マナーうんちく話453≪冬来りなば春遠からじ≫
「春分」とは、太陽が真東から昇り、真西に沈む日ですが、今年は3月20日が「春分の日」ですね。
「国民の祝日」になっているので、知らない人は少ないと思いますが、仏事とも縁が深い日です。
ところで、「春眠暁を覚えず」と言いますが、虫ばかりではなく人もなんとなく眠気まなこになる頃でもあります。
最近では「花粉症」の影響で、それどころではない人も多いかもしれませんね。
でも昔の人は、この時期をとても詳細に観察し、その移り変わりを感性豊かに表現しています。
この頃から目に見えて夜が短くなってきますが、夜がそろそろ明けようとしているけど、まだ暗い頃を「春暁(しゅんぎょう)」と言います。
そしてさらに時間が経過して、そろそろ明るくなってきた頃が「曙(あけぼの)」です。
《春はあけぼの。やうやう白くなりゆく、山際は少しあかりて、紫だちたる雲の細くたなびきたる。》(枕草子 清少納言)
春はあけぼのの頃がいい。
次第に白くなっていく山際が、ほんのりと明るくなり、紫がかった雲が、細くたなびくのがいい・・・。
このような意味ですが、さらに「夏は夜」、「秋は夕暮れ」、「冬は早朝」が良いと清少納言は述べています。
つまり、四季全てが良いと言うことです。
四季の変化をくっきりと見事に表現しており、なにかと参考になります。
今女性の活躍が叫ばれていますが、源氏物語の紫式部にせよ、清少納言にせよ、今から1000年も前の日本人女性の活躍は本当に素晴らしかったとおもいませんか。
すべて世の中が平和で有ったお陰でしょう。
そういえば平安時代は400年以上続いていますが、これは世界にも例がないそうです。
平和な時代は多様な文化が開花し、それが現在でも脈々と受け継がれているということは、世界に誇れることです。
「春眠暁を覚えず」とは、「春は夜が短くなり、しかも気候も良くなるので、つい寝過してしまう」という意味で使用され、朝寝坊の言い訳にぴったりの言葉ですが、なんだかんだと言っても朝の時間はとても貴重です。
卒業式も一段落し、これからは入学、入社、移動等で生活環境が大きく変わる時期です。
神経が敏感な人はそれが原因で、ストレスがたまったり、寝つきが悪くなったり、熟睡できず、つい「春眠暁を覚えず」になったりします。
出来る限り規則正しい生活をお勧めします。
寝る時間はまちまちになっても、起きる時間は一定にすると良いそうです。
マナーも平穏な時は素敵に発揮できますが、不安定な気持ちになってくるとそうはまいりません。
春分の日は二十四節季の中でも大きな節目の時です。
くれぐれもご自愛くださいね。