マナーうんちく話84≪好感の持たれる接待とは≫

平松幹夫

平松幹夫

テーマ:訪問ともてなしのマナー

マナーうんちく話84《好感の持たれる接待とは》

食事のマナー9、「好感の持たれる接待のお勧め」

今回は、「接待」についてのお話です。接待を、「する側」と「される側」、それぞれの立場で2回に渡り進めて参ります。日本では、相手と交渉を有利に進めたり、親交を深めるために様々なシーンで接待が行われていますが、その基本は、「する側」と「される側」の、心と心が通い合うことです。

接待をする側のマナーのポイントは何と言っても、相手に「心地よい時間を過ごしていただくこと」に有ります。そのための心構えについて解説いたします。

○接待のための事前準備が大切です。
場所、日時、参加者の把握、当日の流れ、料理や飲み物、2次会、車の手配等基本的なことはもちろんですが、元ホテルマンとしての一押しは、店(会場)のスタッフと仲良くなっておくことです。少々の無理も、快くきいていただける間柄になることをお勧めします。

○当日は早めに会場入りし、「事前チェック」「お迎え」等をします。
この時に、店側の人にも、くれぐれも丁寧に挨拶しておくことが大切です。何回もこのコラムで申していますが、「サービスを提供する方(店)」と、「サービスを受ける方(客)」には、上下関係は有りません。横柄な態度は感心しません。

○席次に気配りして下さい。
ビジネスの場合の席次は、原則として、男女、年齢に関係なく、「職責」「立場」で決めます。上位者優先です。上座がお客さんで、下座が接待する方です。どちらが上座か下座かよく解らない時には、店の人に確認して下さい。

○お酒の、注ぎ方。
フレンチ等は店のスタッフにお任せした方がいいと思いますが、座敷での、和食やなべ料理等は、接待をする側が、お客様の所に伺い、「酌」をした方が良いでしょうね。この場合、よくビール瓶や銚子を持ったまま移動する人がいますが、それは感心しません。
あくまで、何も持たず、お客さんの前に行きます。正座して、キチンと挨拶します。例えば、「平松部長、今日は本当にありがとうございます。今後ともよろしくお願いいたします。どうぞ・・」といって、目の前に有る、銚子やビール瓶を持って酌をして下さい。

ちなみに、「鼠尾・馬尾・鼠尾」(ソビ・バビ・ソビ)という言葉があります。酒を注ぐ時、最初は鼠の尾のようにか細く、次に馬の尾のように勢いを増して太く、最後はまた鼠の尾のように勢いを弱め細く丁寧に注ぐ、という意味です。蒔でご飯を炊く時の、「始めチョロチョロ、中パッパ」のような感じですね。

特に女性の場合、プライベートの時には「レディーファースト」ですが、仕事となれば「女性は酒を注ぐ必要はない」ともいっておれません。嫌々ながら注いでいたのでは、相手に不愉快な思いをさせるようになります。また、時にはセクハラまがいなことも、無きにせよ有らずです。有る程度、割り切る事が大切だと思います。
今まで、このコラムでも書きましたが、お客さんに、ビールを注ぎながら、お世辞の一つでも言えるようになりたいものです。それが出来るようになれば、仕事に限らず人間力もかなりレベルアップしてきます。

○当日は、「盛り上げ役」に徹するように心がけて下さい。
世話係は何かと神経を使い大変ですが、この経験は色々な面において有効に生きてきます。

○お披楽喜に当たり注意すること。
お土産を出す場合は、最後の挨拶がある頃がいいですね。それから出席をして頂いたお礼を言い、丁寧にお見送りをします。出来れば接待した全員でのお見送りがいいです。お客さんを車でお見送りする場合は、必ずお客さんが車に乗り込むまで確認して下さいね。


食事や宴会に誘って、商談をまとめるというビジネススタイルは、日本では、すたれることは、先ず無いと思います。場数を踏み、常識の範囲内での「接待上手」になられることをお勧めします。

ただ接待といえば、単に高級料亭やレストランで、美味しいご馳走やお酒をふるまうことではありません。「もてなす」とは、もともと「持成す」のことで、むしろ飲食を提供するより、其の人に対する「処遇や振る舞い方」の意味です。つまり真摯な態度で相手と接するという意味ですね。早い話し、接待の極意は、「思いやりの心で持って、相手と接すること」です。このコラムにヒントがしっかり詰まっています。但し、仰々しくなっては駄目ですよ。あくまで「さりげなく」がお勧めです。

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平松幹夫
専門家

平松幹夫(マナー講師)

人づくり・まちづくり・未来づくりプロジェクト ハッピーライフ創造塾

「マルチマナー講師」と「生きがいづくりのプロ」という二本柱の講演で大活躍。「心の豊かさ」を理念に、実践に即応した講演・講座・コラムを通じ、感動・感激・喜びを提供。豊かでハッピーな人生に好転させます。

平松幹夫プロは山陽新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

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