マナーうんちく話569≪泥より出でて、泥に染まらず≫
すっかり冬の風物詩として日本にも定着しましたが、イルミネーションが美しく輝く季節になりました。
空を見上げれば満天の星、街にはクリスマスツリーやイルミネーションの輝きと、冬は何かと光に縁が深いですね。
寒い夜を明るく照らしてくれるオリジナルなイルミネーションは、そこに住む人の元気さや優しさが伝わってくるようで、ほっとした気分になれます。
その歴史は長く、宗教改革で有名なマルチンルターが、夜に教会でのお祈りを済ませ、帰宅途中に見上げた満天の星に魅了され、なんとか人の力で再現できないものか?と考え、木の枝にたくさんローソクを飾ったのが始まりだとか・・・。
これがクリスマスツリーの始まりという説もあるようです。
木の枝にローソクを飾り付けるわけですから、常に火事の危険が伴います。
だから防火の面でも周到な準備が必要だったことでしょう。
また、クリスマスは本来教会で礼拝するものだったのが、宗教学者であり司祭でもあったマルチンルターが、家庭で祝うようにしたという説もあります。
その後しばらく経過した頃、エジソンが白熱電球を発明したので、ローソクから電球に代わり、さらに近年になりLEDになって益々豪華絢爛になりましたね。
このような文化が世界に広まるのは良いことだと思います。
ちなみにルターは「隣人のために生きるよう」に説いていますが、世界中のイルミネーションが平和の象徴になればさらにいいですね。
そして日本も、西洋から伝わったイルミネーションにこだわるのもいいですが、自国の伝統行事にもしっかり向き合いたいものです。
西洋のクリスマスに対して、日本では「正月」を大事にします。
12月4日(日)に地元の中央公民館で、ハッピーライフ創造塾主催の「生涯現役百歳大楽校(岡山県共同募金会助成、和気町教育委員会・和気町社会福祉協議会・山陽新聞社後援)」12月講座で「自分も輝き周囲にも伝えたい年末年始行事の由来や意味」についてお話ししました。
コロナの関係で定員20名限定ですが、50代から80代の幅広い参加を得て「講話⇒体ほぐし体操⇒座談会」の2部制で開催しました。
●講話の内容
・感謝と挨拶の意味及び複雑多様な作法がある日本の年末のギフト「お歳暮」
・「煤払い」と「松迎え」
・縁起の良い食べ物で鋭気を養う「冬至」
・年始のあいさつ回りが姿を変えた「年賀状」
・年末の大イベントになった「クリスマス」と「イルミネーション」
・日本人にとって最も大切な「正月準備」
・一年にけじめをつけ氏神様にお参りする「大晦日」
・みんなの誕生日「お正月」
・日本に古くから伝わる「お節料理」
・正月飾りを飾っておく「松の内」
・寒い時期に相手を気遣う「寒中見舞い」
・無病息災を祈る「人日の節句」
・歳神様にお供えした鏡餅を下げて食べる「鏡開き」
・女性にくつろいでいただく「小正月」
●座談会のテーマ
・元日、3が日、松の内の過ごし方について
・子や孫に残したい日本の正月行事とは?
・「あけましておめでとう」「ハッピーニュイアー」の本来の意味について
※これらの伝統行事は日本の稲作文化と神道がもとになっていますので、先ずその認識が大切です。
特に新年の捉え方は西洋と日本では大きな違いがあります。
「ハッピーニュウイアー」と「あけましておめでとう」の挨拶の意味は全く異なるということです。
さらにお節料理を食す時の「神人共食文化」は日本独特の文化で、祝い箸にその特徴がみられます。
またマナーには不易流行的側面がありますから、これらの伝統行事が時代の流れとともに姿・形を変えるのは仕方ないことだと思いますが、行事そのものの本来も意味は極力ありのままの姿をとどめたいものですね。
特に座談会で驚いたのが「お年玉」の在り方です。
高齢者の参加が多く、一人暮らしの人も結構いますので、正月の過ごし方は千差万別です。
ただデジタル社会の到来はお年玉にも大きな影響を与えた気がします。
歳神様もさぞかし驚かれていると思います。
本当にこれでいいのでしょうか?
いろいろと気づきが多かった座談会でした。
12月18日には会場を変えて「生涯現役百歳カフェ」を開催予定ですが、冒頭のミニ講話では「日本人と歳神様と米作りや花見などの関係」に触れる予定です。