基礎の繰り返しと反復と継続

井上博文

井上博文

テーマ:確実に心理系大学院に合格する勉強方法

守破離

前回の延長です。
基礎に関連するトピックを続けています。
歌舞伎役者故中村勘三郎氏は、型破りは型がきっちりしている人のすることだと仰ったそうです。またREBTの講師でいつも守破離を説く先生がいます。これも歌舞伎でよく用いられますが、他にも剣道や茶道など「道」の中でも説かれます。これは修業における段階で、「守」は、師や流派の教え、型、技を忠実に守り、しっかり習得する段階で、「破」は、他の師や流派の教えについても触れ、良いものを取り入れ、発展させる段階で、「離」は、流派から離れ、独自の新しいものを生み出し確立させる段階とされます。私みたいに何でも屋はあまりよろしくないようです。

基礎は心技体

上記に限らず、何でも、どんな分野でも、一定の型があって、それは常識と言われることもありますし、空気という、より抽象的なものとして言われることもあります。もちろん学問の世界にもあります。それを身に付けることを基礎とか基本を身に付けると言います。この基礎の習得について、スポーツの場合は、比較的わかりやすいでしょう。どんなスポーツにも基礎の型があります。野球の投手なら、投げ方はだいたい同じです。それほどアクロバティックな投げ方はしません。どう投げれば、力がボールに伝わるのかが研究されてきた結果だと思います。打つのも同様で、間違ったバットの振り方、正しい振り方は、ある意味プロの選手やコーチでなくとも知っています。かつてはメジャーリーグの選手は、子どもの時から自由に練習していて、個性を大事にするから伸びるといわれていましたが、日本人がWBCで結果を出すと、基礎を大切にする日本のやり方も悪くないと考えられるようになりました。駅伝もそうですが、また基礎がしっかりしていると、スポーツの場合、それに適した体つきになってきます。体ごと、適応していくと基礎ができたと言えると考えられます。しかし、一方で、それは極めて抽象的なもので、明確な基準はありません。このバランスがとても難しいところです。

学習のポイント

「学習のポイント」という言葉がありますが、すべての学習に共通するポイントは、
①基礎の習得
②それを繰り返す
③それを継続する。
シンプルですが、これだけと言えばこれだけです。一番難しいのがもちろん①です。この基礎の習得ができていなければ、②③はいくら努力しても意味をなしません。いつの時代も言われ続けてきたことでもあります。しかし基本というのは大変漠然としていて、これが何なのかを明確に言える人は少ないのです。だいたいは「できていない」他者を見て、「基本ができていない」ということは言えるのですが、「これが基礎」だといえる人はあまりいませんし、例えば大御所を見て、「あの人は基礎ができている」と大それた評価をする人もあまりいません。
よく「死ぬまで勉強」という言葉がありますが、基礎を死ぬまで習得していくということでもあると思います。そうしているうちに少しずつ獲得して巨大なデータベースになるのだと思います。また、一度獲得するとそう簡単に崩れないものでもあり、みんなほぼ同じスタイルではあるものの、個人差もあるものとも言えます。プロ野球の投手のフォームを見れば、よくわかると思います。皆だいたい同じ投げ方をします。そして、めったに崩れないと思います。よくフォームを崩したというように言うこともありますが、素人目にはまずわからないくらい微妙なものだと思います。そして、ほぼ同じ中に少しの個人差があり、それを個性として継続しているものと言えると思います。学習も同様と言ってよいと考えられます。まずは崩れないフォームの獲得が重要です。つまり、基礎の習得は、どちらかと言うと、身体で体得するものとも言えます。

繰り返しと継続

次に学習には繰り返しが必要です。もちろんフォームができていることが前提なのですが、基礎作業を正しい方法で何回も繰り返すことが必要です。そしてフォームを固めるのです。そうすると、こんどは、「何回くらい繰り返したらいいのですか?」という質問も受けるようになります。もちろん回数はありません。個人差があるためです。だから答えは「できるまで」か「自分が納得するまで」ということになります。小学生の時に九九を何回も繰り返したように、自分の中で「できた」という感触が残せるまで繰り返すことが必要です。私も人のことは言えなくなってきましたが、年々忙しさを言い訳に繰り返し作業ができなくなってきました。(反省だけは一生懸命しています)
子どもの時に、あるいはもっと若い時にもっと勉強しておけばよかった、と言う人は多くいます。ある程度当たっていると思います。大人になるとこの繰り返し作業の時間の確保が難しくなるのです。しかし、実は大人になるほど身につけねばならないものは増えるのです。ですから、繰り返し作業の習慣を少しでも作ることが必要です。子ども時代は能率良く繰り返し作業をするための訓練期間なのだろうと思います。
その繰り返し作業を継続することはさらに重要です。継続は力なりといいますが、その通りだと思います。継続力があるということは、自己アピールになります。継続するには意志と行動が重要です。私自身塾を開いて以来、10年以上ずっと継続していることもいくつかあります。学習の場合、毎日やることが不可欠です。スポーツと同じで、一日抜けてしまうと、取り返すのに時間がかかることがあります。特に語学系は筋トレと同じで、継続力と根気が必要です。継続力を要するということは、つまりすぐには結果が出ないということでもあります。継続するには何が必要かという質問をよく受けます。しかし、これは正確な回答はなかなか難しいと思います。あえて言えば「環境」かなとも思います。もちろん少し漠然としていて、環境と言っても、周囲の人、場所、施設、雰囲気、指導者などなど、他にも様々な要素があります。すべてが備わっている必要はなく、いくつかあればいいと思います。あるいは自分で環境を設定する能力も必要です。そのようなうまく環境を獲得できると、継続力が備わってくる可能性が高まると思います。


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井上博文(塾講師)

株式会社コムニタス

塾長以下、スタッフが、全ての生徒の状態を正確に把握している。生徒をよく観察し、成長度合、どのような不安や悩みを抱えているか、をしっかりと観察し、スタッフ間で情報共有をしている。

井上博文プロは京都新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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