【親子問題】子への仕送りに贈与税はかかる?
単身赴任が始まってから、子の暴言や暴力、お金の無心、昼夜逆転といった問題が目立つようになることがあります。家に残った親は一人で子と向き合う時間が増え、離れて暮らす親は電話やメッセージ越しにしか様子を知ることができません。どちらの親も「自分がいま何をすればよいのか分からない」という状態になりやすいのが、単身赴任中の親子問題の特徴です。
この記事では、成人した子を含む家庭内の問題が単身赴任中に悪化したときに、家に残る親と離れて暮らす親がそれぞれ何をすればよいのかを、法律上の位置づけとあわせて整理します。なお、子が18歳未満の場合は、児童相談所や自治体の子ども家庭支援の窓口も相談先になります。
単身赴任中に子の問題が悪化しやすいのはなぜか
単身赴任そのものが問題の原因になるわけではありません。ただ、家族の形が変わることで、それまで目立たなかった問題が表に出てくることがあります。よく見られる変化は次のとおりです。
- 家に残る親一人に、子への対応と家事・仕事の負担が集中します。
- 離れている親には、日々の小さな変化が伝わりにくくなります。
- 子が、家の中で自分を止める人が減ったと受け止めることがあります。
- 夫婦の連絡が電話やメッセージ中心になり、対応の方針がずれやすくなります。
いずれも誰かの落ち度というより、暮らし方が変わったことで起きやすい変化です。大切なのは、家に残る親だけで抱え込まない仕組みを早めに作ることです。
まず状況の深刻さを3つの段階に分ける
離れている親と状況を共有するときも、相談先を選ぶときも、いま起きていることがどの段階にあたるかを分けて考えると判断しやすくなります。
| 段階 | 具体的な様子 | 優先すること |
|---|---|---|
| 身体への危険がある | 殴る・蹴る、物を投げつける、刃物を持ち出す、「殺す」などと口にする | その場の安全確保、110番、一時的な避難 |
| 生活や財産への影響が続いている | 金銭の要求、物の破壊、通帳やカードの持ち出し | 記録を残し、警察や専門家に相談する |
| 本人の生活が崩れている | ひきこもり、昼夜逆転、通院や服薬の中断 | 地域の支援機関や医療機関に相談する |
実際には複数の段階が重なっていることも少なくありません。その場合は、表の上にある段階への対応を先に考えます。お金の問題や生活の乱れが気になっていても、身体への危険があるときは安全の確保が最優先です。
家に残る親がまずすること
家に残る親は、子と最も近い距離にいる分、判断を迫られる場面も多くなります。ここでは、その日のうちに意識しておきたいことを2つに絞ります。
身の安全を最優先にする
暴力を受けそうなとき、刃物が持ち出されたときは、単身赴任中の配偶者に連絡がつくのを待つ必要はありません。その場で110番をすることや、いったん家を離れて安全な場所に移ることを優先してください。家を出ることは子を見捨てることではなく、落ち着いて次の手を考えるための時間をつくる手段です。
通報の目安については【親子問題】110番を呼ぶ判断基準|その場で何を伝えるかで、避難については【親子問題】避難先の確保|一時的に親が家を出るという選択で詳しく解説しています。
起きたことを短く記録しておく
日時、場所、子の言動、けがや壊れた物の様子を、その日のうちに短くメモしておきます。写真や、けががあれば診断書も残しておくと、後で警察や専門家に相談するときの手がかりになります。
記録には、離れている親と状況を共有しやすくなるという利点もあります。電話で口頭説明するよりも、メモや写真を送るほうが、感情の行き違いを避けやすいためです。記録の残し方は【親子問題】子から暴力を受けている|まず確保すべき安全と記録や【親子問題】警察に相談した記録を残す意味|相談票と後の手続も参考にしてください。
離れて暮らす親ができること
離れている親は「その場にいないから何もできない」と感じやすいものですが、家に残る親を支える役割は十分に担えます。
連絡の取り方を夫婦で決めておく
毎日決まった時間に短く連絡を取る、危険を感じたときの合図を決めておく、といった簡単な取り決めでも、家に残る親の安心感は変わります。話を聞くときは、起きた事実と、そのときの気持ちを分けて聞くようにすると、状況を正確に把握しやすくなります。
また、子から直接連絡があったときに、その場をおさめるつもりで送金や帰宅の約束をしてしまうと、家に残る親の対応と食い違うおそれがあります。子とのやり取りで新しい約束をする前に、夫婦で一度確認する習慣をつけておくと安心です。
離れた場所から相談先に連絡する
自宅を管轄する警察署の生活安全課や警察相談専用電話(#9110)、自治体の相談窓口などに、離れて暮らす家族が電話で事情を伝えること自体は、多くの場合可能です。ただし、その場で警察官に駆けつけてもらうには、家にいる家族からの通報が基本になります。事前に家の状況を相談しておくことで、いざというときの対応がスムーズになることがあります。
