながることを支えながら、息子さんが親御さん以外のことに目を向けられる時間を少しずつ増やしていきました。

その後

 復讐に固執していた息子さんの親御さんへの執着は、時間をかけて少しずつ解きほぐされていきました。危険がある事案では、警察との連携で安全を確保しつつ、子の生活を支える手当ても同時に進めることが大切だと考えています。

4つの事例に共通していること

親子の距離を取ることが、変化の出発点になる

 4つの事例では、いずれも親子が物理的に距離を取るところから変化が始まっています。親子の距離が近すぎることで、互いに依存し合う関係から抜け出せなくなっている場合があります。距離を取るだけでも、親と子の双方に変化が訪れることは少なくありません。

親御さんを守る窓口と、子を支える伴走者を分ける

 弁護士が親御さんへの攻撃や要求を受け止めることで、親御さんは要求に応じるかどうかで悩む日々から離れることができます。一方で、子の側にもカウンセラーという相談相手がいるため、子が孤立することはありません。親と子の両方に、それぞれの支え手がいることが、この体制の特徴です。

時間がかかることを前提に取り組む

 本人の説得に何度も訪問が必要なことも、支援の途中で衝突が起きることもあります。何年もかけて積み重なった関係が、短期間で変わるとは限りません。そのことを前提に、継続して関わることを大切にしています。

よくあるご質問

子が話し合いに応じてくれない場合でも、依頼できますか。

 ご依頼いただけます。事例3のように、最初の訪問で本人と十分に話ができるとは限らず、何度か足を運ぶ中で話ができるようになることもあります。お子さんの状況やこれまでの経緯を伺ったうえで、どのように接触するかを一緒に考えます。

相談したことは、子に伝わってしまいませんか。

 弁護士には守秘義務があり、ご相談いただいた内容を無断でお子さんに伝えることはありません。連絡方法についても、ご家庭の事情に合わせて配慮します。詳しくは【親子問題】相談内容は子に伝わるのか|守秘義務と連絡の取り方をご覧ください。

東京から離れた地域に住んでいても、依頼できますか。

 依頼いただけます。これまで北海道から沖縄まで、全国のご家庭の問題に取り組んできました。遠方の場合の進め方については、【親子問題】遠方でも依頼できるのか|全国対応の実際で説明しています。

まとめ


  1. 弁護士は親御さんの代理人として、子からの暴力や金銭の要求を受け止める窓口となる。
  2. 自立支援カウンセラーは、住まい・仕事・金銭管理・通院などの面から子の生活を支える。
  3. 暴力、金銭の無心、ホストクラブでの散財、親への恨みなど、事情が異なっても親子の距離を取ることが変化の出発点となった。
  4. 本人の説得に複数回の訪問が必要なことや、支援の途中で衝突が起きることもある。
  5. 身の危険がある事案では、警察と連携しながら介入する。
  6. ホストクラブの売掛金のような金銭トラブルは、弁護士が内容を確認して整理を図る。
  7. 人が関わる問題のため結果の保証はできないが、親と子それぞれの自立を目指して継続して関わる。


お子さんのことでお悩みの親御さんへ

 弁護士法人若井綜合法律事務所では、子の暴力やひきこもり、金銭の無心、散財、犯罪行為などに悩む親御さんからのご相談を、池袋と新橋の事務所でお受けしています。お子さんが未成年の場合も、成人している場合もご相談いただけます。これまでには、50歳を超えるお子さんのご家庭の問題に取り組んだこともあります。

 警察や行政に相談しても状況が変わらなかった方、どこに相談すればよいのか分からずにいる方も、まずはご家庭の状況をお聞かせください。ご相談の前に整理しておくと話が進みやすい情報については、【親子問題】相談の前に整理しておきたい5つの情報にまとめています。

当事務所と連携して子の自立を支援しているカウンセラーの取り組みは、こちらのサイトでご覧いただけます。
https://g-support3.com/

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若井亮
専門家

若井亮(弁護士)

弁護士法人若井綜合法律事務所

風俗トラブルや男女トラブル、それに伴う刑事事件まで一貫して対応。累計相談件数は男女トラブル約23,000件、風俗トラブル約8,000件。全国からの相談を24時間受け付け、迅速な対応を心がけています。

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