【解決事例】酔って転倒しキャストが負傷、治療費等を請求された|解決金約22万円で示談が成立した事例
本記事は、18歳以上の方どうしのやり取りを前提にしています。どちらかが18歳未満の場合は別の法律上の問題が生じるため、早めに専門家へご相談ください。
SNSやマッチングアプリで知り合った相手から、会う前に交通費やお小遣いを受け取っていた。ところが、会うのをためらったり予定が合わなかったりしているうちに、「会わないならお金を返せ」「返さないなら訴える」といったメッセージが届くようになった――。当事務所には、こうしたご相談が寄せられることがあります。
このとき、受け取ったお金を全額返さなければならないかどうかは、一律には決まりません。分かれ目になるのは、そのお金が「何のために」渡されたのかという点です。本記事では、返す必要があるかを考える筋道と、詐欺や脅しをほのめかされた場合の受け止め方、メッセージが届いた段階でしておきたいことを整理します。
「会わないなら返せ」と言われやすい場面
- SNSで知り合った相手から「交通費に使って」と送金されたが、会う前に気持ちが変わった。
- 「先に渡しておく」とお小遣いを受け取ったまま、会う日が決まらずに時間が過ぎた。
- 一度会った後、次に会うのを断ったら、これまでの分を返すよう求められた。
- 生活の苦しさを話したら援助を申し出られ、受け取った後に「会わないなら貸したことにする」と言われた。
- 返さなければ家族や職場に知らせる、SNSにさらすというメッセージが届いた。
いずれの場面でも、渡した側は「会うことを前提に渡した」と考え、受け取った側は「くれたもの」と考えていることが少なくありません。この認識のずれが、トラブルの出発点になります。
返す必要があるかは「お金の趣旨」で分かれる
受け取ったお金の性質は、おおむね次のように整理できます。実際には一つのやり取りに複数の要素が混ざることもあり、メッセージの文面や金額、会った回数などから個別に判断されます。
| お金の趣旨 | 法律上の整理の例 | 「会わないなら返せ」への見通し |
|---|---|---|
| 見返りなく渡されたお小遣い・プレゼント | 贈与(民法549条) | 渡し終えた分は撤回されにくい |
| 会うことと引き換えの先払い・交通費 | 負担付贈与(民法553条)など | 会っていない分は返還を求められる余地がある |
| 返す約束で借りたお金 | 金銭消費貸借(民法587条) | 会うかどうかと関係なく返済義務が生じる |
| 性的な関係の対価とされたお金 | 公序良俗違反(民法90条)・不法原因給付(民法708条) | 渡した側からの返還請求は認められにくい |
見返りなく渡されたお小遣いやプレゼント
相手が好意から一方的に渡したお金や物は、贈与(民法549条)にあたると考えられます。書面によらない贈与は解除できるとされていますが、すでに渡し終えた部分は解除できません(民法550条)。「会えたらうれしい」という期待が添えられていた程度であれば、会わなかったことを理由に返還を求められても、応じる義務はないと考えられることが多いでしょう。
ただし、相手が後から「会う約束の対価だった」と主張してくることはあります。受け取ったときのメッセージに何と書かれていたかが、判断の材料になります。
会うことと引き換えに先払いされたお金
「次に会うときの分を先に渡す」「会う日の交通費として送る」など、会うことと結びつけて受け取ったお金は事情が異なります。会うことを負担とする贈与(負担付贈与、民法553条)や、会うことを条件にした約束と評価されると、約束が果たされていない部分について返還を求められる余地があります。
すでに何度か会っている場合は、どこまでが会った分で、どこからが残りの分なのかで争いになりやすいところです。相手が「1回あたりいくら」と後から計算し直して請求してくることもあるため、受け取った当時の取り決めを確かめることが出発点になります。
「貸して」と頼んで受け取ったお金
こちらから「貸してほしい」と頼み、返す約束で受け取ったお金は、金銭の貸し借り(金銭消費貸借、民法587条)にあたります。この場合、会うかどうかとは関係なく、返済の義務が生じるのが原則です。返済の方法として会うことや性的な関係を持ちかけられていたとしても、借りたお金そのものの扱いが直ちになくなるわけではないため、慎重な整理が必要です。
性的な関係を前提にした約束
性的な関係の対価としてお金をやり取りする約束は、公序良俗に反し無効(民法90条)と考えられています。そのうえで、不法な原因のために渡したお金は返還を求めることができないとされているため(民法708条)、相手からの返還請求は認められにくいと考えられます。
もっとも、これは返さずに済むことを保証するものではありません。お金が性的な関係の対価だったのか、それ以外の名目だったのかは、それ自体が争いになることがあります。
「詐欺で訴える」と言われたとき
返還を求める相手が「詐欺だ」「警察に被害届を出す」と伝えてくることは少なくありません。詐欺罪(刑法246条)が問題になるのは、お金を受け取る時点で、初めから会うつもりがないのに会うと偽っていたような場合です。受け取った後に気持ちが変わった、体調や仕事の都合で会えなくなったという事情であれば、それだけで直ちに詐欺と評価されることは考えにくいといえます。
