【男女トラブル・マッチングアプリ】SNSで知り合った相手に送った自撮り写真を、悪用されないか不安なときは?

若井亮

若井亮

テーマ:男女トラブル

SNSやマッチングアプリで知り合った相手と、やり取りの流れで自撮り写真を送った。その後に連絡が途絶えたり、相手のアカウントが消えたりすると、「あの写真が何かに使われていないか」と気になり始める方は少なくありません。弁護士ドットコムなどの法律相談サイトにも、何年も前に送った顔写真について今になって心配になったという相談が繰り返し寄せられています。この記事では、送った写真の内容ごとに考えられる悪用の形と、それぞれに使える法的な手段、まだ何も起きていない段階でできることを順に整理します。

この記事は、2026年10月時点の法令(2025年4月施行の情報流通プラットフォーム対処法、2025年6月施行の拘禁刑への一本化を含みます)をもとに書いています。個別の事情によって取れる手段は変わるため、具体的な対応は専門家にご確認ください。


写真を送っただけで、すぐに問題が起きるとは限りません

 最初にお伝えしたいのは、自撮り写真を送ったからといって、それだけで悪用が起きると決まっているわけではないということです。送った写真の多くは、相手の端末に保存されたまま、あるいは削除されたまま、何も起きずに終わることが一般的です。

 一方で、写真は一度送ると送った側の手で取り戻すことができません。そのため、不安を感じたときに大切なのは、起きるかどうか分からない事態を想像し続けることではなく、「何を送ったのか」「相手に何を知られているのか」を落ち着いて確かめ、起きたときに動ける準備をしておくことです。

不安の大きさは「何を送ったか」と「何を知られているか」で変わる

 悪用のおそれがどの程度あるのか、また悪用されたときにどの法律が関わるのかは、送った写真の中身によって大きく変わります。おおまかな目安は次の表のとおりです。

送ったもの考えられる悪用の形主に関わる法的な枠組み
顔だけが写った写真なりすましアカウントのアイコン、無断の掲載肖像権・名誉権の侵害(民事)
顔と身分証・勤務先などが写った写真個人の特定、「職場に送る」といった脅しプライバシー侵害、脅迫罪・恐喝罪
裸や下着姿などの性的な写真ネット上への公開、写真を材料にした金銭要求私事性的画像記録提供等処罰法、脅迫罪・恐喝罪
顔の写真全般生成AIによる加工画像の作成・拡散名誉毀損、肖像権・プライバシーの侵害


写真そのものより、組み合わさる情報に注意する

 顔の写真1枚だけであれば、相手があなたの本名や住所までたどることは容易ではありません。不安が大きくなるのは、やり取りの中で伝えた本名、学校名、勤務先、最寄り駅などの情報と写真が結びついている場合です。

 写真の背景に制服や社員証、自宅の窓から見える景色、郵便物などが写り込んでいないかも確かめておきたい点です。送信の方法によっては、撮影場所の位置情報が画像のデータに残っていることもあります。身分証を写した画像を送ってしまった場合の対応は、身分証の写真を送ってしまった|個人情報を握られた後の対処で詳しく扱っています。

想定される悪用と、それぞれに使える手段

 実際に悪用が起きた場合でも、法律上の手段がまったくないということはありません。代表的な場面ごとに見ていきます。

なりすましアカウントやプロフィール画像に使われた

 送った写真が、あなたになりすましたアカウントや出会い系サイトのプロフィールに使われることがあります。本人の承諾なく顔写真を使う行為は肖像権の侵害にあたる可能性があり、なりすましたアカウントで社会的な評価を下げる投稿がされていれば、名誉毀損として扱われることもあります。運営会社への削除申出が最初の手段になることが多く、手順は【男女トラブル】自分の写真で出会い系に登録されていた|なりすまし登録の削除で解説しています。

