基礎から指南!接客・接遇マナー4≪「マニュアル型対応」と「臨機応変型対応」の華麗なる融合≫
良好な人間関係を築く上で、「相手の話を聴く事」の大切さを、何度も「マナーうんちく話」でお話ししてきましたが、接客・接遇の仕事にも同じことが言えます。
接客・接遇においては、「きく」には3つの意味が有ります。
具体的には、「聞く」、「訊く」、「聴く」ですが、それぞれ意味が異なりますので、その違いを正しく理解して、適切な対応をして下さい。
○「聞く」は、大変広い概念で使用されています。
もの音を漠然ときく等の意味で、英語ではhearです。
○「訊く」は、訊ねることで、askに当たりますが、今は、あまりこの漢字を使用することはなく、聞くに含む場合が多いようです。
いずれにせよ、聞き手が知りたい情報を、相手に質問しながら、答えを引き出すとても大切な手法です。
○「聴く」は、漢字が意味するように、耳を通して心で聞くことです。
つまり、相手の言い分を理解し、それを尊重することでlistenに当たります。
では、なぜ相手の話をしっかり聞くことが必要なのでしょうか?
○相手の気持ちが理解できる。
来られたお客様が、何を望んでいるのか?何に困っているのか?どうして欲しいのか?等をきくことにより、それにマッチした説明や提案が可能になる。
「訊く」事ですね。
例えば、病院を訪ねてきた人に、どうしましたか?痛みは有りますか?どこが痛いのですか?どのように痛いのですか?いつから痛いのですか?等を聴き、診断や治療の参考にすることができます。
あるいは、冷蔵庫を買いに来た人に、予算や容量やデザインや機能性等を訊き、それに相応しい商品を進めることができます。
○相手の話を真摯聞くことにより、こちらの言うことも聞いてもらえる
人間誰しも、自分の話を聞いてくれる人には好感をもつものです。
相手の話を、目を見て、あいづちを打ちながら、丁寧にきくことにより、こちらの話を聴いてもらいやすくなります。
この「聴く」はとても大切です。
「話し上手は聞き上手」と言いますが、例え話しが得意でなくても、相手の話をしっかり聴く力が有れば心強いですね。
喋るより、先ずは、先に聴くことです。
それでは、カウンセリング用語で、相手の言う事を真摯な態度でしっかり聞く事を「傾聴」と表現しますが、その心構えに触れておきます
○相手が、話しやすい雰囲気を醸し出して下さい。
○相手の、人生観や価値観を理解し、それを尊重しながらきいてください。
特に最近では、育った環境や価値観が大きく異なる、昭和世代と平成世代が同じ職場で顔を合わすことになります。相手の言い分に真っ向から異を唱えるのではなく、「そのような考え方も有るんだな」というような捉え方が大切になってきます。
○相手の、声のみならず、表情、態度、声の調子などからも、相手からのメッセージとして読み取って下さい。
○「マナーうんちく話のコラム」でも、何度もお話ししましたが、相手の目を見てきいて下さい。
目を見て聞くことは、「あなたの言う事を真摯な気持ちできいています」と言うことにほかなりません。
○主導権はあくまで話し手に有ります。
途中で、話を遮らないでくださいね。
但しきく側にも都合が有ります。
相手の話を遮らなければいけない場合の、対応の仕方については、次回に回します。