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平松幹夫

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平松幹夫(ひらまつみきお) / マナー講師

人づくり・まちづくり・未来づくりプロジェクト ハッピーライフ創造塾

コラム

マナーうんちく話2072《贈り物がより楽しくなる「熨斗」の由来と、そこに込められた深い意味》

2021年10月15日

テーマ:贈答のマナー

コラムカテゴリ:くらし

デジタル化の普及に伴い日本の贈答の在り方が大きく変化していますが、長い歴史を有する伝統的な文化はぜひ残したいものですね。

また社会生活の中で脈々と生き続けている古くからにしきたりを改めて見直し、暮らしの知識を深め、対人関係のマナーを身につけることも大切にしたいと考えます。

今回は四方を海で囲まれ、国土の7割以上を山で覆われ、四季が豊かで、稲作を中心とした農耕文化で栄え、神道を信仰する日本独特の文化である「熨斗」の由来や意味について考えてみたいと思います。

日本には「思いやりの心」を根源とする和の礼儀作法がありますが、礼儀作法は形にこだわることも大切ですが「なぜそうするの?」という合理的な理由を理解することが大事です。

ではクリスマスや誕生祝などの贈り物にはリボンを、改まった贈り物には熨斗を付けますが、なぜ熨斗を付けるかご存じでしょうか?

前回贈答には体裁が大切と述べましたが、贈り物に「熨斗」をつけ「水引」をかける作法上の体裁は、日本人なら誰しもご存じだと思います。

室町時代から数百年続く慣習ですが、感性や人情が豊かな国民性から生まれたものだと思います。

熨斗は魚類の進物の代わりとして付けます。

好意で贈り物をするのは昔も今も変わりません。
そして以前にも触れましたが、日本の贈答文化は神道の影響を強く受けています。

海に囲まれた日本では、魚が沢山取れるので、贈り物にも魚が選ばれるわけですが、それよりも神様に魚が供えられたというのが大きな理由です。

神様や神棚への供物を「神饌(しんせん)」といいますが、神様の食事ととらえてもいいでしょう。

その神饌として魚が供えられ、神様に捧げる神饌を、人と人とが親睦を深めるための贈り物として用いたようです。

したがって当時は「贈り物=鮮魚」だったわけですが、時代の流れとともに物質的な豊かさに恵まれ、鮮魚以外の品物も贈り物の対象になりました。

ただし鮮魚は神饌になりますが、鮮魚以外の品物は格落ちのようになります。

そこで「この品物は鮮魚に匹敵するくらいの価値がありますよ」としたのが熨斗です。つまり贈り物としての形式を整えるためのラベルとして熨斗が生まれたわけです。

熨斗は「延し」で引き延ばすので、長寿の意味を持つことになるので、ラベルとしても高い価値を生み、贈り物の品物に熨斗を付ければ、高級な贈り物になるということです。

当初は熨斗として干し魚が紙に包んで用いられましたが、室町時代に熨斗を作るのにとても便利がいい「鮑」が採用され、鮑を干して、リンゴの皮をむくようにそいで、今の熨斗の原型が出来上がったといわれています。

大正時代になり印刷技術が向上するにつけ、その形式が次第に美化されていきます。

さらに折り紙のように、簡略になり、その形だけ印刷して「熨斗」としての用を弁ずるようになりました。

以上のように本来熨斗は神饌だったわけですから、贈り物に熨斗を付けるということは、品物が何であれ、これは神様へのお供え物に匹敵するくらい価値があるものですよという意味になります。

また神饌=鮮魚である以上、熨斗は臭みを伴います。
だから魚や肉などに熨斗を付けると臭みが倍増するので、今では肉や魚の贈り物には熨斗は付けません。

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