まなーうんちく話798《月々に 月見る月は 多けれど・・・。》
22日(木)は24節気の一つ「冬至」。
一年のうち、太陽が最も低くなり、昼の時間が最も短く、夜が長くなる日です。
ちなみにこの逆は「夏至」で、昼と夜が同じ長さになるのが「春分」と「秋分」です。
昔の人々は、太陽を神とみなし、太陽の光こそが生命の根源と考えていたので、冬至の日は最悪の日として、色々な手段を用いて厄除けをしました。
現在でも、冬至には南京(カボチャ)を食べたり、柚子湯に入る習慣が有ります。
これを今流に解釈すると、昔は冬になると、カロチンやビタミンの豊富な緑黄野菜が不足するので、夏に集荷したカボチャを冬まで保存し、それで栄養補給し、寒さに備えていたと考えられます。いわゆる先人の生活の知恵です。
我が家でも夏に収穫したカボチャがまだ残っています。
最も今は、一年中カボチャは手に入りますので、昔みたいに貴重品ではなくなりました。
さらに、「冬至には、なんきん、れんこん、にんじん、だいこん、ぎんなん、きんかん等の「ん」の字のつくものを食べると良い」とされるのは、冬至が一年の最後と考えられ、それを、仮名の最後の文字「ん」に掛けたというのが有力です。
そして「柚子湯」に入る理由は、柚子の木が有る家の人はよくご存知だと思いますが、柚子の木は病気に強く寿命が長いので、昔の人はそれにあやかろうと考え、柚子を風呂に入れ、無病息災を願ったわけです。
実際、柚子湯は血行促進作用が有り、美肌効果、リュウマチ、冷え症などに効果が期待できるとされています。また気分を和らげる作用もあるそうです。
昨年も紹介しましたが、柚子のジュース(しぼり汁)に蜂蜜を加えお湯を注いだ「柚子ネード」を是非賞味下さい。心と体にとてもよく効きます。そして、その残りを布でくるんでお湯にいれれば、「柚子湯」も楽しめ一挙両得です。
さらに「冬至」=「湯治」、「柚子」=「融通」の縁起を担いだ語呂合わせとみなす説も有力です。どこかの賢いお風呂屋さんが、柚子が旬のこの時期に、売り上げアップの戦略として広めたのでしょうね。
こうしてみると、日本の年中行事の中には、商売の策略として仕掛けられたものが意外に多いような気がします。それだけ当時は病気に対する備えが不足していたということですね。「溺れる者はわらおも掴む」、この心境でしょうか?
加えて、もう一つ冬至には、今までお話しした内容とは事なった捉え方が有ります。
冬至は立冬と立春の真ん中の日なので、冬至を境に太陽の光が次第に長くなるので、新たなるスタート点とする考え方です。
「一陽来複(いちようらいふく)」という言葉がまさにそうです。
「春の来ない冬はない」「冬が終わり再び春が来る」等と同じような意味です。
「悪いことの次は良い事が起こる」とも解釈されます。
「仏滅」に結婚式を挙げる理由に、「仏滅」は一番縁起の悪い日だから、これ以上は悪くならないで後は運気が上がるのみだから、という考え方が有りますが、よく似ています。
今年も実に様々な事が有りました。
社会にとって良くない出来事の方が多いかった気がしますが、22日の冬至には、「ん」の付く食べ物を食べ、柚子湯に浸かり、一陽来服を願い新たな気持ちで前進したいものです。