マナーうんちく話569≪泥より出でて、泥に染まらず≫
日本は世界屈指の四季の美しい国ですが、同時に地震大国でもあります。
また津波も、英語で「TUNAMI」と表現される位多いのが実情です。
加えて毎年のように、台風による風水害も甚大なものが有ります。
そして今年3月に東北地方を襲った未曽有の災害・・・。
「一陽来複」という言葉が有ります。
冬は終わり春が来る。新しい年が来る。悲しい出来事が有った後には嬉しいことが待っている等という意味です。
来る年こそ、一陽来複を願いたいところです。
ところで、その一陽来複を祈念して、被災地への年賀状!
出していいのか?出さない方がいいのか?
何かと迷われている方も多いと思います。
考え方は大きく次のように、二つに分かれると思います。
○一瞬にして大切な人や物を失い、いまだに悲しみから癒されないので、とても新年を寿ぐ気持ちにはなれない。だから年賀状もだしたくないし、頂きたくもない。
○一時は大きな悲しみを味わったが、もう何か月も過ぎ、いつまでも沈んでいたのではいけない。気分を切り替え、兎に角前向きに生きて行きたい。だから年賀状も例年通り、出したいし、頂きたい。
前者の方に対しては、「おめでとう」の言葉は違和感を与えることになりますので、年賀状は一旦据え置き、年初めに「寒中見舞い」を出されることをお勧めします。
これは、厳寒の頃に、相手の健康を気遣うと共にこちらの様子も知らせる書状ですので、気兼ねなく素直な気持ちで発信することができます。
なお、寒中とは24節季のひとつ「小寒」(24年は1月6日)から、節分までの期間です。
節分が過ぎたら「余寒見舞い」になります。
一方、後者の方に対しては、積極的に励ましの言葉を述べてあげられたらよいと思います。
テレビや新聞の報道を見る限り、復興に向けて前向きに取り組んでおられる方が圧倒的に多いように思えます。
こんな時だからこそ、「プラス言葉」や「明るい言葉」が大きな励みになると思います。
先日、世界一幸福度の高い国の「ブータン国王ご夫妻」が来日され、被災地を訪問されましたが、それに大変勇気づけられた気がします。
ただ、すでに家も失い、避難所生活を余儀なくされている方、親戚や知人宅に身を寄せられている方も多いと思いますので、被災地の郵便事情等もよく確認して下さい。
いずれにせよ、喪中葉書でもお話ししましたが、現在の気持ちは、まさに10人10色です。年賀状が大きな励みになるか、かえって心を傷つけるものになるかは受け取られた人次第です。その人、その人に適応させて下さい。
年賀状にされるか?寒中見舞いにされるか?
いずれにせよ、余り形式にこだわった文章ではなく、一日も早く立ち直って頂きたい気持ちや思いやりの言葉を、自分の文章で、キチンと述べて頂くことが大切だと思います。
「形」より「心」です。