【男女トラブル】仕事が軌道に乗った途端に別れを告げられた、返金は?
本記事は、2026年10月時点の民法の規定と一般的な考え方に基づいて説明しています。受け取った側が18歳未満の場合や、刑事事件がからむ場合は扱いが異なることがあります。
パパ活の関係が終わったとき、相手から「これまで買ってあげたバッグや財布を返してほしい」「返さないなら代金を払ってほしい」と求められることがあります。受け取ったときは好意やお礼として渡されたはずのブランド品でも、関係が途切れたとたんに「約束が違う」と言われると、返さなければならないのか不安になる方は少なくありません。
この記事では、パパ活の約束のなかで受け取ったブランド品が法律上どのように扱われるのか、返還を求められる可能性がある場面はどこか、求められたときにどの順序で対応するかを整理します。
「返せ」と言われやすい場面
- 会う回数を減らしたら、これまでのプレゼントを全部返せと言われた。
- 性的な関係を断ったら、「そのつもりで買ったのだから返せ」と言われた。
- 連絡を控えるようにしたら、品物か購入代金のどちらかを返せとメッセージが続いている。
- 返さないなら職場や家族に話すとほのめかされている。
- 一度「返す」と答えてしまい、取り消せるのか分からない。
法律相談サイトにも、パパ活の相手の求めを断ったり関係を終えたりした後に、それまでのお金やプレゼントの返還を求められたという相談が複数寄せられています。こうした請求が法的に認められるかどうかは、品物を受け取ったときの事情によって分かれます。
受け取ったブランド品は法律上どう扱われるか
プレゼントは「贈与」として扱われるのが基本
物を無償で相手に与え、相手がそれを受け取ることは、民法上の贈与(民法549条)にあたります。パパ活の場で「誕生日だから」「いつも会ってくれるお礼に」と買ってもらったバッグやアクセサリーも、多くの場合はこの贈与として扱われます。
渡し終えた贈与は、贈った側の一存では解除できない
民法550条は、書面によらない贈与は各当事者が解除できるとしつつ、すでに履行が終わった部分については解除できないと定めています。品物を手渡し、受け取った側の手元に移った時点で履行は終わっているため、贈った側が後から気持ちを変えて「やはり返してほしい」と言っても、それだけでは返還の義務は生じないと考えられています。
関係が終わったことや、期待していた関係に進まなかったことは、それだけでは返還の理由になりにくいというのが一般的な考え方です。
「会い続ける約束で渡した」という主張の位置づけ
相手が「今後も会うという条件で買ったのだから、条件が守られなければ返すべきだ」と主張することがあります。贈与に条件や負担が付いていたと評価される場合には、その内容によって解除が問題になる余地があります(民法553条)。
もっとも、それまで会ってきたことへのお礼として渡された品物について、後に関係が終わったことを理由にさかのぼって返す義務が生じる場面は限られます。また、性的な関係を持つことを条件にした約束は、公序良俗に反して無効とされる可能性が高く(民法90条)、そのような不法な原因のために渡したものは、原則として返還を求められないとされています(民法708条)。どのような約束で受け取ったのかを、やり取りの記録から確かめることが出発点になります。
返還を求められる可能性がある場面
原則は上記のとおりでも、受け取ったときの事情によっては返還の義務が問題になります。代表的な場面は次のとおりです。
| 場面 | 考え方 |
|---|---|
| 「貸すだけ」「使い終わったら返して」と言われて受け取った | 贈与ではなく貸し借り(使用貸借)と評価され、返還を求められることがあります |
| 事実と異なる事情を伝えて買ってもらった | だまされて贈与したとして取消し(民法96条)や損害賠償の対象になるおそれがあります |
| 品物を返すことを相手と合意した | 合意に基づいて返す義務が生じることがあります |
| 結婚を前提として贈られた | 婚約の解消によって返還が問題になることがあります |
特に、「家族の治療費が必要」「借金の返済に困っている」など事実と異なる事情を伝えて高額な品物を買ってもらっていた場合は、民事上の返還にとどまらず、刑事事件として扱われるおそれもあります。心当たりがある場合は、相手とのやり取りを進める前に弁護士に相談することをおすすめします。
すでに「返す」と言ってしまった場合
強く迫られて「返します」と答えてしまう方もいます。その場合の考え方は、何を返すと言ったかによって分かれます。
品物そのものを返すと応じた場合は、もとの贈与を合意で解消したと評価され、返す方向で考えることになりやすいといえます。一方、「代金を払う」と応じた場合は、新たにお金を渡す約束をしたと評価される余地があり、書面によらず、まだ支払っていない段階であれば、その約束を解除できるとする弁護士の解説もあります。メッセージアプリでのやり取りについては、民法550条の「書面」にはあたらないとする見解が示されています。
ただし、答えたときの言葉や状況によって評価は変わるため、言ってしまったからといって慌てて支払うのではなく、やり取りを残したまま相談するのが安全です。念書や誓約書に署名してしまった場合は、作成時の状況も確認が必要です。詳しくは【男女トラブル】別れ際に書いた誓約書を撤回したい|強く迫られて書いた書面で解説しています。
請求の伝え方が行き過ぎている場合
相手が返還を求める権利があると考えている場合でも、伝え方には限度があります。「返さなければ職場に話す」「家族にパパ活のことを知らせる」「SNSに書き込む」などと告げて品物やお金を求める行為は、脅迫罪や恐喝罪にあたるおそれがあります。
