マナーうんちく話1304《不老長寿と「菊の節句」》

平松幹夫

平松幹夫

テーマ:歳時記のマナー

日本は世界屈指の長寿の国になりましたが、現在日本には100歳を迎えている人がどのくらいいるかご存知でしょうか?

この夏発表された最新のデータでは61568人です。
これは45年連続して増加しており、87%は女性で、最高年齢者は116歳だそうです。

始めて中国大陸の統一国家である「秦」を作り、歴史上初めて皇帝と名乗り、自分の偉大さを示した始皇帝は、その権力と財力で不老不死の薬を探求させた話は有名ですが、そんな人でさえ50年の命でした。

今、日本は大金持ちでもなく、医学者でもなく、大政治家でもなく普通の人が100歳まで生きることが出来る世界屈指の長寿の国になりました。
誠に目出度いことであり、嬉しいことです。

では日本が世界屈指の長寿になった理由は何でしょうか?
様々な要因が挙げられると思います。

経済が豊かになり食べ物に恵まれ栄養がしっかりとれるようになった。
また国民皆保健制度の充実、医療技術の進歩、国民の健康への意識の高揚等が代表的な要因でしょうが、日本が平和な国家であることも忘れてはいけない重要要件ではないでしょうか。

ところで今まで何度もこのコラムで触れましたが、9月9日は五節句の中でも一番格式の高い「重陽の節句」で別名「菊の節句」でもあります。

ちなみに五節句は「重陽の節句」と、1月7日の「人日の節句」、3月3日の「上巳の節句」、5月5日の「端午の節句」、7月7日の「七夕(しちせき)の節句」があり、これらは昔から季節が移り変わる日として大切にされ、様々な祝い事や行事がとりおこなわれました。

中でも9月9日は、縁起の良い奇数、つまり「陽」の数字に中でも一番上の数で、それが重なるので最も大切にされた行事です。

旧暦の9月9日は新暦だと丁度菊の花が咲く頃ですから「菊の節句」と呼ばれるわけですが、菊の花は昔から邪気を払い長寿を招く花とされていました。

平安時代の頃から菊を用いた今流のアンチエイジングの行事が有ります。
盃に菊の花びらを浮かべて長寿を祈願して飲む「菊花酒」は簡単に出来ますので是非お試しください。

ロマン漂う行事はまだあります。
菊の花を綿で覆い、夜庭先において一番過ごします。翌日その露を吸った綿には菊の香りと菊の精がしみこむわけですが、その綿で身体を拭いて若返りや延命長寿を願う「着せ綿」の風習が宮中で行われていたようです。

今は長寿になり、実年齢より見かけ年齢が非常に若いのを願う人が増え、アンチエイジングは大流行りですが、このような風習を再度蘇らせるのもいいモノですね。

何もかも商業的になってしまっている年中行事ですが、商売抜きで復活させたいものが沢山あります。

菊は香りを楽しむことが出来るのでこのような行事が生まれたのだと思いますが、むやみやたらに西洋の行事に浮かれるより、このような行事を素直に生活の中に取り入れてみるのもお勧めです。
心が洗われます。

また、菊は高貴な花とされ別名「まさり草」という呼び名が有ります。
「全ての草に優るから」という理由でつけられた名前です。

まさに日本では「菊=長寿」で高貴な花なのです。

今日は菊の花から身も心も元気になれるエキスを一杯頂いて下さい。

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平松幹夫
専門家

平松幹夫(マナー講師)

人づくり・まちづくり・未来づくりプロジェクト ハッピーライフ創造塾

「マルチマナー講師」と「生きがいづくりのプロ」という二本柱の講演で大活躍。「心の豊かさ」を理念に、実践に即応した講演・講座・コラムを通じ、感動・感激・喜びを提供。豊かでハッピーな人生に好転させます。

平松幹夫プロは山陽新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

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