マナーうんちく話92≪優雅さが自慢!和の作法≫
「物を食べながら喋ってはいけない」と躾けられた方も多いと思います。
戦時中に軍需工場等に動員された人が、工場内の出来事は軍の機密事項になるので、たとえ家族でも「工場内の事は一切話してはならない」と、かん口令が敷かれていたので、その名残だと思います。
しかし、国際化が進展する中、ビジネスでもプライベートシーンでも、親しい人、上司、取引先の人達、あるいは両家初顔合わせやお見合いの席等で食事をする際に、黙々と食べるわけにはいきません。
食卓を共にするということは、「相手の事をより理解したい」「相手とより仲良くなりたい」と言う目的があります。
従って、美しい箸使い、正しいフォーク・ナイフ使い、食べる姿勢やスピードと共に、会話を楽しむことはとても大切になります。
そして会話に出て来るボキャブラリーは、その人を理解する上で、大変大切な要素になりますので、ポイントに触れておきます。
○意外におろそかになりがちですが、ご馳走される立場でしたら、「このような素敵なお店にお招きいただきありがとうございます」等の感謝の言葉を発して下さいね。
招待する立場の場合は「今日はご多忙にもかかわらず、起こしいただきありがとうございます」等の感謝の言葉が有ればいいです。
これで互いの緊張もほぐれ、これから先の料理がより楽しめます。
そして、ご馳走には「笑顔」がお似合いだと心得て下さい。
○具体的に話を進めるに当たり、共通項を探すことがポイントになります。
万人の共通項は天気ですから、天気を前向きに表現して下さい。
例えば「爽やかな季節になりました」「良い雨が降りました」等です。
○季節の話題を大切にして下さい。日本は世界屈指の四季が美しい国ですから、季節の節目、雑節、二十四節季等の話題に触れれば、知性や教養が漂ってきます。
○最近のニュースもお勧めですが、政治や経済等の話題は、場を堅苦しくしますので、なるべく明るい話題がお勧めです。
○仕事の話題もいいですが、愚痴は言わないことです。
仕事の内容や、生きがいなどと関連付け、前向きに取り組んでいる旨を話されたらいいでしょう。
○健康に関する話題も受けます。
自身の健康の秘訣などを話されたらいいと思いますが、おしつけは頂けません。
○食事中ですから、食べることの話題は、誰しも関心がありますが、グルメを気取らないでくださいね。ファッション等も楽しい雰囲気にしてくれそうですが、不必要にブランドにこだわらないようにして下さい。
○趣味もお勧めですが、いきなり相手に「趣味は何ですか」と尋ねるのではなく、先ず自分の趣味を具体的に述べて、相手の趣味を聞くことがポイントです。
○家族の話題もお勧めです。
特に長寿の家族がいればぜひ紹介して下さい。
表現の仕方は、姉、父、母、祖母、祖父などで纏めて下さい。
概ね、以上のような内容で、相手の年齢や性別や立場、あるいは会食の目的等に合わせて話せばいいでしょう。
料理を切ったり、つまんだりする時の視線は料理に向けられますが、料理を口に入れたら相手の顔を見て話すのがポイントです。
食事が終われば、ご馳走された場合は「お陰で楽しい一時が過ごせた」とのお礼の言葉が必要です。
さらに、翌日も「昨夜はありがとうございました」の電話をして下さい。