こうした言葉が届いた場合は、反論や謝罪の返信を重ねるより、メッセージを消さずに保存し、相手を刺激しないことを優先します。正当な請求と脅しとの境目については「訴えるぞ」「警察に行くぞ」は脅迫か|正当な権利行使との境界線、つきまといに発展している場合はパパ活相手からストーカー・脅迫被害|身バレを防ぎながら止める方法、相手が勤務先に来た場合は【男女トラブル】パパ活の相手が職場に来た|職場でのトラブルを止めるも参考になります。
求められたときに確認しておきたいこと
- 品物を受け取った日、相手から言われた言葉、渡された理由を時系列でまとめておくこと。
- 相手とのメッセージや購入時の写真などを、削除せずに保存しておくこと。
- 結論が出るまでは、品物の売却や処分を控えておくこと。
- 返すかどうかを決める前に、直接会って受け渡しをする約束をしないこと。
- 相手に新たな個人情報(勤務先・住所・本名など)を伝えないこと。
品物の売却を控えるのは、返還の義務がある場面にあたると判断された場合に、品物で返すか金銭で清算するかの選択肢を残しておくためです。返還の義務がない場面であれば、手元の品物をどうするかは受け取った側が決められます。
直接会って品物を渡す方法は、その場で追加の要求を受けたり、身元を知られたりするおそれがあります。身分証の提示を求められている場合は【男女トラブル】パパ活の相手から身分証を見せろと迫られた|個人情報を渡した後もご覧ください。
品物を返して終わらせたい場合の注意点
法的な義務がなくても、早く関係を終えるために品物を返すという判断もあり得ます。その場合は、返した後に「まだ足りない」「代金も払ってほしい」と請求が続かないよう、返す範囲と、それ以上の請求をしないことを書面で確認しておくことが大切です。
書面には、返す品物の特定、受け渡しの方法、今後お互いに金銭を請求しないことの確認(清算条項)、今後連絡を取らないことの約束などを盛り込みます。書面の作り方は相手が要求を取り下げても終わりではない|再請求を防ぐ合意書の作り方、交際中に作った書面の効力は【男女トラブル】交際相手との間で作った書面|『誓約書』『覚書』の効力で詳しく説明しています。
弁護士に依頼した場合にできること
弁護士が代理人になると、相手との連絡窓口を弁護士に移すことができます。受け取った経緯を整理したうえで、返還の義務がないと考えられる場合はその旨を相手に伝え、品物を返す方向で解決する場合は清算条項や接触禁止を盛り込んだ合意書を交わします。
相手の本名や連絡先が分からない場合や、脅すような言葉が続いている場合も、状況に応じて取れる手段を検討します。当事務所の取り扱い例は【解決事例】パパ活相手からの高額な返金請求|弁護士の介入により支払0円で関係を清算した事例で、サービスの内容は【男女トラブル】弁護士が交際関係の解消時のトラブルに介入するサービス|金銭の清算・画像の削除・ストーカー・脅迫まで全国対応でご紹介しています。
よくあるご質問
品物ではなく「買った金額を払え」と言われました。払う必要はありますか
贈与として受け取った品物について返還の義務がない場合、その代わりに代金を払う義務も通常は生じません。返還の義務がある場面でも、品物そのものを返すことが基本となり、品物を手放していて返せない場合などに金銭での清算が問題になります。
受け取ったブランド品をすでに売ってしまいました
贈与として受け取った物であれば、受け取った側が処分を決められます。売却したことが問題になるのは、貸し借りの品物だった場合や、事実と異なる事情を伝えて買ってもらった場合など、返還の義務が生じる場面に限られます。
「詐欺で訴える」と言われています
相手の好意で買ってもらった品物について、関係が終わったことだけで詐欺が成立するわけではありません。ただし、購入を頼んだときに事実と異なる事情を伝えていた場合は、評価が変わることがあります。民事と刑事の境目については「詐欺だ」と言われて返金を求められている|民事の紛争と刑事の境界で解説しています。
相手の配偶者から品物の返還を求められました
相手が既婚者だった場合でも、相手本人が返還を求められない品物について、配偶者が自分の立場で返還を求められる場面は限られると考えられています。ただし、肉体関係があった場合などは、慰謝料の請求という別の問題が生じることがあります。【不貞慰謝料】パパ活・ママ活の相手が既婚だった場合もあわせてご覧ください。
関連する解説記事
- 「渡した金を返せ」と言われた女性へ|返済義務があるケース・ないケース
- 別れた途端「これまでの金を返せ」と言われた|贈与と貸付の違い
- パパ活の「約束したお手当」トラブル|口約束・条件変更でもめたら
- 【男女トラブル】パパ活をやめたいのに相手が関係を続けようとする|続ける義務の有無と、終わりの伝え方
パパ活の関係のなかで受け取ったブランド品は、多くの場合、贈与として受け取った側のものになります。一方で、受け取ったときの約束の内容や伝えた事情によっては返還が問題になることもあるため、相手の言い分にすぐ応じる前に、経緯を整理して確かめることが大切です。
同じような状況でも、経緯や残っている記録によって取れる手段は変わります。どこから手をつければよいか判断がつかない段階でも、事実を整理するところからご一緒できます。
当事務所では、電話・メール・LINEのうちご希望の方法でご相談をお受けしています。ご都合のよい手段をお選びください。
早い段階でご相談いただくほど、選べる手立ては多く残ります。迷っている段階でも、まずはお気軽にお声がけください。


