まなーうんちく話798《月々に 月見る月は 多けれど・・・。》
「弥生3月」とは、萌えいずる草がいよいよ生い茂るという意味です。
山や海で芽吹いた春の気を力いっぱい取り込んで、心と身体を目覚めさすわけですね。
日本人は昔から自然を敬い、自然と共生してきました。
だから旬をとても大切にします。
つまり植物の成長のタイミングを見届け、一番理想的な時にそれを取り入れ、そのパワーで元気に暮らし、知恵を身に付けたわけです。
「春の食卓には苦みを盛れ」と言われます。
草木が芽吹く時には、山菜を出来る限り取り入れ、その苦みで、冬の間縮こもっていた身体を活動的にするという発想でしょう。
毒素を排出し、新たなビタミンやミネラルを吸収する先人の知恵だったわけですが実に合理的です。
最近の子どもは恵まれすぎて、苦みや渋みを体感する事はあまりないかもしれませんが、この季節にはなるべく味わって頂きたいものです。
ところで江戸時代には「外食産業」が栄えますが、全て手作りです。
当然のことですが・・・。
そして当時は、冷蔵庫は有りません。
魚も野菜も全て採れたての季節の物ばかりです。
これも当然ですが・・・。
つまり外食にせよ、家で食べるにせよ、食卓に並ぶのは全て季節の物ばかりで、それが大変理にかなった栄養効果を発揮していたわけです。
だから旬にこだわるのが頷けます。
今の日本では「素材第一主義」は難しくなってきましたが、それでも春は山菜などが沢山出回り、素材が本来持ち合わせている持ち味を十分堪能できる絶好の季節です。
「A級グルメ」とか「B級グルメ」という言葉がはやっていますが、春こそ素材にこだわった「素材グルメ」を楽しんで頂ければと思います。
私は田舎に住んでいますので、春になれば「せり」「ふきのとう」「たらのめ」「わらび」「ぜんまい」さらに「ヨモギ」などを茹でたり天婦羅にしたりして、大いに楽しんでいます。
歳を重ねるごとに、この春の味がたまらなくなります。
それだけ自然と近くなっているのでしょうか・・・。
だから自然を大事にしたいと思います。