まなーうんちく話798《月々に 月見る月は 多けれど・・・。》
日本全国これからお盆に入ります。
「お盆は稼ぎ時」と言うことで仕事に精を出されている人も多いでしょうが、故郷に帰省される人も多く、一大帰省ラッシュが発生し、電車・飛行機・高速道路が混雑する特別な日です。
毎年のことながら、この光景は、外国の人から見れば異様に思えるかもしれませんね。
しかし、日本人にとっては「お盆」と「お正月」は特別な日で、民族の大移動が毎年同じように繰り返されるも、日本人の生活にすっかり定着している証拠ではないでしょうか。
古来より日本人は、お盆とお正月にはご先祖様をお迎えし、供養するとともに、共に食し楽しい一時を過ごすために、多彩な儀礼や風習を継承してきました。
その細かな内容や期間は、それぞれの地域においてまちまちですが、大幅に異なることは有りません。
ちなみに、お盆にお迎えするご先祖様は「盆神様」で、お正月にお迎えするご先祖さまは「歳神様」と言われています。
ご先祖さまは、いつも子孫のことが気になり、その暮らしぶりを伺いに、年の初めに里帰りされるわけですが、その「年の初め」が昔は2回あり、それが「盆」と「正月」です。
ところで、昔は食べることが全てで、稲作や畑作が中心になっていましたので、ご先祖の霊はやがて神となり、子孫のために、稲や作物が豊作になるように尽力して下さいました。
だから、米や作物が収穫されたら、それをご先祖の霊にささげ、共に喜び、共に食し、さらに、また豊作になるように祈ったわけです。
仏壇があるお家では、ご飯を炊いたら、先ず人間が食べる前に、御仏前に炊きたてのご飯をお供えする風習は、今でも残っていますね。
「祝い箸」「尾頭付き」のいわれも、「花見」の起源も同じような意味です。
昔から、良いことが重複すると「盆と正月が一緒に来た」と言いますが、まさに、盆と正月は、子孫と先祖が一心同体になれる至福の一時だったわけです。
加えて、故郷に帰ると言うことは、幼馴染に会う時でもあり、孫が祖父母に会う時でもあり、親族が集う時でもあります。だから、これを求めて民族の大移動が起こるわけです。
このような貴重な時間を過ごせるのも、ひとえに、日本人が、昔から「和する心」を大切にしてきたからであり、感謝・感謝です。
民族大移動は、欧米諸国には無い、日本人の素晴らしい文化です。