マナーうんちく話453≪冬来りなば春遠からじ≫
これだけ暑くなってくると、待ち遠しくなるのが生ビールではないでしょうか?仕事を終えた後の一杯は格別ですね。
そして今や、「とりあえず生と枝豆」はすっかり定番になりました。
今回のコラムは、ビールをより楽しく飲んで頂くための話の種です。
酒の起源は大変古く、世界には数えきれない位酒の文化があります。
日本は大酒のみの国ではありませんが、酒が好きな人種です。
酒が好きだけど、そんなに飲めないと言うのが日本人の特徴のようですね。
だからビールは、日本人に相応しい飲み物かもしれませんね。
そのせいか、夏は「生ビールに枝豆」が定番になったようです。
ところで「枝豆」と「大豆」の違いをご存知でしょうか?
枝豆は今が旬で、私も作っていますが、成熟していない大豆を収穫したものです。つまり、枝豆と大豆は別の植物ではなく同じ植物で、収穫する時期が異なるわけです。
収穫する時に枝のまま収穫し、そのまま茹でるから「枝豆」という呼び名になりました。
枝豆の歴史は古く、奈良時代にはすでにそのような形で食されており、江戸時代になると、「甘酒売り」「鰻売り」などと共に「枝豆売り」が路上に現れ、夏の風物詩として定着します。
今のように冷蔵・冷凍技術が発達していなかった時代ですから、枝豆はこの時期しか食べられない、まさに旬の食べ物だったわけです。
枝が付いている豆をそのまま塩ゆでして、簡単に美味しく食べられ、しかも栄養価が高い、当時の最高のファーストフードであったと思われます。
そして明治になると、先ず外国人相手にビールの製造が始まり、やがて日本人の喉を潤すようになってくるわけですね。
ビアガーデンも当時には既に存在し、ビール工場に隣接する家で主に外国人がビアパーテイーを楽しんでいたようです。
昭和になるとビールもかなり飲まれるようになりますが、本格的に普及するのは戦後になって冷蔵庫が普及してからです。
ちなみに大豆は昔、中国へ留学した留学僧が持ち帰ったと言われておりますが、それ以後、味噌や醤油や納豆等と切っても切れない関係になります。
これらは冷蔵を必要としないので、通年で食せますが、枝豆だけは採れたてでないと食べられません。従って当時は旬の食べ物として重宝されました。
そして昭和30年頃から冷蔵庫が普及し、家庭で気軽にビールが飲めるようになり、それと共にビールと枝豆が定番になったわけですが、近年は栄養学見地からも枝豆が推奨されています。
他の野菜に比較して、多大な栄養効果が期待され、飲み過ぎや悪酔いを防止してくれ、安価で、美味しく手軽となれば頷けますね。
また、「生ビール」は国により定義は異なりますが、日本では熱処理をしていないビールを指し、枝豆とも非常に相性が良いようですね。
今から約60年前に「屋上ビアガーデン」といわれるものが登場して以来、毎年賑わっていますが、それがあるから仕事も頑張れるのかもしれませんね。
但し、ビールの効果は疲労回復、ストレス解消、コミュニケーション等など楽しみも多いわけですが、酒である以上はリスクもあります。
「百薬の長」になるか、「きちがい水」になるか飲み手次第です。
ビールには、「飲酒は20歳になってから」という表示はありますが、「飲み過ぎ注意」の表示はありません。
飲み過ぎに注意して、感謝の心と共に、楽しく、美味しく飲んで下さいね。
これが最高のマナーです。