まなーうんちく話798《月々に 月見る月は 多けれど・・・。》
睦月も半ばを迎えましたが、元日にお迎えした歳神様が「三が日」「松の内」「七草粥」を経て次第に人家から遠のかれます。
今ではなじみが薄れましたが1月15日は「小正月」です。
別名「女正月」とも言われます。
1月1日は「大正月」、または「男正月」といわれ、女性は掃除やお節料理づくりと大忙しです。
だから1月15日の小正月は男性が頑張り、女性にはのんびりくつろいでいただくわけです。
さらに松の内には忙しくて実家に帰れないので、小正月に実家に里帰りする風習があります。
また小正月には「小豆粥」を食べ、無病息災を祈ります。
小豆の赤が邪気を払ってくれるわけですね。
また、小正月には「餅花」、あるいは「まゆ玉」を飾りますが、これには豊作祈願の意味があります。
そして1月15日は、門松や注連縄飾り等の正月のお飾りや書き初めの書などを焼く「火祭り」のイベントが全国津々浦々で行われます。
地域により日日はまちまちですが、一般的には1月15日です。
「とんどやき」「どんどやき」などとよばれるばあいもありますが、これも豊作や無病息災の願いが込められています。
元日にお迎えした歳神様を炎と共にお見送りしてお祈りするわけです。
この火に当たると風邪をひかないとか、焚き火で焼いた餅を食べると病気にならないとか、火が高く上がると字が上手になると言われています。
最近は冠婚葬祭行事が薄れましたが、このドンド祭りはまだ地域ごとに行われているようですね。
最近は「ハロウィーンデー」「恵方巻」「バレンタインデー」といったイベントが商業政策によりますます盛んになり、古来の伝統行事がすっかり影を潜めてきた感が有ります。
明治維新後150年、戦後70年が過ぎた今、時代が必要とし、そして歴史が伝えたいことは、思いやりの在る日本人の人柄や心だと思います。
特に何百年も何千年も脈々と受け継がれてきた伝統行事やしきたりは、自然と共生し、自然に感謝する日本人の気持ちが込められています。
そしてそこに込められたものが、世界が評価した文化であり、日本人の感性であるわけです。
190を超える国の中でも誇るべきことではないでしょうか・・・。
私は今までこのコラムを通じて、年中行事について多く語って参りましたが、それは単に正月になればお飾りを飾りお節料理を食べ、桃の節句にはお雛様を飾り、端午の節句には菖蒲湯に浸かるという形式的なモノではありません。
先人がなぜ菖蒲湯に浸かり、それに浸かることにより何を得ようとしたのか?お節料理をどんな思いで作り何を願ったか?
それらを理解することにより、先人の気持ちをくみ取り、この慌ただしい世界を生きる人に、何か心のよりどころを掴んでいただきたいからです。
生きる喜びがさらに増してくるのではと思うわけです。
年中行事を商業ペースに巻き込まれるのではなく、年中行事に込められた意義や意味を正しく理解し、次世代にきちんと伝えることが大切だと考えます。
出来れば国際社会にも発信したいものです。