【ストーカートラブル】ブロックしても別のアカウントから連絡が来る、ストーカーにあたる?
別れた後も元恋人からLINEや電話が届き続けると、「あと何回来たらストーカーと言えるのか」と数を数えたくなるかもしれません。しかし、法律には「◯回からストーカー」という決まった回数はありません。この記事では、しつこい連絡がストーカー規制法の対象になるかを分ける考え方と、連絡が止まらないときに手元でできることを整理します。
この記事は、2025年12月30日に施行された改正ストーカー規制法(職権による警告の創設など)を反映した内容です。個別の事案でどう判断されるかは、事実関係によって異なります。
「何回から」という決まった数はありません
ストーカー規制法は、恋愛感情やそれが満たされなかったことへの恨みの感情を充たす目的で行われる一定の行為を「つきまとい等」と定めています。連絡に関するものとしては、拒まれたにもかかわらず、連続して、電話をかけたり、メールやSNSのメッセージを送ったりすることが挙げられています。LINEやInstagramのDMのようなSNSのメッセージも、改正によって対象に含まれています。
ここでいう「連続して」について、警察庁の通達は「短時間や短期間に何度も」という意味であり、具体的には個々の事案によって判断すると説明しています。つまり、回数だけで線が引かれるのではなく、どのくらいの期間に、どのような流れで連絡が重なったのかが見られることになります。
参考になる裁判例として、交際していた相手に着信拒否の解除などを求める手紙を、約1か月半の間に4回投函した事案で、東京高等裁判所が「多数回とはいえないものの、反復していないとはいえない」としてストーカー行為を認めたものがあります。数十回、数百回に至らなくても、状況によっては対象になり得ることを示す一例です。
回数より先に見られる3つの点
拒否の意思が相手に伝わっているか
連絡が「つきまとい等」にあたるには、こちらが連絡を拒んでいることが前提になります。通達では、拒絶ははっきりした言葉でなくてもよいものの、相手がその拒絶を認識していることが必要とされています。ブロックや着信拒否も拒否の表れですが、後で「拒まれているとは思わなかった」と言われないよう、一度は短い言葉で「今後は連絡しないでください」と伝え、その画面を残しておくと整理しやすくなります。
短い期間に集中しているか
1日に何十件も着信がある、数日にわたって深夜までメッセージが続くといった状況は、「短時間や短期間に何度も」の典型です。反対に、数か月に1回の連絡が長く続いているような場合は、それだけでは「連続して」と評価されにくいことがあります。ただし、内容や他の行為との組み合わせによって見方は変わります。
好意やその裏返しの感情によるものか
ストーカー規制法は、恋愛感情や、それが受け入れられなかったことへの恨みに基づく行為を対象としています。元恋人からの「やり直したい」「なぜ無視するのか」「許さない」といった連絡は、多くの場合この目的に結びつきます。貸したお金の返済を求めるなど用件のある連絡であっても、用件を口実に復縁を迫っている場合や、正当な範囲を超えて執拗に求めている場合には、問題になることがあります。
| 連絡の状況 | 規制法の観点から見た目安 |
|---|---|
| 拒否を伝えた後も、1日に何度も着信やメッセージが続く | 「連続して」にあたり得る典型的な場面 |
| ブロック後に別のアカウントや番号から連絡が来る | 拒否を認識したうえでの連絡として見られやすい |
| 拒否をまだ伝えていないが、連絡が多い | まず拒否の意思を伝えることが出発点になる |
| 数か月に1回程度の連絡が続いている | 連絡だけでは判断が分かれることがある |
連絡以外の行為が加わると見方が変わる
しつこい連絡に、自宅や職場の近くでの待ち伏せ、「今日どこにいたか知っている」といった監視を思わせる言葉、面会や復縁の要求、乱暴な言動などが加わることがあります。最高裁判所の判例では、種類の異なる「つきまとい等」が全体として繰り返されていれば、ストーカー行為が成立し得るとされています。連絡の回数だけを数えるのではなく、起きている出来事をまとめて記録しておくことが大切です。
また、本人だけでなく、家族や新しい交際相手、友人など、生活上密接な関係にある人への連絡も対象に含まれます。周囲への連絡が続いている場合は、その分も記録に加えておきます。
「つきまとい等」と「ストーカー行為」の違い
ストーカー規制法では、手続の段階が2つに分かれています。
| 区分 | 内容 | 主な対応 |
|---|---|---|
| つきまとい等 | 上記の行為をして、相手に不安を覚えさせること | 警察の警告、公安委員会の禁止命令 |
| ストーカー行為 | つきまとい等を繰り返すこと | 刑事罰の対象(1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金) |