SNSや掲示板に無断で掲載された

 不特定多数が見られる場所に顔写真を無断で載せられた場合、拡散性の高さから肖像権やプライバシーの侵害が認められやすくなるとされています。投稿の削除を求めるとともに、精神的な苦痛について損害賠償を求められる場合もあります。交際していた相手に掲載された場合の考え方は、交際中の写真・動画をSNSに晒された|肖像権・プライバシー侵害での削除が参考になります。

性的な写真をネット上に公開された

 裸や下着姿など性的な写真の場合は、私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律(いわゆるリベンジポルノ防止法)が関わります。撮影された本人を特定できる形で、性的な画像を不特定または多数の人に提供する行為は、3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金の対象とされています。本人が自分で撮影して特定の相手だけに送った画像も、この法律の対象に含まれます。

 この罪は告訴がなければ起訴できない親告罪とされているため、警察に相談する際は告訴の意思を伝えることになります。拡散される前の段階で相手に削除を求める進め方は、別れた相手が裸の画像を持っている|拡散される前に削除させる交渉で取り上げています。

「送らないとばらまく」「お金を払え」と脅された

 写真を材料に、さらに画像を送るよう求めたり、金銭を要求したりする手口はセクストーション(性的脅迫)と呼ばれます。害悪を告げて脅す行為は脅迫罪、金銭を出させようとする行為は恐喝罪にあたる可能性があります。要求に一度応じると、その後も要求が続くことがあるため、支払いや追加の送信をする前に相談先へつなぐことが大切です。直後の動き方はセクストーション(性的脅迫)に遭ったら|最初の1時間で決まることでまとめています。

生成AIで加工された

 顔の写真をもとに、生成AIで性的な画像などに加工される被害も報じられるようになりました。現時点で性的なディープフェイクを直接取り締まる法律は整っていないものの、名誉毀損や肖像権の侵害などの既存の枠組みで対応できる場合があります。詳しくは【男女トラブル】AIで作られた自分の性的画像が出回った|現行法で何が使えるのかをご覧ください。

まだ何も起きていない段階でできること

 悪用が起きていない段階でも、後から動きやすくするための準備はできます。次のことを確かめておくと安心につながります。

  • 相手とのやり取りの画面、相手のアカウント名・ID・プロフィール画面をスクリーンショットで保存しておくこと。
  • 相手から写真や個人情報の追加を求められても、それ以上は送らないこと。
  • 自分のSNSの公開範囲を見直し、本名や勤務先が分かる投稿を限定公開にすること。
  • 送った写真で画像検索をして、ネット上に出ていないか時々確かめること。
  • アプリやSNSを退会する前に、やり取りの記録が残る形で保存しておくこと。


 特にアプリの退会やアカウントの削除は、相手を特定する手がかりまで消してしまうことがあります。記録の残し方は【男女トラブル・マッチングアプリ】退会するとやり取りは消えるのか|証拠を残す順序で解説しています。

相手に削除を頼むかどうかは慎重に

 相手と連絡が取れる場合、「写真を消してほしい」と直接伝えたくなるかもしれません。穏やかに応じてもらえることもありますが、相手によってはかえって写真に価値があると受け止め、要求のきっかけにされることもあります。

 自分から送った写真について、相手に削除する法的な義務があるとまでは言い切れない場面も多いため、実務では弁護士が窓口となって削除と不拡散を約束する合意書を取り交わす方法がとられることがあります。当事務所が対応した例として、【解決事例】マッチングアプリで渡した個人情報や画像が不安に|ご依頼当日に削除と不拡散の合意書を締結があります。

ネット上に出てしまったときの対応の順序

 実際に写真が掲載されていると分かったときは、気持ちが焦りやすい場面ですが、次の順序で進めると手がかりを失いにくくなります。

  1. 掲載されているページのURL、投稿日時、投稿者のアカウントを画面ごと保存します。
  2. SNSや掲示板の運営会社に、削除の申出をします。
  3. 脅しや性的な画像の公開が伴う場合は、警察に相談します。
  4. 投稿者が分からない場合は、発信者情報開示の手続を検討します。