一方で、偽名や実在しない事情を伝えていた、同じようなやり取りを複数の相手と繰り返していたといった事情があると、受け取った時点の意思が疑われるおそれがあります。民事の返金の問題と刑事の問題の境界については、「詐欺だ」と言われて返金を求められている|民事の紛争と刑事の境界で詳しく解説しています。
返還の求め方に脅しが含まれている場合
返還の求め方そのものが問題になることもあります。「返さないなら家族や職場に知らせる」「SNSにさらす」「送ってもらった身分証の画像を使う」といった内容は、脅迫罪(刑法222条)にあたる可能性があり、お金を払わせる目的で告げられていれば恐喝罪(刑法249条)が問題になることもあります。返還を求めること自体に理由がある場合でも、手段が社会的に許される範囲を超えれば違法と評価されることがあります。
他方、「訴える」「法的手段をとる」と伝えること自体は、権利の行使を告げるものとして、ただちに脅迫とはされにくいと考えられています。どこからが問題になるのかは、「訴えるぞ」「警察に行くぞ」は脅迫か|正当な権利行使との境界線もあわせてご覧ください。身分証の画像を相手に送ってしまっている場合は、身分証の写真を送ってしまった|個人情報を握られた後の対処が参考になります。
メッセージが届いた段階でしておきたいこと
- 相手とのやり取りを消さずに保存すること(受け取ったときの名目、会う約束の内容、返還を求める文面が分かるもの)。
- 受け取った金額・日付・方法(振込・送金アプリ・手渡し)を一覧にしておくこと。
- 求められるままに振り込んだり、分割で払う約束をしたりしないこと。
- 住所・勤務先・身分証など、新たな個人情報を渡さないこと。
- 直接会って話し合おうという提案には応じないこと。
- 危害を加えるような内容が含まれる場合は、警察に相談すること。
SNSやアプリのやり取りは、相手がアカウントを削除したり、自分が退会したりすると確認できなくなることがあります。記録を残す順序は【男女トラブル・マッチングアプリ】退会するとやり取りは消えるのか|証拠を残す順序で解説しています。
慌てて一部でも支払うと、請求を認めたものと受け取られたり、追加の要求につながったりすることがあります。返す部分があると考えられる場合でも、金額の範囲を確定させ、それ以上の請求をしないことを書面で取り決めてから支払うのが望ましいでしょう。
連絡を絶つことを考える場合も、記録を残してからにしてください。相手が住所を知っているときは裁判所からの書類が届く可能性もあり、その場合は放置せずに対応する必要があります。
弁護士に依頼するとできること
弁護士が代理人になると、相手との連絡窓口を弁護士に一本化でき、ご本人が直接やり取りをする負担がなくなります。受け取ったお金の趣旨をメッセージから整理し、返す必要がない部分についてはその理由を相手に伝え、返すべき部分があれば金額を確定させたうえで、接触しないことや個人情報・画像を削除することを含めた合意書にまとめる、といった対応が考えられます。
当事務所が扱った事案には、パパ活の関係を終えた後に多額の返金を迫られ、弁護士が交渉の窓口を担った結果、支払いをしないまま関係を終えられたものもあります(【解決事例】パパ活相手からの高額な返金請求|弁護士の介入により支払0円で関係を清算した事例)。結果は事案ごとに異なりますが、相手の要求に応じる前の段階でご相談いただければ、選べる方法を広く残せます。
よくあるご質問
一度も会っていなければ、受け取った全額を返さなければなりませんか
一度も会っていないことだけで、全額の返還義務が決まるわけではありません。見返りなく渡されたものであれば返す義務はないと考えられる一方、会うことと引き換えの先払いだった場合は、返還を求められる余地があります。受け取ったときのやり取りの内容によって結論が変わります。
相手は本名や電話番号を知っています。訴えられることはありますか
本名や住所が分かれば、相手が民事の裁判を起こすことは手続上可能です。ただし、訴えが起こされても、請求が認められるかどうかはお金の趣旨によって判断されます。裁判所から書類が届いた場合は、定められた期限内に対応することが大切です。
相手をブロックしてもかまいませんか
脅すような連絡が続く場合、連絡を断つことは身を守る手段の一つです。ただ、ブロックすると相手のメッセージを確認できなくなることがあるため、その前にやり取りを保存しておきましょう。返すべき部分があると考えられる場合は、連絡を断つだけでは解決しないため、弁護士を通じた整理を検討してください。
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「会わないなら返せ」という連絡は、受け取ったお金の趣旨と、相手の求め方の両面から見ていく必要があります。返す必要があるのか、あるとすればどこまでなのかを一人で判断しきれないときは、やり取りの記録を手元に残したうえでご相談ください。
同じような状況でも、経緯や残っている記録によって取れる手段は変わります。どこから手をつければよいか判断がつかない段階でも、事実を整理するところからご一緒できます。
当事務所では、電話・メール・LINEのうちご希望の方法でご相談をお受けしています。ご都合のよい手段をお選びください。
早い段階でご相談いただくほど、選べる手立ては多く残ります。迷っている段階でも、まずはお気軽にお声がけください。