子に精神的な不調がうかがえる場合は、都道府県の精神保健福祉センターや保健所で家族からの相談を受け付けています。どの窓口が何を担うのかは【親子問題】親子の問題はどこに相談すればよいのか|警察・行政・弁護士の役割分担で整理しています。
勤務先への相談や一時帰宅を検討する
勤務先によっては、家庭の事情に応じて休暇の取得や異動の希望を申し出られる仕組みがある場合があります。伝える範囲は必要な事情に絞り、子の状態を詳しく説明する必要まではないことが一般的です。職場への伝え方は【親子問題】子の家庭内暴力を職場に相談できるか|親が仕事を続けるためにも参考にしてください。
一時帰宅をする場合は、帰宅した親に子の不満が向くこともあるため、帰るタイミングや子への伝え方を、家に残る親と事前に話し合っておくとよいでしょう。
夫婦で方針をそろえておく
単身赴任中は、夫婦の方針が少しずつずれていくことがあります。家に残る親が断っていた金銭の要求を、離れている親が電話で受け入れてしまうと、子は「どちらかに頼めば通る」と受け止めやすくなります。次のような点について、あらかじめ夫婦で決めておくことをおすすめします。
- 子からの金銭の要求に応じるかどうかと、応じる場合の上限。
- 子から直接連絡があったときの答え方。
- 警察や支援機関に相談する目安と、連絡する担当。
- 離れている親が一時帰宅する条件。
意見が分かれたときの考え方は【親子問題】夫婦で方針が割れる|一方の親が子をかばうときで解説しています。
法律上の位置づけを押さえておく
家族の間で起きたことでも、法律上の扱いは行為の種類によって分かれます。相談先を選ぶ前に、大まかな線引きを知っておくと判断しやすくなります。
暴力や脅し、物の破壊は家族間でも犯罪になりうる
暴行罪や傷害罪、脅迫罪、器物損壊罪には、親族間だからといって刑を免除する特例はありません。親子の間であっても、事情によっては捜査や処分の対象になります。なお、器物損壊罪は被害者の告訴がなければ起訴できない罪とされています。詳しくは【親子問題】親子間の暴行・傷害は立件されるのか|特例が及ばない範囲をご覧ください。
お金や物を持ち出された場合の特例
一方、窃盗や詐欺、恐喝、横領などについては、配偶者や直系血族、同居の親族の間で起きた場合に刑が免除される特例があります(刑法244条1項など)。親と子は直系血族にあたるため、単身赴任で離れて暮らす親の財産を子が持ち出した場合も、同居しているかどうかにかかわらず、この特例の対象になると考えられます。
ただし、刑が免除されることと、お金を返してもらえないことは別の問題です。民事上の返還を求める余地は残りますし、これ以上の被害を防ぐ手立ても取れます。離れている親名義の口座やカードは、利用停止や再発行の手続を名義人本人がしなければならないことが多いため、早めに対応しておくことが大切です。具体的な手順は【親子問題】通帳・カードを取り上げられた場合の対応で解説しています。
弁護士に相談すると何が変わるか
当事務所では、弁護士が親の代理人となり、子との連絡の窓口を引き受けます。金銭の要求や話し合いの申し入れを弁護士が受けることで、家に残る親が一人で子と向き合う場面を減らすことができます。あわせて、民間の自立支援カウンセラーとチームを組み、住まいや仕事探しなど、子の生活の立て直しも支えていきます。
ご相談は、家に残る親と離れて暮らす親のどちらからでもお受けしています。打ち合わせは電話やオンラインでも行えるため、赴任先にいる親もご一緒に方針を検討できます。詳しくは【親子問題】弁護士に頼むと何が変わるのか|窓口を代えるという選択や【親子問題】遠方でも依頼できるのか|全国対応の実際、【親子問題】弁護士が「親の代理人」として親子問題に介入するサービス|家庭内暴力・ひきこもりに悩むご家庭へ、自立支援カウンセラーとチームで対応をご覧ください。
まとめ
- 単身赴任中は、家に残る親に負担が集中し、離れている親には状況が伝わりにくくなります。
- 身体への危険があるときは、配偶者への連絡を待たずに110番や避難を優先してください。
- 起きたことの記録は、相談先への説明だけでなく、夫婦の情報共有にも役立ちます。
- 離れている親も、相談先への連絡や勤務先への相談などで家に残る親を支えることができます。
- 金銭の要求への対応などは、あらかじめ夫婦で方針をそろえておくことが大切です。
単身赴任中の親子問題は、家に残る親だけが抱え込むほど長引きやすくなります。夫婦それぞれができることを確かめ、必要に応じて外部の力を借りながら、家族全員の安全と生活を守る方法を一緒に考えていきましょう。
同じような状況でも、経緯や残っている記録によって取れる手段は変わります。どこから手をつければよいか判断がつかない段階でも、事実を整理するところからご一緒できます。
当事務所では、電話・メール・LINEのうちご希望の方法でご相談をお受けしています。ご都合のよい手段をお選びください。
早い段階でご相談いただくほど、選べる手立ては多く残ります。迷っている段階でも、まずはお気軽にお声がけください。


