マナーうんちく話535≪五風十雨≫
5月5日は「こどもの日」でもあり、男の子のお祭り「端午の節句」でもありますが、端午の節句は邪気を払い健康を祈る行事です。
では、なぜ邪気を払うのか?
疑問に思ったことはありませんか?
古代中国のしきたりですが、5月は物忌みの月とされていました。
ちなみに「物忌み」とは、ある期間中に、ある行為を控えて穢れを避けることです。
肉やニンニクのように強烈なにおいのする食べ物を避け、心身の穢れを除くわけです。
その物忌みの月の5日ですから、5が重なるので特別な日と考えられており、様々な邪気を払う行事が行われていたようです。
そしてこの行事が奈良時代に日本に入って来て、ヨモギや菖蒲で厄除けをする習わしが出来たようです。
当時ヨモギや菖蒲は薬草で魔除けの植物と信じられていたのでしょう。
それが鎌倉時代になると「菖蒲」が「尚武」に転じ、江戸時代になって、男の子の立身出世を祈願する行事として定着しました。
今では、「尚武」「勝負」という言葉に通じるので、風呂に菖蒲を入れて子どもの健やかな成長を祈るわけですね。
さらに、男の子が強く逞しく育つことを願って、部屋の中では、魔を退散させる「5月人形」や「桃太郎人形」や「金太郎人形」等を飾ります。
また屋外では「鯉のぼり」を泳がせます。
鯉のぼりが悠々と青空に泳ぐ姿は平和そのものですが、こちらももとは中国の故事にちなんでいます。
黄河上流の「竜門の滝」と呼ばれる急流を登り切った鯉は「竜」になるという中国の伝説ですが、勢いが良いことのたとえとして使用されます。
「鯉の滝登り」と言う言葉もあります。
5月5日に、菖蒲湯に浸かるのは魔除けの意味が込められており、5月人形や金太郎を飾るのは悪魔を退治し、鯉のぼりを泳がせるのは立身出背の願いが込められているということです。
前回お話しした「ちまき」や「柏餅」も同様ですが、親が子に注ぐ愛情や期待は古今東西かわりませんね。
こどもに立身出世して欲しいと望むか、思いやりのある子に育ってほしいと望むかはそれぞれでしょうが、幼い時から受験勉強に明け暮れるのは少しかわいそうな気もしますが如何でしょうか?
親の願いとはかけ離れて、日本の子どもは世界屈指のストレスを抱えていると言われています。こどもの日にはこのような現状を大人がしっかり考える必要があると思うのですが・・・。
そして、子どもが心身とも健やかに成長して「思いやり」のある子に育つには、幼い時から基本的なマナーをキチンと家庭で教えることが大切です。
これが親が、子に与える最高の贈り物だと思います。