マナーうんちく話1729《風流をしのび開運招福を祈る「重陽の節句」》

平松幹夫

平松幹夫

テーマ:歳時記のマナー

9月9日は五節句の一つ「重陽の節句」で大変めでたい日ですが、ご存知でしょうか?
恐らくほとんどの人は関心を持たれてないと思います。

このコラムでもたびたび触れていますが、節句は中国から伝わった「陰陽五行説」に由来して、日本に定着した暦で伝統的な行事を行う季節の節目です。

ちなみに「節」は季節の節目とか、変わり目という意味です。

季節の節目には昔から、五穀豊穣、家内安全、子孫繁栄などを祈念して、神様にお供えをし、邪気払いをしたわけです。

そして江戸幕府は一年に五つの節句を公式行事として定めたわけですが、この日は農作業なども全て村全体で休む日とされていたそうです。

それが1月7日の「人日の節句」、3月3日の「上巳の節句」、5月5日の「端午の節句」、7月7日の「七夕の節句」、そして9月9日の「重陽の節句」です。

この数字は全て奇数です。
昔から奇数は「陽」の数字とされ、縁起がいい数字とされていたわけですね。

今でも祝儀袋には奇数のお札を入れてお祝いしますが、その名残です。
「753」も奇数です。

その陽の数字の中でも一番大きい数字が9で、9月9日はこのようの数字が二つ重なるので「重陽の節句」とされ、五節句の中でも一番縁起がいいとされていました。

明治の初めまで使用されていた旧暦では、菊の花が咲く時期ですから「菊の節句」とも呼ばれますが、新暦と旧暦にはひと月以上のずれがあるので今、菊といわれてもピンときませんね。

だから新暦となってから、菊の節句は急激に影を潜めたわけです。

しかし格式の高い節句には違いありません。
夏から秋への季節の節目を、旬のご馳走で祝い、無病息災、長寿を祝うのもお勧めです。

現在は昔に比べ何倍も寿命が延びており、単なる長寿ではなく「健康長寿」の増進を祈念したいものですね。

祝いの席の酒には縁起を担いで、「菊」の花びらを浮かべ「菊酒」としゃれこんでください。

できれば家族そろって、または親しい人と、先人の風流な習慣をしのび、高貴な菊の香りとともに、楽しく味わってください。

こうすることが結果的には邪気を払い、開運を招くことになると思います。

ちなみに菊は仙人がいるところに咲いて、邪気を払う力があるといわれています。

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平松幹夫
専門家

平松幹夫(マナー講師)

人づくり・まちづくり・未来づくりプロジェクト ハッピーライフ創造塾

「マルチマナー講師」と「生きがいづくりのプロ」という二本柱の講演で大活躍。「心の豊かさ」を理念に、実践に即応した講演・講座・コラムを通じ、感動・感激・喜びを提供。豊かでハッピーな人生に好転させます。

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