マナーうんちく話498≪うかつ謝り≫
平成17年度から、冬の地球温暖化対策の一つとしてスタートした「WARM BIZ(ウォーム ビズ)」ですが、今ではすっかりおなじみになりました。
デパート等が販促の一環として積極的に取り組んだので、瞬く間に普及しましたが、特に今年度は、皆が暖かい所に集まったり、家庭で暖房を使用せずに、街に出かけて、エネルギーの消費を削減する「WARM SHARE(ウオームシェア)」の取り組みが注目されています。
一人ひとりが、それぞれ暖房を使用しないで、家族や近所の人が同じ部屋や場所に集まることで、暖房の節約は勿論、皆で会話に花を咲かす楽しさも共有(シェア)できそうで、なかなかいい発想だと思います。
しかし、現実には、一人暮らしの人はますます増加し、無縁社会はどんどん広がっているようです。
先ず、超高齢社会の進展に伴い、一人暮らしの高齢者が増加しています。
外に出かけたくても足腰が弱っていたり、交通の便が悪かったりで、外出がままならない高齢者が増加しています。
私は、行政、社協、地域団体等の依頼を受け、高齢者の生きがい創り関係の講演で各地に参りますが、高齢者の足の確保は、どこの地域でも、直面している深刻な課題です。
加えて、晩婚化、生涯未婚化の影響を受け、若年層・中年層の一人暮らしが増加傾向にあります。
さらに、家族間、地域間、職場間の絆もすっかり希薄化しています。
ウオームシェアは、家族や近所の人が一つの部屋や場所で、身も心も温かい、ぽかぽかする空間や時間をシェアするという、ほのぼのとした試みですが、現実には課題山積ですね。
ところで、「人見知り」と言う言葉をご存知でしょうか?
主として、子どもに対して使用していましたが、知らない人を見て、恥ずかしがったり、嫌ったりすることです。
大人では、「内気」「はにかみ」「テレ屋」等と言われますが、要はコミュニケーションの苦手な人ではないでしょうか。
ウオームシェアを成功させるには、皆が初対面の人でも、前向きに挨拶できるようになることが肝心です。
挨拶は、存在の確認と、「あなたと仲良くなりたいと思っています」と言うメッセージですから、素晴らしい力が有ります。
度々このコラムで書いていますが、「先手必勝の挨拶」、すなわち、されるのを待つのではなく、こちらから率先して、溌剌と声を掛ければ、掛けられた相手は、こちらを振り向き、言葉を返してくれます。
ここから交流が始まります。
人は、多かれ少なかれ、人と人とのつながりを求めているものだと思います。
いくら絆が希薄化しても、無縁社会になっても、心の奥では、人と人の心を繋ぐことで、ホッと暖かくなれるひとときを望んでいるはずです。
この取り組みを機会に、一人ひとりが自らの垣根を取り払い、相手と、笑顔と思いやりの気持ちで、心を通わせることが必要です。
そのためには、皆がマナー美人になることです。