マナーうんちく話760《和食が無形文化遺産に登録された理由とは?》

平松幹夫

平松幹夫

テーマ:和食テーブルマナー

6月の終わり頃は一年のうちで最も雨の多い時期だそうですが、青葉若葉がひときわ美しく際立ち、木々の青葉にたまった雨がパタパタと落ちる様を「青時雨(あおしぐれ)」と言います。

時雨は、本来は冬の季語ですが、青葉の「青」を頭に付けて、夏の雨を表した言葉で、「蝉時雨(せみしぐれ)」と同様、夏の素敵な言葉ですね。

さて、和食のマナーの腕試しの解説の続きですが、今回は「和食がユネスコ(国連教育科学文化機関)の無形文化遺産に登録された理由に触れてみます。

無形文化遺産とは、芸能、伝統工芸、お祭りなど形はないけど、その土地の歴史やしきたりや風習等と密接にかかわっているもので、食に関するものではすでに、「フランス料理」「地中海料理」「メキシコの伝統料理」等が登録されています。

日本は、終戦直後には食べ物にとても不自由しましたが、間もなく経済を立て直し、生活を豊かにするにつれ、食生活も大幅に改善し、今では食料自給率は先進国では最下位ですが、世界屈指の「飽食の国」になっています。

しかし、食生活は大きく変化し、欧米スタイルが浸透し、特に若者の間で和食離れが進行し影が薄くなってきている感があります。

一方、ミシュランガイドは日本の和食に多くの星を付け、加えて昨年12月にはユネスコに認められる等、海外での評価が非常に高いのは嬉しい限りです。

ユネスコ無形文化遺産に登録された和食の大きな特徴は4つ上げらあれます。

1、「海の幸、山の幸といった多種多様な新鮮な食材とその持ち味の尊重」
四季が明確に分かれ、周囲を海で囲まれ、国土の約7割が山であり、南北に細長い日本では、一年を通じ、その地域を代表する多くの食材に恵まれています。また、その食材の特性を活かす調理方法が発達しているのも素晴らしいことです。

2、「栄養のバランスに優れている」
・旨みや栄養価や風味が凝縮された旬の食材を上手に取り入れている。
・刺身のように生で食する食文化を形成している。
・昆布やカツオのようにうまみ成分を合理的に取り入れている。
・5味5色の多種多様な栄養成分にこだわっている。
・味噌や醤油のように優れた発酵食品が豊富である。
以上の点を活かして、世界屈指の長寿社会の礎を築いている。

3、「自然の美しさや見た目の美しさの表現」
食材に四季の移ろいを取り入れた料理の美しさのみならず、器や部屋のディスプレイ等にもふんだんに季節色を出し、客人をもてなす文化を形成している。
※「もてなし」に関しては改めて取り上げます。

4、「四季折々の年中行事との密接なかかわり」
稲作を中心とした農耕文化で栄え、神様・仏様(神道・仏教)の国である日本の食文化は、盆や正月や節句等の年中行事と大変密接な関係にあり、豊かな精神文化を育むと共に家族や地域の絆を深めてきました。さらに自然を尊重し、自然と共生する日本人独特の精神は、世界の多様な文化の一つであると評価されました。

無形文化遺産に登録されると、今度はそれを守るために様々な取り組みが必要です。

特に、毎日コメのご飯を頂く中で、大人が改めて和食の素晴らしさと無形文化遺産に登録された理由を再認識し、次世代に伝える努力が必要ではないでしょうか。

加えて、その和食のテーブルマナーは、前回触れた西洋のテーブルマナーと異なり、他者に対する思いやりを大変重要視しています。

従って、和食や和食のマナーを正しく理解することは、地球の環境保全にも平和にも貢献することが出来ると信じています。

国際化の進展に伴い、不必要に西洋かぶれすることなく、自国の文化・食文化・礼儀作法を正しく理解して、これらの素晴らしさを世界に向けて発信していきたいものです。



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平松幹夫
専門家

平松幹夫(マナー講師)

人づくり・まちづくり・未来づくりプロジェクト ハッピーライフ創造塾

「マルチマナー講師」と「生きがいづくりのプロ」という二本柱の講演で大活躍。「心の豊かさ」を理念に、実践に即応した講演・講座・コラムを通じ、感動・感激・喜びを提供。豊かでハッピーな人生に好転させます。

平松幹夫プロは山陽新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

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