マナーうんちく話1068《天高く馬肥ゆる秋と「七人の侍」》

平松幹夫

平松幹夫

テーマ:歳時記のマナー

日毎に秋が深まり、「実りの秋」そして「収穫の秋」を迎え、澄んだ青空の下で稲刈りが忙しい時期です。

まさに「天高く馬肥ゆる」の言葉がぴったりの時期ですね。

ところでこの「天高く馬肥ゆる」言葉は、平和で、物が豊かな今の日本では、ほのぼのとしたイメージですが、実は本来は恐ろしい意味が込められています。

秋は水蒸気を多く含んだ夏と異なり、空気が乾燥し澄んでくるので、空が高く感じます。

そして「馬が肥える」と表現されていますが、実は肥えるのは秋ではなく、夏に肥えます。

百姓をしていたら実感しますが、夏は兎に角雑草がよく伸びます。
多忙で畑の手入れが出来なかったら、瞬く間に、作物が勢い良く育った雑草に隠れてしまいます。

それくらい夏は草が生い茂るわけですが、その青々とした草を食べた馬はどんどん肥えて、馬力を蓄えるわけです。

そして収穫期を迎えた秋になると、その馬に盗賊が乗って、収穫したばかりの穀物等を襲うわけです。

従って「天高く馬肥ゆる秋」の本来の意味は、収穫期を迎えたら、盗賊に襲われないように、細心の注意を払いなさいよ!という警告の言葉です。

映画が好きな人や、年配の方はご存知だと思いますが、今から半世紀以上前に制作された映画で「七人の侍」があります。

黒澤明監督で、三船敏郎と志村喬主役の映画ですが、日本のみならず世界の映画フアンに感動を与えた名作です。

舞台は日本の戦国時代です。
当時の浪人は武者修行に出る際、百姓に食べ物と寝る所を提供してもらって生活していました。

そんな中、麦が収穫できる頃になると、野武士に襲われ、困り果てた百姓たちが、協議の結果、その防衛策として侍を雇うことになります。

戦いの方法を徹底的に仕込まれた百姓と、それを教えた侍が、身分の差を超えて、一致協力して野武士たちと戦う物語です。

現在の農業問題も、TTP等で何かと多くの課題を抱えていますが、昔はまさに「食うか食われるか」の真剣勝負だったのですね。

このコラムでも何度も触れていますが「生きることは食べること」です。

今の日本人では、「食欲の秋」「グルメの秋」等と言われ、多くの日本人は美食を謳歌していますが、「グルメ」賢くて楽しい食事を目指したいものですね。

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平松幹夫
専門家

平松幹夫(マナー講師)

人づくり・まちづくり・未来づくりプロジェクト ハッピーライフ創造塾

「マルチマナー講師」と「生きがいづくりのプロ」という二本柱の講演で大活躍。「心の豊かさ」を理念に、実践に即応した講演・講座・コラムを通じ、感動・感激・喜びを提供。豊かでハッピーな人生に好転させます。

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