| 禁止命令違反のストーカー行為 | 禁止命令に従わずに繰り返すこと | より重い刑事罰の対象(2年以下の拘禁刑または200万円以下の罰金) |
これまで警告は被害を受けた人の申出が前提でしたが、2025年12月30日施行の改正により、警察が必要と判断した場合には職権で警告を出せるようになりました。相手からの報復が心配で申出をためらう事情があっても、警察に相談したうえで対応を検討してもらえる余地が広がっています。
連絡が止まらないときに今日からできること
- 一度だけ、短く拒否を伝えます。「今後は連絡しないでください」程度にとどめ、理由の説明や感情的なやり取りは避けます。
- 拒否を伝えた後は返信しないようにします。返信すると、やり取りが続いていると受け取られるおそれがあります。
- 届いた連絡を保存します。メッセージの画面、着信履歴、日時、送信元のアカウントや番号が分かる形で残します。
- ブロックや着信拒否をする前に、それまでのやり取りを保存しておきます。着信拒否をしていても、着信履歴が残れば電話をかけた事実として扱われることがあります。
- 日付ごとに、連絡の回数と内容、待ち伏せなど連絡以外の出来事をメモにまとめます。
- 身の危険を感じるときは110番、急ぎではない相談は警察相談専用電話「#9110」や最寄りの警察署の生活安全課に連絡します。
記録の残し方や、相手を刺激しない距離の取り方については、ストーカーを刺激せず関係を断つ|安全な接触遮断と証拠の残し方でも詳しく解説しています。
ブロックした後に別の手段で連絡が来るとき
ブロックした後に、別のアカウント、別の電話番号、共通の知人を通じた伝言などで連絡が届くことがあります。拒否されていることを分かったうえで手段を変えて連絡している状況は、拒否の認識を示す事情として見られやすくなります。どの手段で、いつ届いたのかを区別して記録しておくと、警察や弁護士に状況を伝えやすくなります。
非通知の着信や無言電話が続く場合は【ストーカートラブル】無言電話・非通知の着信が続く|記録と止め方を、SNSへのコメントが続く場合は【ストーカートラブル】SNSに毎日コメントされる|ネット上の行為は規制法の対象になるかもあわせてご覧ください。
警察と弁護士、それぞれに頼めること
警察には、警告や禁止命令といった規制法上の手続や、悪質な場合の捜査を求めることができます。相談した記録が残ること自体も、後で状況が悪化したときの手がかりになります。相談したのに警告に至らなかった場合の進め方は【ストーカートラブル】警察に相談したのに警告が出ない|次に取れる手段で整理しています。
弁護士は、ご本人に代わって相手に連絡をやめるよう求める通知を送ったり、接触禁止を盛り込んだ合意書を交わす交渉をしたりすることができます。相手と直接やり取りする必要がなくなるため、精神的な負担を軽くしたい場合に検討しやすい方法です。警察への相談と並行して進めることもできます。どちらに先に相談するかで迷う場合は、【ストーカートラブル】警察と弁護士のどちらに先に相談するか|ストーカー被害での順序も参考にしてください。
よくあるご質問
1日に何十件も連絡が来ていますが、まだ数日しかたっていません。それでも相談してよいですか
相談して差し支えありません。「連続して」は短期間に何度もという意味とされており、長い期間続いていることは必要とされていません。拒否を伝えた後も短期間に連絡が集中しているのであれば、早めに記録をまとめて相談することで、取れる手段を検討しやすくなります。
一度だけ返信してしまいました。拒否したことにならなくなりますか
一度返信しただけで、それまでの拒否がすべてなかったことになるわけではありません。ただ、相手に「まだやり取りできる」と受け取られるおそれはあります。改めて短く拒否を伝え、その後は返信しないようにして、経緯を記録に残しておくとよいでしょう。
元恋人の家族や新しい交際相手にも連絡が来ています
生活上密接な関係にある人への連絡も、ストーカー規制法の対象になり得ます。新しい交際相手への連絡が続いている場合の対応は、【男女トラブル】元恋人が新しい交際相手に連絡してくる|止めるための段階と、二人での動き方で解説しています。
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元恋人からの連絡がストーカーにあたるかどうかは、回数だけでなく、拒否が伝わっているか、どのくらいの期間に集中しているか、ほかにどのような行為があるかを合わせて判断されます。数を数えて待つよりも、拒否を伝え、記録を残し、早めに相談先を確保しておくことが、状況を落ち着かせる近道になります。
同じような状況でも、経緯や残っている記録によって取れる手段は変わります。どこから手をつければよいか判断がつかない段階でも、事実を整理するところからご一緒できます。
当事務所では、電話・メール・LINEのうちご希望の方法でご相談をお受けしています。ご都合のよい手段をお選びください。
早い段階でご相談いただくほど、選べる手立ては多く残ります。迷っている段階でも、まずはお気軽にお声がけください。


