まなーうんちく話798《月々に 月見る月は 多けれど・・・。》
世界屈指といわれるくらい年中行事が多い国日本。
中でも正月と共に二大イベントに数えられるのが「お盆」ですが、先祖の霊をお迎えし、お持て成しをして、お見送りする行事です。
正月も同じ理屈ですね。
先祖の霊を、門松を飾ってお迎えし、お節料理でおもてなしをして、とんど焼きと共にお見送りします。
どちらも大切なご先祖様を、お迎えして、おもてなしするのだから大変忙しくなります。だから日本では、非常に忙しい状態を「盆と正月が一緒に来た」と表現します。
ではなぜ、同じ先祖をおもてなしする行事なのに「お盆」と「お正月」では受ける感覚が違うのでしょうか?
これは、おもてなしする霊が違うからだと思います。
盆に里帰りする霊は、まだ亡くなってから間が無い霊も沢山います。
だからまだこの世に対して執着が強いので、特に念入りに供養する必要が有るわけです。
さらに「無縁仏」と言われる身寄りのない霊もお盆に帰ります。
丁重に祀る必要があります。
盆踊りを村のメイン通りでして、賑やかにおもてなしをして、やがて村はずれまで移動して、ここでお見送りするわけです。
これが「送りの行事」で全国にも様々な行事が有ります。
一方、日本では「人が亡くなって33年経過すると、その霊は粗霊神の仲間に入り、近くの山で子孫の暮らしを見守るようになる」という考えが有ります。
その山の神をお迎えする行事が「花見」です。
そして里にお迎えして「田の神」になって頂き、田植えの安全を見守って頂くわけです。
やがて「秋祭り」の後に山にお帰りになり、正月には「歳神様」という形で里帰りすると言われています。
お盆の行事は、粗霊神を迎えるという観念に、仏教の死者を供養するという観念が結びついた結果、日本独特の行事になったと考えられています。
以上は日本の文化の根幹的な考えであり、まさに日本人ならではの信仰でしょう。
盆踊りは年々盛大になりますが、このような事を是非理解して頂き、思いを込めて頂きたいものです。