マナーうんちく話453≪冬来りなば春遠からじ≫
9月30日の中秋の名月(十五夜)は、台風の影響で見ることができなかった地域もあると思いますが、夕方から晴れて、美しい月夜を満喫された方も多いと思います。
十五夜を、楽しんだ人も、見逃した人も、今日の「十三夜」を是非お楽しみください。良い天気に恵まれそうです。
以前に説明しましたが、旧暦では7月が初秋、8月が仲秋、9月が晩秋になり、一月前の9月30日は旧暦の8月15日で「仲秋の名月」でした。
そして、今日の10月27日は、旧暦の9月13日ですから「十三夜」の名月になります。
十五夜の満月に比べ、やや欠けている月ですが、完全に丸くない月を愛でるのが、当時は良かったのでしょうね。
そういえば、扇子を使用する時にも、扇子を全開しないで、少しだけ残してあおぎますね。
また、「一つ残し」と言う食べ方のマナーも存在したようです。
「遠慮深い」とか、「最後の一つは神様・仏様の分」だという説がありますが、いずれも合理的な理由だとは思いません。
しかし、十三夜の月も、扇子を使用する時も、完全でないだけに、「いつかは完全になる」という望みを託すことができます。
全ての物に、利便性や物質的な豊かさを追求する現代人には、とても理解できない心情ですね。ちなみに、十五夜は中国から伝わりましたが、十三夜は日本独特の風習です。
加えて、十五夜を見たら、十三夜も見なければいけないそうです。
江戸時代の遊女が、十五夜に来てくれた客を、十三夜のリピーターにする戦略で有ったと言う説もあるようですが、定かではありません。
ちなみに、十五夜は「芋名月」と言われ芋をお供えしますが、十三夜は「栗名月」「豆名月」と言われ、栗や大豆をお供えします。
しかし、旧暦の、8月は「十五夜」なのに、9月はなぜ「十三夜」なのか?
その理由は色々と調べてみましたが、明確な理由は解りませんでした。
ところで、昔の人にとって、月の存在で一番ありがたいのは、なんといっても「明かり」だったと思います。
次に、農作業の参考になる満ち・欠けでしょうか。
但し、農作業をしなくてもよい一部の高貴な人は、風情を楽しむことだったのかもしれませんね。
酒呑みの風物詩は、春の「花見酒」、冬の「雪見酒」、そして秋の「月見酒」がありますが、今夜は、大切な人と、しんみり「月見酒」と洒落込では如何でしょうか?
日本人をしっかり意識しながら、昔の人と交流されるのもお勧めです。
加えて、美しい月を見ながら、酒を酌み交わす相手がいる幸せをかみしめて下さい。