マナーうんちく話569≪泥より出でて、泥に染まらず≫
【冠婚葬祭の知識とマナー】 「暑さ寒さも彼岸まで」の本当の意味は?
9月23日は、秋の彼岸で「秋分の日」です。
祖先を敬い、亡くなった人を偲ぶ日ですね。
遠い昔、まだ日本に仏教が伝わっていなかった頃、日本人は、春分の日の頃には豊作を祈り、秋分の日の頃は豊作に感謝し豊作を祝うというような自然信仰が根付いていました。
そして仏教が伝わり、それが浸透してくると、やがて祖先を敬い、供養するために、お墓参りをするようになりました。
彼岸のお墓参りについては前回触れたとおりです。
ところで、お彼岸の頃になると、「暑さ寒さも彼岸まで」という言葉に、なにかと触れるようになります。四季が明確に分かれている日本ならではの言葉で、日本人の季節感を大変上手に表現していると感じます。
そして、この言葉の一般的な意味は、ご承知の通り、「厳しい暑さや寒さも彼岸の頃になると和らぎますよ」という意味です。
早く、快適な気候になれば良いのに、という希望的な側面もあるようです。
しかし、実際には、同じ彼岸でも、「秋の彼岸」はまだまだ残暑が厳しく、岡山でもつい先日までは真夏日が続いていました。
これに比べ、「春の彼岸」は寒さが厳しく、セーター等が未だ離せません。
昼の平均気温も、秋の彼岸と春の彼岸では、10度℃位の違いは有るようです。
そこで、さらにこの言葉の持つ深い意味を探ってみました。
折しも只今、台風が再び接近しています。
暴風・波浪・大雨・洪水警報等が各地に発令され、多大な被害が懸念されています。
しかし、人間の力で台風を遠ざけることは、いかに科学が発達したとはいえ不可能なことです。地震や津波にしてもそうです。
地震予知連絡協議会等という素晴らしい頭脳を結集した機関が有るようですが、神戸や東北大震災を予知できませんでした。
夏の暑さや寒さに対しても、これを快適な気温にすることは所詮無理な話です。
全ての人間や動物は、これを甘受するしかありません。
人間の出来ることは、暑ければ服を脱ぎ、寒ければ服を着ること位なものです。
有史以来ずーと、この繰り返しです。
ではどうするか?
厳しい暑さも寒さも、何時までも続くことはないので、無理な抵抗はやめて、「耐える時には耐えなければいけませんよ!」ということだと思います。
早い話、「人間我慢が大切ですよ!」ということではないでしょうか?
そして、自然に対しては「謙虚になることが必要ですよ!」ということですね。
商魂逞しい今の日本人は、暑さ寒さも「ウオームビズ」「クールビズ」とビジネスに結び付けましたが、季節の節目くらいは、昔の人の言葉に耳を傾けてみるのもいいですね。