マナーうんちく話2245《米寿・卒寿のご長寿さんによる鏡開きで縁起の良いスタート》
日本の国旗は、法律上は日章旗と呼ばれますが、一般的には「日の丸」と呼ばれ、その色の対比の鮮やかさとデザインの美しさは、世界中の多くの国旗の中でもとても素晴らしい旗の一つではないでしょうか。
前にも触れましたが、日本は周囲を海に囲まれ、四季に恵まれ、稲作を中心とした農耕文化で栄えた国ですから、特に太陽の恵みのありがたさを実感してきたと思います。
漁業に携わる人もしかりでしょう。
太陽神である天照大御神を崇拝した理由が理解できます。
だからこそ日の丸のデザインが太陽をかたどったのでしょう。
ちなみに、白地に赤い丸が付されたデザインの白色は「素直な心」、赤い色は「太陽」を表現し、平和な願いや感謝の気持ちが込められています。
また歴史的に見ても、平安末期である1185年に屋島で繰り広げられた「源平の合戦」で那須与一が、平氏の船に掲げられた日の丸の扇を射落とした有名な話があります。
以後様々なシーンに日の丸が登場し、今に至るわけですが、これだけ国際化が進展しているにもかかわらず、自国の国旗に対しての関心は薄いように思えてなりません。
残念なことです。
いろいろな原因があるようですが、明治・大正・昭和20年までに経験した戦争のせいも大きいと思います。
度重なる戦争で日の丸が使用されたからで、その印象が強すぎるからではないかと推測します。
しかし日本の日の丸は、平安時代から江戸時代以降において、あらゆる場面で平和の使徒として翻ったたことも事実です。
さらに国民が国旗に敬意を払うのはごく自然な姿だと思います。
スポーツの国際大会で観客や選手が、対戦相手国の国旗や国歌に敬意を払うのも常識になっています。
ところで戦前の義務教育で教えた「国民礼法」では、初等科第3学年に向けて、日の丸について詳しく教えています。
たとえば「日の丸は日本の国旗であること、祝日や祭日には家でも学校でも日の丸の旗を立てて国を愛する心を表すこと。
また外国のお客様をお迎えするときにはその国の国旗と日本の日の丸の旗を互い違いに立てることがあるが、それは親しみの気持ちを表すためである」というような内容です。
さらに国旗は朝早く掲揚し夕方にしまうこと、国旗を掲揚する時には内から見て門や玄関の右に立てることなど、かなり詳細に触れているので、当時の小学3年生は国旗を掲揚できたようですね。
すばらしいことです。
「愛国心」や「礼節」とはこのようにして育まれていくのではないでしょうか。
●国旗掲揚法の心構え
日本では1999年に「日章旗」を国旗、「君が代」を国歌とすることが決められました。
そして「国旗」は国家及び国民の尊厳の象徴であり、丁寧に扱うことが基本で、引きずったり、踏みつけたり、汚したりすることは論外だと認識してください。
またいかなる国旗に対しても十分に敬意を払うことが大切です。
●国旗を掲揚する際の心構えやマナー
〇国旗を掲げる際は旗竿の最上部に接した形で掲げます。
〇向きを間違えたりしないなど、掲揚方法にも注意が必要です。
〇国旗は原則として日の出から日没まで掲揚します。
〇日中でも雨などの悪天気の場合は掲揚を控えます。
〇国旗掲揚の時は起立し、姿勢を正します。帽子をかぶっているときには脱帽するのがいいでしょう。
〇外国旗を掲揚する場合は必ず自国旗も掲揚します。
この場合は自国旗を優先する国もあれば、相手国を優先する国もあります。
日本の義務教育はほぼ百%で、昭和20年まではすべての小学生が学校で国旗について学ぶので、その教えを受けた人が、大人になったら、また子供に教えるので昔は全国的な統一が図られていたようです。
昭和人間の私も、幼い頃には家で正月を始め、祝日や祭日には日の丸を立てた記憶があります。
それが今では、建国記念の日を始め、日本で一番長い伝統を有し、一番めでたいお正月でさえ、日の丸を立てる家がほとんど消えてしまいました。
この状況をどうとらえるか?
皆さんはどう思いますか?
後日、日本の「国歌」にも触れる予定です。
是非お付き合いください。