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平松幹夫(ひらまつみきお) / マナー講師

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コラム

マナーうんちく話1969《「お中元」の知識と、お中元に「熨斗」を付けるようになったいきさつ》

2020年7月3日

テーマ:贈答のマナー

コラムカテゴリ:くらし

日本人は何かと贈り物が好きですが、これは物のやり取りを通じて親交を深めたいという思いの表れでしょう。

そして日本の贈答のしきたりはとても豊かな精神文化を有しますが、それはさておき、贈り物をするには「なんのために?」という明確な目的が必要です。
日本人の贈り物の目的には、おおむね下記の3種があります。

〇誕生祝、入学祝い、結婚祝い、長寿の祝いなど互いに喜びを分かち合うもの。
〇香典返し、内祝いなどの施しを受けた後のお礼。
〇お中元、お歳暮など季節の挨拶や日頃世話になっている人へのお礼。

さて今年も「お中元」の季節がやってきましたが、中元は中国の言葉で、「道教」の影響を受けています。道教では1月15日、7月15日、10月15日の上元、中元、下元に天帝にお供え物をする習慣があり、これが日本に伝わり、日本のお盆の行事とコラボレーションして現在に至ります。

ちなみに日本の贈答は「神道」の影響を強く受けていますが、日本の贈り物は、昔から清浄を意味する白い紙で包みます。
そして熨斗を付け、水引を結ぶ風習がありました。

このしきたりは現在でも生きていますが、形はともかく、そこに込められた先人の思いは、意外に知られていません。

マナーは「形」も大切ですが、形より「心」ありきです。心を大切にしてください。

もともと贈り物に熨斗を付け、水引をかける作法は室町時代からといわれていますが、欧米諸国のリボンと異なり、深い意味や思いがあります。

四方を海で囲まれた日本では、昔から贈り物に魚介類が用いられたようです。
それと日本の贈答は神道の影響を強く受けています。

現在日本には約85000社の神社が存在しますが、神社では神様の食事である神饌に魚が主に供えられます。

その魚を、人と人とが親交を深めるために贈りものとしたわけです。
当時の考えでは贈り物は魚が最高という考えが定着していたのでしょうね。

やがて時代が進むにつれ食糧事情も豊かになり、魚意外なものも贈り物として利用されるようになります。

しかし鮮魚以外のものを最高の贈り物として認識してもらうには、ラベルが必要になり、そのラベルの役割をするものとして考案されたのが「熨斗」です。

つまりどんな贈り物でも、熨斗を付ければ、鮮魚並みの高級な贈り物としてとらえられるということです。

そして熨斗は寿命が長い鮑を干して乾燥させ伸ばしたものですから、長寿そのものを意味し、大変縁起がいいわけです。

また熨斗は臭いので、基本的には不祝儀には用いません。
だから熨斗を付けることで、不祝儀の贈り物と区別し、縁起を担いだともいわれています。

最初の頃の熨斗は、干した魚を紙に巻いた「ひねり熨斗」が使用されたようですが、室町時代になって鮑が使われるようになり、やがて大正時代になって印刷技術が格段に進歩して、今のような熨斗になったわけです。

従ってお中元を届ける際、熨斗を付ければ、私は神様に食事を差し上げるような気持ちで、最高のものを贈りますという気分になれるのでは?と思います。

加えて誕生祝、入学祝い、長寿の祝い、結婚式のご馳走に鯛の尾頭が付きますが、これは単に鯛が姿・形・色・味が良いからではありません。

「神様が最も喜ばれる食事」という考えが、もとになっていると捉えて頂いたらいいと思います。

今は食べ物が豊富でいつでも簡単に鯛が食せますが実にありがたいことです。
感謝の気持ちとともに神様にお供えする魚ですから、美しく食したいものですね。
マナーうんちく話《尾頭付きの魚の美しい食べ方》を参考にしてください。

この記事を書いたプロ

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