不貞慰謝料の全体像|発覚から解決までのロードマップ
本記事は、ストーカー規制法について令和8年3月10日施行分までの改正と、警察庁の解釈通達(令和3年5月26日付け)の内容を踏まえ、2026年9月時点で確認できた情報をもとに記載しています。個別の行為がどの規定に当たるかは、経緯や態様によって判断が分かれます。
別れた相手のSNSを、気づくと開いてしまう。新しい投稿がないかを確かめ、写っている場所や一緒にいる人まで目で追ってしまう。そうした状態が続き、「見ているだけでも罪になるのか」「自分はストーカーになっているのではないか」と不安を抱えてご相談に来られる方がいます。
先に全体像をお伝えすると、公開されている投稿を閲覧することそのものを直接の対象とした罰則は、ストーカー規制法には置かれていません。問題になりやすいのは、見た内容をきっかけにして、相手に向けて何かをする場面です。
この記事では、見ている側の立場から、どの動きから法律の枠に入ってくるのかを整理します。相手に知られずに済むかどうかではなく、自分の行動をどこで止めるかを考える材料としてお読みください。
ストーカー規制法が対象にしているのは「相手に向けた行為」
ストーカー規制法は、特定の人への恋愛感情その他の好意の感情、またはそれが満たされなかったことによる怨恨の感情を充足する目的で、その人や家族などに一定の行為をすることを「つきまとい等」と定めています(法2条1項)。
別れた相手を気にかけて投稿を見ている方は、この目的の要件に当てはまりやすい立場にあります。そのため、実際の分かれ目は目的よりも、法律が列挙している行為に踏み込んだかどうかにあります。列挙されているのは、つきまといや見張り、監視していると思わせる事項を告げること、拒まれた後の連続した連絡などで、いずれも相手の側に何かが届く行為です。画面の中で投稿を眺めているだけの状態は、この列挙には含まれていません。
見た後の動きと、関係する規定
| 見た後の動き | 関係する主な規定 | 問題になりやすい点 |
|---|---|---|
| 見た内容を相手に伝える | ストーカー規制法2条1項2号 | 監視していると思わせる事項を告げる行為に当たり得る |
| メッセージやコメントを送る | 同項5号・同条2項 | 拒まれた後に連続すると対象になり得る |
| 投稿に写った場所へ行く | 同項1号 | 相手が現にいる場所の付近での見張りやうろつきに当たり得る |
| 相手のアカウントにログインする | 不正アクセス禁止法 | 中を見るだけでも問題になり得る |
| 投稿を保存して周囲に見せる | 民法709条など | プライバシーや名誉の侵害になり得る |
見た内容を相手に伝える
「昨日あの店にいたよね」「最近あの人とよく会っているね」といった一言は、相手からすると、自分の行動を把握されていると受け止めやすい内容です。法2条1項2号は、行動を監視していると思わせるような事項を告げること、またはその知り得る状態に置くことを挙げています。
警察庁の通達では、「知り得る状態に置く」とは、直接伝えなくても、相手が日常生活の中で知ることのできる範囲に届けることと説明されています。共通の知人に話す、相手が見ていると分かっている自分のアカウントで行動を知っているかのような投稿をする、といった形でも、この号との関係が問われることがあります。
メッセージやコメントを送る
電話や文書のほか、LINEなどのSNSのメッセージ機能や、相手のSNSのページへのコメントの書き込みも、法2条2項により「電子メールの送信等」に含まれます。拒まれたにもかかわらず連続してこれらを送ると、同条1項5号の行為に当たり得ます。
通達によれば、拒絶ははっきりした言葉に限られず黙示のものも含まれますが、送る側がそれを認識していることが必要とされています。ブロックされた後に別のアカウントから送る、警察を通じて連絡しないよう伝えられた後にも送る、といった場面は、この認識があったと見られやすくなります。「いいね」やリアクションのような軽い操作がどう評価されるかは、機能の仕組みや前後の経緯によって見方が分かれ得るところですが、拒まれた後に繰り返せば、相手への働きかけとして受け取られやすくなります。送る側から見た整理はしつこいDM・メッセージを送った|脅迫とストーカー規制法の重なりでも扱っています。
