まなーうんちく話798《月々に 月見る月は 多けれど・・・。》
2月4日は「春が立つ」と書いて「立春」。
春のスタートを寿ぐ大変お目出度い日です。
本来立春とは、冬から春になる節目の日である「節分」の翌日のことで、「これからいよいよ春になりますよ」という春の初日です。
ちなみに、立春を過ぎたら「余寒」とか「残寒」と表現します。
ところで「節分」の本来の意味は、読んで字のごとく、「季節の分かれ目」、すなわち、季節が移り変わる時です。日本は四季の国ですから、季節の移り変わりは4回あります。つまり、立春・立夏・立秋・立冬の前日が全て節分だったわけですが、中でも、寒さの厳しい冬から、希望の春へと移り変わる時の節分を特に大切にし、現在に至っています。
そして昔は、一年のスタートは立春からと捉えられていたので、この日を基準にした、色々な取り決めや節目が今でも残っていますし、農作業などの目安にもなっています。
例えば、立春から数えて88日目は、すでに詳しくお話しした「八十八夜」で、茶摘みが行われます。さらに立春から数えて210日目と220日目を、それぞれ「二百十日」「二百二十日」と呼び、台風襲来に警戒する日になっています。
また立春から春分の日(今年は3月20日)までで、始めて吹く南寄りの強風を「春一番」と呼ぶのは御承知の通りです。強風なので、春の訪れを喜ぶ意味ではなく、船に乗って海で漁をする際の警戒情報等として江戸時代頃から語り伝えられています。
そして、立春の一年のスタートに際し、悪疫から逃れ、災難に遭わないための、おまじないが「立春大吉」と書いた、魔除け開運札です。
クリスマスのケーキや節分の恵方巻きやバレンタインのチョコレートのように、売上アップの為の商戦の対象にはなりませんので、そんなに知名度は有りませんが、昔の人にとっては、来年の春まで無病息災でいられるための、おまじないとして大事にされてきました。
和紙か半紙に、出来れば墨で、縦書きに書き、壁や柱に張ります。これでOKです。
いかにも、効き目が大きい感じのするこの言葉ですが、実は縦書きにすると、見事に左右対称になっているのがお分かり頂けると思います。
この、縁起のいい意味を持つ、左右対称の言葉を張って置くと、たとえ悪魔がやってきても、言葉の意味に気後れし、しかも左右対称のため、どこから入っていいやら的が絞れないから、結局退散せざるを得ないので、効果が大きいということです。
3日の「豆まき」と、「立春大吉」のおまじないが併用して行われていたようですね。
さらに、もう一つ大事な事が有ります。
「立春大吉」と書いた紙を張り、縁起の良いスタートをきるためには、立春の朝に、「何か一つ真新しいモノを身につけるか使用すること」です。例えば、新品の下着をつけるとか、歯ブラシの新しいモノを使用するとか、新しい箸を使うとかです。
4日に間に合わなかったら、なるべく5日・6日くらいに実行して下さい。
そういえば、結婚して、新たな人生をスタートするに当たり、花嫁が「4つのなにか」を身につける、「サムシング4」といわれる、ヨーロッパに伝わるおまじないに、どこか似ているような気がしませんか?「4つのなにか」の一つに、「何か新しいモノを身につける」という項目が有ります。
科学の発達していない頃、無病息災、開運等を祈る手法は古今東西いずこも同じですね。
「単なる迷信」と言ってしまえばそれまでですが、「鰯の頭も信心から」と言われます。
昨年の春に未曽有の大災害に見舞われた分、今年の春先は、希望に満ちた良いスタートを切りたいものです。
立春寒波といわれるように大変厳しい寒さの中、凛とした気持ちで、身を引き締め、新たなスタートを誓うのもお勧めです。