まなーうんちく話798《月々に 月見る月は 多けれど・・・。》
冠婚葬祭行事の「冠」は、子どもが成長する過程における様々なお祝い事ですが、その由来は、貴族の男の子が大人になった証として、初めて冠を被る「加冠の儀式」です。
ちなみに、武家階級の子どもは「冠」ではなく、「烏帽子(えぼし)」を被る儀式を執り行いました。いずれにせよ、これらの儀式が済めば、もうりっぱに「一人前」と認知され、一族の繁栄に繋がるとされ大変重要視されていたようです。
ところで、男の子は「冠」や「烏帽子」を被る行事をしますが、女の子は裳(も)といわれるスカートのような物を着る儀式とか、長い垂れ髪を始めて結い上げる「髪上げの儀式」等を執り行います。
そして、男の子も女の子も、何歳から大人になるのかと言えば、昔は相当早くから大人になっていたようで、大体12歳頃から16歳頃が多かったようです。
当時の平均寿命は、今の半分以下だったので、成人になるのも、結婚するのも早くて当然と言えば当然ですが、当時の人は余程しっかりしていたのでしょうね。
また、現在では、成人式は立派な祝日の一つになっていますが、これは昭和23年に「成人の日」は1月15日と定められ、やがて1月の第2月曜日が「成人の日」になり、各地で式典や祝賀パーテイー等が盛大に執り行われています。
男性はスーツや紋付袴、女性は振袖や華やかなワンピースなどで装い、街中が大変華やかになるのは承知の通りです。
一時、参加者のマナーの悪さが問題になりましたが、良識のある行動が望ましいですね。
昭和23年に成人式が1月15日に定められた理由は、1月15日は「子正月」で、全国各地で多彩なイベントが催されていたためです。
ちなみに元旦を中心とした正月は「大正月」と呼ばれ、公的な行事が執り行われていました。これに対し、正月15日を中心としてその数日間は「子正月」といわれ、生活に関連した行事が中心になります。
それでは、なぜ正月に元服を祝うのかと言えば、正月には皆一様に年をとり、大変お目出度いとされるからです。2011年12月8日の「マナーうんちく話173《満年齢と数え年》」を参考にして頂ければより詳しくご理解いただけると思います。
加えて、成人式のお祝いは本来、家族や親族等で催すものですから、余程親しい間柄でなければ、あえてお祝いのプレゼントは不要だと思います。
それでも何かお祝いの品を贈りたいときは成人式の日までに、あるいは本人の誕生日に贈られるのがお勧めです。
あえてプレゼントはしなくとも、「おめでとう!」の言葉は是非かけてあげて下さいね。
成人式を迎え、お祝いの品を頂かれた人は、基本的には品物によるお返しは不要ですが、成人式に撮った写真等と共に、キチンとお礼を述べて下さい。
離れて暮らしている場合は礼状を出されるのもお勧めです。
「お礼のマナー」はとても大切です。
この機会にぜひ身につけて下さい。
「絆」を作り、育んでいくとは、つまりそのようなことです。
祈念 ご多幸!