まなーうんちく話798《月々に 月見る月は 多けれど・・・。》
日本列島では猛暑が続いていますが、7月7日は二十四節季の一つ「小暑」です。まさに、夏の風が熱気を運んでくる頃ですね。
恐らく近いうちに梅雨が明けると思いますが、この時期には南から暖かく湿った風が吹いてきます。
先人は降る雨や雪にも季節に応じて美しい名前をつけていますが、風にも様々な名前を付けて季節の移ろいを楽しんでいたようです。
梅雨入りの頃に吹く風は「黒南風」、そして梅雨明け前に吹く風は「白南風(しろはえ)」と呼ぶそうです。
同じ梅雨時に吹く風でも、始めの頃と終わりの頃では、風の色も異なるようで、それを見事に感じ取った先人の繊細な感性には脱帽です。
また小暑から立秋の前日までが「暑中見舞い」の時期です。
立秋を過ぎたら、いくら暑くても季節は秋ですから「残暑見舞い」になります。
ところで皆様の地域では、空から降ってくるほどの満天の星を綺麗に見ることができますか?
都会にはネオンの美しい輝きがありますが、空気のきれいな山間地域には自然が織りなす非常に美しい景色が沢山あります。
乳をこぼした後といわれる「天の川」もそうです。
そして天の川を挟んで、一年に一度だけ「織姫」と「彦星」が逢瀬を楽しむ日が「七夕」ですね。
七夕は日本に数ある年中行事の中でも非常に有名ですが、実は複数の風習が結びつき、江戸時代に今の七夕の原型が出来たといわれています。
今では笹に願いを込めた短冊を飾る行事として定着していますが、本来は江戸幕府が公的行事として制定した「五節句」のひとつです。
五節句には「七夕」の他に「人日の節句」「上巳の節句」「端午の節句」「重陽の節句」がありますが、それぞれ「七草の節句」「桃の節句」「菖蒲の節句」「菊の節句」と別名が付けられています。
七夕は「笹の節句」ともいわれます。
ちなみに笹は真っすぐ伸びるから昔から邪気を払う植物とされています。
実は七草、桃、菖蒲、菊も全て邪気を払う植物なのです。
五節句にはそれぞれその季節を代表する植物の名前が付けられているわけですが、旬の植物にはパワーが漲っているので、それが邪気を払うと信じられていたわけです。
旬の食べ物はだから健康にもいいのでしょう。
四季が存在し、旬の食材に恵まれたことも和食の魅力の一つです。
そしてユネスコが認めた和食の素晴らしさは、このような年中行事と密接に結びついていることです。正しく理解すると共に次世代にもキチンと伝えたいものですね。