その1秒を削り出せた

井上博文

井上博文

テーマ:雑感

正月は少し雑感を。
この数年、忙殺に次ぐ忙殺で、得意の正月恒例駅伝観戦三昧が使えなくなっています。
もっと得意の「ついでに三昧」を駆使しながら、チラ見と横見で、耳で箱根を見ていました。

今年も青山学院大学が優勝しました。
ここまで強いと、批判的な視線もありません。素晴らしいの一言です。
そして、やはり監督の慧眼と戦術が圧巻だったと思います。
このごろは超高速駅伝で、ヘタをすると、実業団チームでも箱根に出たら、シードを落とすチームも出るのではないかというくらいです。
私たちのころは5000で13分台というのは、高校歴代で1人しかいませんでした。夢の記録だったのです。また大学生では10000メートルで29分を切るのは夢の記録でした。

ところが、今は10000メートルで27分台を複数抱えるチームが珍しくありません。
また箱根の総合優勝の記録が10時間41分19秒・・・私たちのころは10時間台が夢の記録でした。
それでは今やシードも取れない。惜しくもシードを逃した11位の順天堂が10時間55分05秒・・
大変です。

2区はエース区間ですが、私と同学年の当時の早稲田の選手が、夢の1時間6分台を出しました。
これは不滅の記録と当時話題になりました。私も不滅だと思っていました。
でも、やはりそんなことはなく、今や2区では10番目くらいの記録です。
今は1時間5分台で走る日本人選手がいます。

箱根の名物の一つ山下りで、56分台が出ました。
昔は1時間を切ったら一流でした。山下りは足へのダメージが甚大で、その年の競技ができなくなる選手も当たり前にいましたが、今はそうでもないと聞きます。

こんなに進化している中で、東洋大学はなんと20年連続シード権を獲得しました。
私は東洋の監督と近い世代ですが、面識はありません。でも勝手に応援し続けてきました。確か2009年くらいから監督になられたと思います。以来約15年
その1秒を削り出せをキャッチフレーズに高速化に対応しつつ、青学や國學院、立教など新興勢力の台頭にも負けず、シードを獲得し続けてきました。

今年は1区の元高校記録保持者、2区エース区間のキャプテンの大エースが当日に出走できず、選手交代になりました。明らかに先行逃げ切りを考えた布陣だったはずです。
さすがにこれは万事休すかと思っていましたが、それでも東洋なら・・と思いながら見ていました。そして往路からギリギリシード圏内を走り、復路も9位で乗り切りシードを獲得しました。

シードの獲得はとても大きく、予選会に出るとそのチームは勝ち残れたとしても大きなダメージを受けます。20キロ以上のハーフマラソンを10人に走らせないといけないわけですから、故障者も出ます。そこで1ヶ月程度で箱根になるわけです。箱根は、弱者には厳しい世界です。

東洋大学はどんなに高速化しても、エース2枚が出走できなくても、新興勢力の台頭で選手が来なくても、どんな状況下にあっても「その1秒を削り出せ」で勝ち残ってきました。

監督に敬意を表します。

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井上博文
専門家

井上博文(塾講師)

株式会社コムニタス

塾長以下、スタッフが、全ての生徒の状態を正確に把握している。生徒をよく観察し、成長度合、どのような不安や悩みを抱えているか、をしっかりと観察し、スタッフ間で情報共有をしている。

井上博文プロは京都新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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