まなーうんちく話798《月々に 月見る月は 多けれど・・・。》
今年は梅雨入り、梅雨明けが遅く、梅雨が明けたらはや8月です。
8月は旧暦では、葉っぱが紅葉して落ちる頃という意味の「葉落ち月」が転じた「葉月」で、夏の盛りが過ぎ、晩夏から初秋のイメージです。
恐らくこれからしばらく猛暑が続くと思いますが、8月いっぱいは過ごしやすい早朝の時間を有意義に使うと共に、心身ともリラックスするスロウライフがお勧めです。
また8月はお盆、つまり「盂蘭盆会(うらぼんえ)」の月で、日本人にとっては正月とともに最も大切な年中行事の月でもあります。
ちなみに「正月」は年神様をお迎えして、おもてなしして、そしてお見送りをする一連の行事ですが、「盆」は仏様のお迎え、おもてなし、お見送りの行事です。
もともと日本では一年を二回に分けて、ご先祖をお迎えし、心をこめて丁寧におもてなしして、家内安全、健康長寿、五穀豊穣などを祈願したわけです。
だから正月と盆は似た行事が多いのですが、盆は古来の祖先信仰に、仏教の思想が加味され、日本ならではのイベントになったようです。
また仏教にはいろいろな宗派があり、盆の行事は各派により、各地域により多彩な行事がとり行われます。
今は日本中が、一年後に控えたオリンピック一色になっていますが、お盆の月くらいは、日頃疎遠になっているご先祖様に心を寄せたいものです。
ところで日本の行事はいまだに旧暦、新暦のいずれかで行われますが、お盆の行事も地域により7月に行う地域と、8月に行うところがあるようです。
ただ私が感じる限りでは圧倒的に8月が多いようですね。
そしてお盆といえば「盆踊り」ですが、今は踊りの曲のテンポが速いので実感がわきませんが、昔は盆踊りの曲には哀愁の漂うものが多かったように思います。
本来「この世に里帰りされた仏様(精霊)を供養するために踊る」のが盆踊りですから頷けますね。
盆の終わりに行われる「灯篭流し(精霊流し)」は「送り火」の一種で、先祖の霊を贈り物とともに川や海に流す行事です。
8月に各地で開催される様々なイベントは、現在では納涼行事や観光行事の色合いが強くなっていますが、もとは精霊を送り出す行事、さらには無縁仏を供養するものが多いのが特徴です。
加えて風水害などに見舞われないことを祈念する目的もあります。
さらに梅雨明け頃の高温多湿による疫病から逃れるための祈りもあります。
そしてもう少し遅くなれば、今度は収穫を感謝するとともに祝う目的で行われます。
日本は四季が豊かで祭りが一年を通じ大変多いわけですが、季節により、邪気を払う目的、収穫を祈願する目的、収穫を感謝する目的などがあるわけです。
また7月23日は二十四節気の一つ「大暑」で、8月8日の「立秋」の前までが、暦の上では一年で最も暑い時期で「暑中」です。
「暑中見舞い」の時期ですが、暑中見舞いは年賀状のように厳格な決まりはありません。ただし日付は「盛夏」になります。
暦の上でなく、現実的には日本で一番寒い時期と、暑い時期は「立春」と「立秋」前後ですが、8月8日を過ぎたら、いくら暑くても暦の上では秋です。
従って8月8日からは「残暑見舞い」で、日付は「盛夏」から「晩夏」になります。
そして8月23日は「処暑」で、暦の上では暑さが和らぐときです。
季節が、猛暑の夏から、心地よい秋に一生懸命移ろおうとしている時期ですから、ふと秋の気配を感じたら、それを心から歓迎する気持ちを大切にしてくださいね。
ただこのころは毎年台風に見舞われる頃でもあります。
ご自愛ください。