投稿に写った場所へ行く
投稿から相手の居場所や行きつけの店が分かり、そこへ足を運んでしまう。法2条1項1号は、住居や勤務先だけでなく、相手が現にいる場所の付近での見張りや、その付近をみだりにうろつくことも対象にしています。偶然を装うつもりでも、投稿を見て出向いたという経緯は、後から説明しにくいものです。相手の家の近くで待つ場面については元交際相手の家の前で待っていた|住居侵入とつきまといの境界をご覧ください。
相手のアカウントにログインする
交際中に教えてもらったIDとパスワードで相手のアカウントに入る行為は、閲覧だけで操作をしていなくても、不正アクセス禁止法の問題になり得ます。元交際相手であることや、以前は使ってよいと言われていたことは、それだけで許される理由にはなりにくいと考えられます。成立する範囲は他人のIDでログインした|不正アクセス禁止法の成立範囲で、罪に問われ得る場面の全体は元交際相手のSNSを見ていた|のぞき見が罪になる場面で整理しています。
交際中に設定した位置情報の共有が残っていて、それを見続けているという場合は、別の規定が関わってきます。別れた後も位置情報を見られている|共有アプリ・見守りアプリの解除と法的対応もあわせてご確認ください。
投稿を保存して周囲に見せる
相手の投稿の画面を保存して友人に見せる、自分のアカウントで取り上げる、といった使い方は、内容によってはプライバシーや名誉の侵害として、損害賠償(民法709条)を求められるおそれがあります。限られた人にだけ公開されている投稿を外に出す場合は、とくに慎重に考える必要があります。ネットへの書き込みに伴う責任は他人の個人情報をネットに書き込んだ|特定と晒しの責任で扱っています。
一度だけなら問題にならないのか
つきまとい等を反復して行うと「ストーカー行為」となり、罰則の対象になります(法18条)。ただ、一度きりであれば何も起きないというわけではありません。つきまとい等をして相手に不安を覚えさせることは禁止されており(法3条)、さらに繰り返すおそれがあると判断されれば、警告や禁止命令等の対象になり得ます(法4条・5条)。令和7年12月30日からは、相手からの申出がなくても警告ができる仕組みも設けられました。
反復の数え方にも注意が必要です。最高裁判所の判断(平成17年11月25日)により、同じ号の行為を繰り返した場合に限らず、各号の行為が全体として反復されていれば足りるとされています。場所へ出向いたのが一度、メッセージが数回、という組み合わせでも、まとめて評価されることがあります。
不安を覚えさせるような方法かどうかは、通常の人を基準にしつつ、当事者の関係、行為の態様、回数や頻度、警告との前後関係などを総合して判断されます。交際していた間柄であることは、この判断の中で考慮される事情の一つです。規定の違いは連絡は1回だけだった|つきまとい等とストーカー行為の違いで詳しく整理しています。
新しい交際相手や友人のSNSに広がるとき
相手の新しい交際相手や友人のアカウントまで見に行くようになると、関わる人が増えていきます。法2条1項は、相手本人だけでなく、家族や「社会生活において密接な関係を有する者」への行為も対象にしており、通達は恋人、友人、職場の上司などを例に挙げています。新しい交際相手に連絡を入れる、その人の行動を知っているとほのめかす、といった動きは、元の相手に向けた行為と同じ枠で見られることがあります。
また、恋愛感情ではなく、ねたみや恨みから同じような行為を繰り返した場合は、東京都の迷惑防止条例(5条の2)の対象になり得ます。
見続けてしまうときに、自分でできること
法律の線を越えないためには、見る回数を無理に減らそうとするより、見た後の動きにつながる経路を先に断っておくほうが現実的です。
- フォローの解除やミュートなどで、投稿が目に入る経路を減らします。相手に通知が届くかどうかは、各サービスの仕様を確認してください。