 2025年4月に施行された情報流通プラットフォーム対処法により、利用者の多い大規模なプラットフォーム事業者には、削除申出の窓口を整え、申出から原則として7日以内に対応の判断を通知することが求められるようになりました。仕組みの詳細は【男女トラブル】情報流通プラットフォーム対処法で削除依頼はどう変わったのかで、削除と発信者の特定をどちらから進めるかは【不当要求対応】拡散された後の順序|削除と発信者特定のどちらを先に動かすかで整理しています。

18歳未満のときに送った写真の場合

 送ったのが18歳未満のときの性的な写真であれば、児童ポルノにあたる可能性があり、相手が持っていること自体が違法とされる場合があります。大人の場合とは対応の進め方が異なるため、保護者や警察への相談を早めに検討してください。ご家族の立場からの対応は【親子問題】性的画像を撮られた・拡散された子への対応|削除と刑事手続の二段構えで扱っています。

弁護士に相談すると何ができるか

 弁護士に依頼すると、相手との連絡の窓口を代わり、削除と不拡散を約束する合意書の取り交わし、運営会社への削除請求、裁判所を通じた削除の仮処分や発信者情報開示請求、刑事告訴の準備などを状況に応じて組み立てることができます。相手に直接連絡せずに済む点も、不安の大きい方にとっては意味があります。

 相談したことが相手に伝わるのではないかと心配される方もいますが、ご相談の段階で相手に連絡が行くことはありません。この点は【男女トラブル】相手に知られずに相談できるか|相談しただけで相手に伝わることはないでも説明しています。当事務所の対応内容は【男女トラブル】弁護士が交際関係の解消時のトラブルに介入するサービス|金銭の清算・画像の削除・ストーカー・脅迫まで全国対応にまとめています。

よくあるご質問


何年も前に送った写真でも、今から心配したほうがよいですか

 長い間何も起きていない場合、そのまま何も起きないことが多いと考えられます。ただ、心配が続くようであれば、送った写真の内容と相手に伝えた情報を書き出し、画像検索で掲載の有無を確かめてみると、不安の中身がはっきりします。

相手のアカウントが消えてしまいました。もう何もできませんか

 アカウントが消えても、保存しておいたやり取りの記録やIDが、後に相手を特定する手がかりになることがあります。運営会社の記録には保存期間があるため、気になる場合は早めにご相談ください。

写真を送った自分にも責任があるのではと感じてしまいます

 信頼して送った写真を、本人の意思に反して公開したり脅しの材料にしたりすれば、責任を問われるのはそうした行為をした側です。送ったことを理由に相談をためらう必要はありません。

まとめ

 SNSで知り合った相手に送った自撮り写真は、多くの場合そのまま何も起きずに終わります。それでも不安が残るときは、送った写真と知られている情報を整理し、やり取りの記録を残したうえで、実際に掲載や脅しがあれば早めに削除の申出や相談につなげることが、取れる手段を広く残すことにつながります。

同じような状況でも、経緯や残っている記録によって取れる手段は変わります。どこから手をつければよいか判断がつかない段階でも、事実を整理するところからご一緒できます。
当事務所では、電話・メール・LINEのうちご希望の方法でご相談をお受けしています。ご都合のよい手段をお選びください。
早い段階でご相談いただくほど、選べる手立ては多く残ります。迷っている段階でも、まずはお気軽にお声がけください。

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若井亮
専門家

若井亮(弁護士)

弁護士法人若井綜合法律事務所

風俗トラブルや男女トラブル、それに伴う刑事事件まで一貫して対応。累計相談件数は男女トラブル約23,000件、風俗トラブル約8,000件。全国からの相談を24時間受け付け、迅速な対応を心がけています。

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