- 見た内容は、相手にも共通の知人にも話さないと決めておきます。
- 連絡したくなったときは、送る前に時間を置きます。物の返却など必要な用件がある場合は、第三者を通す方法を考えます。
- 交際中に知ったIDやパスワードは使わず、共有の設定は自分の側から外します。
- 一人では止めにくいと感じたら、身近な人や専門の相談窓口に話してみます。
すでに連絡や接触をしてしまったとき
行き過ぎたと気づいたとき、謝りたい、説明したいという気持ちから連絡を重ねてしまうことがあります。しかし、拒まれている状況での連絡は、内容にかかわらず回数として数えられるおそれがあります。通達も、送る内容はどのようなものでもよいとしています。
警察から連絡や警告を受けた場合、警告は特定の行為だけでなく、法2条1項の各号の行為全体に及ぶものとして扱われています。以後は相手への働きかけを控え、事情を伝えたいときは警察や弁護士を通すのが穏当です。禁止命令等には事前に聴聞の手続があり、効力は1年とされ、延長されることもあります。
当事務所では、これまでの経緯を時系列で整理し、相手方や警察とのやり取りをどのように進めるかを一緒に考えることができます。
よくあるご質問
閲覧した人が相手に表示される機能で見てしまいました。問題になりますか
表示されたこと自体をもって直ちに法2条1項2号に当たると整理するのは難しいと考えられます。通達は、行動を監視していると思わせるような程度に至ることを求めているためです。ただ、表示が頻繁に続き、ほかの言動と重なると、相手が見られていると受け止めるきっかけにはなり得ます。
共通の友人に相手の近況を聞くのは避けたほうがよいですか
近況を尋ねること自体を直接規制する規定はありません。ただ、質問が重なれば相手に伝わり、行動を気にされていると受け止められることがあります。また、ストーカー行為等をするおそれがある人と知りながら相手の情報を提供することは禁止されており(法6条)、令和8年3月10日からは、警察が情報提供をしないよう求める仕組みも始まっています。聞かれた友人の側に負担をかけることも考えておきたいところです。
ブロックされた後、別のアカウントで投稿を見るのはどうですか
公開されている投稿を見ること自体を直接罰する規定は、ここでも置かれていません。ただ、ブロックは関わりを拒む意思の表れと受け取られることが多く、その後に別のアカウントでフォローを申請したりメッセージを送ったりすると、拒まれたにもかかわらずした行為と評価されやすくなります。サービスによっては、ブロックを避ける目的での複数アカウントの利用を利用規約で制限していることもあります。
まとめ
- 公開されている投稿を見ることそのものを直接の対象とした罰則は、ストーカー規制法にはありません。
- 問題になりやすいのは、見た内容を伝える、送る、出向く、ログインする、広めるといった、見た後の動きです。
- 拒まれた後の連絡は、謝罪や説明のためであっても回数として数えられるおそれがあります。
- 一度きりでも、不安を覚えさせ、繰り返すおそれがあると判断されれば、警告の対象になることがあります。
- 新しい交際相手や友人への働きかけも、元の相手に向けた行為と同じ枠で見られることがあります。
- 見る回数を減らすことより、見た後の動きにつながる経路を先に断つことが現実的です。
SNSを見てしまうこと自体を、過度に責める必要はありません。大切なのは、見た後に相手へ何かを届けたくなったとき、その手前で立ち止まれるかどうかです。すでに踏み出してしまったかもしれないと感じている段階でも、経緯を整理すれば、取るべき対応は見えてきます。
同じような状況でも、経緯や残っている記録によって取れる手段は変わります。どこから手をつければよいか判断がつかない段階でも、事実を整理するところからご一緒できます。
当事務所では、電話・メール・LINEのうちご希望の方法でご相談をお受けしています。ご都合のよい手段をお選びください。
早い段階でご相談いただくほど、選べる手立ては多く残ります。迷っている段階でも、まずはお気軽にお声がけください。


